感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
本書は私憤と公憤に関する本である。背景として「コロナ禍でオリンピックが強硬開催された」という事実に目を向けている。
他者に意見を合わせることを是としてはいけない。本書の趣旨はとても共感できる。全てを疑ったうえで最善を選択することは大事である。
一方気になることがあるので以降はどちらかというと本書に対するコメントとなる。
個人的に言えばオリンピックがあのカタチで開催されたことは良かったことだと思っている。あの時に判断されたこと、やったことはその後の人が集まるイベントの在り方を大きく変えることになった。それはより良い方向になっていると思っているからだ。とはいえそれに払ったコストは大きすぎるのだが。
話を戻す。歴史を考えると間違った判断というのは何度かなされてきた。紐解けば個別最適という善意が繰り返された結果である。
本書ではこれはおかしいと解く。仮に自分に不利益があったとしても異を唱えよということである。この問題意識はタフなものである。
極端な言い方をすれば、自身の生活を犠牲にしても自身の正義を為せ。そういっている訳だが本当にそうなのだろうか。
まず考えるべきは個人および集団のウェルビーイングだと思う。たしかに、不正を見ないことにすることは当人によっても辛い。だからといってそれを正面きって主張する必要もない。
まともな組織であれば企業内の不正を匿名で申告できる精度があるし公益通報者保護精度もある。それを活用すればよい。
個人的にはよろしからぬ風土があるならそれは変えることが大事だと思う。そんな組織はどのみち滅亡するからだ。自分を含め周りで認識していく。
それらの歩みは遅々として進まないという印象になるかもしれない。しかし、それをやっていく。全ての人がこの胆力を持つことの方が大事だと思う。これが集まって大きな流れになれば世界はより良く変わる。そう思う。