感情タグBEST3
Posted by ブクログ
短編集であるのだが、物語全体を通して、登場人物を取り巻く背景や生活の息づかいが感じられる。
躍動感であり静寂であり、絶妙なさじ加減は作者の才能なんだろう。
設定もごく普通で、登場人物はたいして特徴もないけれどコロナ禍をおり混ぜて描かれた《東京編》が自分は好き。
文中より。
スポーツが教えてくれるのは勝つことじゃない。
負けてもいいってことだ。
負けることが、決してかっこ悪いことじゃないってことをスポーツは教えてくれるんだ。
Posted by ブクログ
短編よっつ
アジアの地域よっつ
の、お話。
やっぱり東京がよかった。
コロナ禍で。
都市のそれぞれ空気感も伝わり。
ちょっとした旅行気分も。
タイトルどぉり。
触れ加減もちょうどいい。
Posted by ブクログ
オリンピックとは無縁だが、香港、上海、ソウル、東京と、各国を旅しているような気分になった。他国の日常生活や社会情勢が本作品を通して垣間見えた。
Posted by ブクログ
「香港林檎」「上海蜜柑」「ストロベリーソウル」「東京花火」の4編。
「東京花火」は2021年夏、東京オリンピックと同時進行で新聞連載された「オリンピックにふれる」(=本のタイトル)を改題した物。
全てが2021年の新作と勘違いしていたのですが、最後以外はそれぞれ2007年、2008年、2010年の作品であり、スポーツを背景としているもののオリンピックとの関係は薄い。
やっぱり上手いですよね。
読み始めた瞬間に香港、上海、ソウル、東京と言った都会の姿とそこで蠢く人たちが浮かび上がってくるような見事な描写です。
一幕を描いたスケッチという雰囲気で、特にストーリー性は強くありませんが、最後の一編の主人公達のオリンピックへの想いはちょっとグッときます。
Posted by ブクログ
香港、上海、ソウル、東京が舞台。
そこで暮らす男性の生活をオリンピックに関連させ彼らの生活の一部分を切り取ったような短編集。現在進行形で読売新聞で連載された東京のお話が身近で良かった。東京オリンピックに関してはその開催に関して賛否が問われましたが、みんないろいろな思いを抱えていたんだな・・・と。
人物、情景描写ともに美しく、ちょっとお洒落な短編集でした。
Posted by ブクログ
スポーツがテーマの短編4篇。
タイトルの「オリンピックにふれる」は「東京花火」に直接関わってくる。
コロナ禍で無観客で行われた2021年のオリンピック東京大会。
もしコロナがなかったとしても実際に競技場まで足を運んだかは怪しいものだが、参加できそうでできなかったという不全感は抱えている。
「東京花火」を読んだ時、だから藤井がなぜあんなにくだらないトライをしてまで、オリンピックにふれようとしたのか、なんだか痛切に共感できた。
そもそも、東京という街自体が、ふれられそうでふれられない街だ。
生まれてこの方、ずっと東京に住んでいて、ほとんどの時間を都内で過ごしているけれど、この街の一員であると思えたことはほとんどない。
♪Paprika/Japanese Breakfast(2021)
Posted by ブクログ
香港、上海、ソウル、東京を舞台にスポーツ選手の光と翳が描かれた短篇集。4つの都市が舞台であり、どの作品も、その土地の情景や人々の息遣いが目に浮かんでくる。ラストの短編「東京花火」は東京オリンピックを描いた作品で、一番面白かった。最近の吉田(修一)さんの作品はエンタメ系が多かったが、この作品は純文学っぽいというか純文学(そういえば吉田さんは芥川賞作家だった)。「怒り」や「悪人」ではない純文学路線の吉田さんの作品が読みたい方はぜひ。
Posted by ブクログ
『パレード』から吉田修一さんを追いかけているけど、この本もやっぱり吉田さんの匂いがする。
文章や行間や、なんと表現したら良いか、登場人物の淡々とした感じや、どことなく近未来的な流れが吉田修一だなぁと思う。
最後の『東京花火』に出てくる、「東京とは、一体どこにあるのだろうか」という問いは、上京した18歳の頃から私も考えている。
新宿でも池袋でも渋谷でもなく、でもそのどれでもあり、実在するようなしないような、東京に憧れる人達が作り上げる東京のようなもの。
同じようなことを吉田さんも考えていたとしたら、嬉しい。
「何かが駄目になったからといって、すべてを諦めることもないのだ」97ページ
Posted by ブクログ
まずもってビックリしたのが、内容を一切知らずに読み始めましたのでね、エッセイだと思って読み始めたんですよ。吉田修一さんが、オリンピックに関するあれこれの思いを綴ったエッセイだとばっかり思って、読み始めたんですよ。
小説やんか!
というね。そこにビックリした。本題と全然ちゃいますけど、とりあえず、マジでビックリしました。
で、四作の短編を読み終えて思ったことは、まずもってタイトルが見事だな、と。
オリンピックにふれる
収められた四つの短編集は、最後の一作品は、ガッツリと新型コロナウイルス禍の2021年開催の2020東京オリンピックとガッツリ絡めての作品なんですが、
他の3作品は、凄くサラッと、ほのかに、オリンピックがでてくる。それぞれの登場人物にそれぞれの人生があって、それが、その人が生きている時代の、オリンピックと、ちょっとだけ絡まる。まさに、オリンピックに「ふれる」なんですよね。
がっつり関わる訳ではない。がっちりオリンピックと向き合ってるのではない。その人の人生に、オリンピックが、ちょっと関わる。その感じが、まさに「オリンピックにふれる」なんですよね。いやあ、上手いタイトルだなあ、ってね、思いました。
ま、最後の2020東京オリンピックの短編は、がっつりオリンピックに関わってる絡み合ってる作品ですけどね。だってまさにオリンピック(会場)に触れようとする話ですもん笑。そっちがメインかい!という気もしますが、個人的には、最後の短編以外の3編の登場人物の、オリンピックの関わり方、触れ合いかた。そちらに、この作品の題名の面白さを感じちゃった次第ですね。
あと、単行本の表紙のデザインが素晴らしい。写真とCG?を組み合わせた、コラージュ作品?らしいのですが、途轍もなく不穏で、何とも素晴らしい。「omi」さんというグラフィックデザイナー?のかたの作品らしいのですが、いやあ、素晴らしい。思わずネット検索かけて、ツイッターをフォローしてしまいました。できれば、数年後に文庫化される際も、この表紙のデザインで行って欲しいです。と、余計なことまで思ってしまいました笑。それほど、この単行本の表紙のデザインは、好きです。
Posted by ブクログ
タイトルだけ見てエッセイかと思ったら短編集だった。
直接的にオリンピックが絡むのは東京五輪の一作品だけで残りは香港、上海、ソウルをそれぞれ舞台にした話で、外国を描いているのに違和感無く読ませる。
Posted by ブクログ
短編集4編
オリンピック選手に届かないボート選手の心情を描いた「香港林檎」
怪我で体操競技を諦めた体育教師と巨人に踏みつけられた街の「上海蜜柑」
スケート選手を見つめる清掃員「ストロベリーソウル」
無観客試合のオリンピック、国立競技場の壁にふれようとあがく「東京花火」
時代も場所も違えつつ、オリンピックを少し意識しながら書かれたのかな。どの作品も重苦しい世の中に喘ぎつつ、がんばっていかなくてはという気持ちが見える。負けることはかっこ悪いことじゃないという言葉が心に残った。
Posted by ブクログ
東京オリンピック時期にタイムリーに読めばもう少しテンションは上がったかもだが、そうでない今読んだときに面白かったかといわれると、まぁ普通・・って感じ、か。
執筆時期が結構違うので、テーマはある程度揃ってはいるが、全体を通してのバランスがチグハグなのも気になった。
Posted by ブクログ
香港、上海、ソウル、東京を舞台に、オリンピックと関連する短編を4つ収録。
吉田修一の作品からは、主人公の生活する土地の臭いが圧倒的なリアル感をともなって立ち上ってくる、といつも思う。この作品集も例外ではなく、重く湿ったそれぞれの土地の空気と鬱屈した若者の感情とが絡み合って、苦く切ない物語を紡ぎ出す。
最後の「東京花火」は、東京に住みながら楽しむことのできなかった茶番のようなオリンピックのもどかしさと虚しさがよみがえり、胸が締め付けられる思いだった。
Posted by ブクログ
私にとって、登場人名で欧米人の片仮名よりも漢字の中国語名がいちばん読みにくい。
故に、3編なかなか感情移入が出来ず・・・当方の問題です(笑)
それに比べ、最終編の東京は読みやすく。
兎角、マイナスのイメージで扱われる東京オリンピックにも希望の光が灯った瞬間を描いたようだ。
Posted by ブクログ
上海、香港、ソウル、東京とオリンピックというワードに絡む、それぞれの土地のストーリー
その土地に生きる人々の生活がリアルに描かれていて、読んでいるだけで目の前に浮かびます。東京オリンピックと同時進行で執筆された本書は、短編で小刻みにリズムがいいですね。最後は、思わず、『頑張れ✊‼』と声が漏れた(笑)
Posted by ブクログ
五輪で括るのは無理あるかも。「東京花火」も東日本大震災と結び付けるなら吉田さんらしい物語を展開してほしかった。登場人物の出身だけなんてあまりに安易…復興五輪はどうなったと批判的に描くのは、お祭り騒ぎの中吉田さんでも難しいのか…残念