【感想・ネタバレ】SDGsがひらくビジネス新時代のレビュー

あらすじ

SDGsの時代が始まっている。「働きがいも 経済成長も」「ジェンダー平等を実現しよう」など17の目標からなるSDGsに取り組む企業が増えてきた。消費者たちもSNSを通じて自らの価値観を積極的に発信し、企業はその声を無視できなくなっている。そして企業側も、SNSを通じて自らの社会的価値を発信するようになってきた。こうした流れは今、巨大なうねりとなって世界を変えようとしている。経営トップから「SDGs市民」まで幅広く取材し、現代社会が、そしてビジネスがどこへ向かおうとしているのか、鋭く考察。学生からビジネスパーソンまで必読の書!

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Posted by ブクログ

SDGsって胡散臭いと思っている人こそ読むに値する。
最近のインターネットの息苦しさや資本主義の反省トレンドが実はSGDsに繋がっていることを示している本。
元々持っていた個人的な不満がSNSの力によって拡散・巨大化する傾向にある。アイデンティティや価値観をもった個人の集団(結社や活動団体ではなく一時的なもの)に企業が変更を余儀なくされる。
元々関係者のみに閉じていた利害関係(購買でいうと提供者と購入者の関係)が第三者の視点も含むことになる、いわばさまざまなマイノリティを含めた国民全員を考慮しないといけない、つまり非常に政治的なものになってきている。
この文脈の中で、企業が政治的な課題・問題に取り組む指針としてSDGsが発展したのではと筆者は結論付けている。
胡散臭いのはまさにその点で「金儲けのくせにキレイごとばっかり並べている」と思ってしまうかもしれない。ただ実はSNS・インターネットの時代においては企業はもはやビジネス(利益や経済合理性)だけを考えていてはいけないことがSGDsの興隆の一つの理由である。購買でいうと、嫌いなんだったら買わなければいいだけ、わざわざ批判しに来てるなどということでは済まされない時代になっていることがSDGsの興隆から読み解けるのではないか。
個人的なことを殺さずに表明していこう。それがSDGsへの関わりのはじめの一歩のように思う。

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2022年04月17日

Posted by ブクログ

 SDGsをただの「きれいごと」として冷笑していられないほどにSNSが発達した時代なので、ちゃんと腑に落ちるまで理解して共感し、ビジネスとして成り立たせるように日本企業は努力すべきだ、という話。
 要約するとたぶん上のような感じなのだけど、自分語りのまえがき部分でも述べられているように著者の「ジャングルジム」のような人生のように、「この本も『ジャングルジム』だ。退屈な教科書のように、一つ一つ、順番を追って説明するようなことはしない。これまでSDGsについて取材してきたことを惜しみなく紹介していく。(略)私個人の体験談からグローバル金融の潮流、ブラック企業の問題点まで、行ったり来たりする。」(pp.12-13)という構成で、全体がゆるくつながっていて、趣旨も分かるのだけど、重複する話とか、付随する話題で急に違う研究?結果の話とかが述べられるので、小道に入ったりして気づいたら元に戻っていたりという、これはジャングルジムを登ると言うよりは(ジャングルジムだったらどう辿ったとしても上方向に行くと思うので。あえて上に行かずに下とか横に移動し続けることってあるのか?あんまりやったことないからわからない)、森の中を気まぐれに案内されて歩かされている感じで、それは面白いと言えば面白いし、現に一気に読んでしまったことは事実だが、新書だったらもっとすっきりした構成の方がいいんじゃないか、と思う。そもそもこれを読むビジネスパーソンは、そういう効率性というパフォーマンスを求める人たちなんじゃないの、という偏見もあるけど。つまり構成がはっきりしていないと、SDGsの話をしつつ、結局著者の自分語りに収束されてしまう感じになっているように思えてしまう。
 ちょうど授業でSDGsをテーマにした英文ばっかり最近読んでいて、3学期でこの教材も終わってしまうので、SDGs関連の本も今のうちに読んでおこうと思って、読んだ。正論が述べられていると思うし、あとこの本が書かれた2021年までのビジネス関連の大きなニュースやトピックが知れたことも良かった。「1990年代後半のナイキの不買運動」(p.103)とか知らなかったし。ユニクロとかH&Mの話も聞いたことあるだけで、そういうことで今そういう状況なのか、と知った。あと、気になったところのメモ。
 まずSDGsがきれいごとではない、という話。「社会課題や環境問題に考慮することが、企業にとって単なる『慈善活動』ではなく、利益を追うための、ハードなビジネス上の戦略となっている」(p.14)の部分。授業で読んだ英文の教材では企業がエコ商品を作るのは"hoping to avoid worsening their image"と書いてあったが、それよりももっと深い段階に行っている、ということが分かった。最近読んだ『タピオカ屋は〜』の本で「パーパス経営」という話があったが、それとつながった。この本でも「パーパス」について触れている箇所はあるけど。「機関投資家によるESG投資」(pp.48-50)なんて、この本を読まなければチンプンカンプンの用語だったので、勉強になった。途中、三菱商事の話が出てくるが、途中「能條さん」からの「公開質問状」を受けながらも、結局その後、株価は上昇し続けているということが調べて分かったが、これは三菱商事もSDGsと両立させてビジネスを成り立たせたということ?それはそんなに関係ない?とにかく、「環境や社会への影響を考えたほうが利益は増えるという考え方が、機関投資家やグローバル企業音あいだで浸透してきている」(p.102)らしい。
 結構全体に渡って「SNSによる無限の視線」という話が出てきて、途中の吉田鋼太郎のインタビュー記事の孫引きになってしまうが、「いまやインターネットの世界で、普段は我々に興味がない人も含めてあらゆる目に晒されています。しかも、批判する人たちの顔はこちらからは見えません。すると俳優をはじめとして表現者は、批判されないように振る舞わなければならず、どんどん生きづらくなっていく。(略)多くの人が世間の声に必要以上に怯えているいまの社会は、異常だとすら思います」(ppp.84-85)という部分にすごい共感した。各自が生きやすさ、自分らしさ、を追求して遠慮なく表現した結果が、怯えて心を病むというのは、もはや「SDGsハラスメント」というオクシモロンができそう。SDGsによって生まれるディストピア。おれも教員として、本当に指導や話がやりにくいと思う瞬間もあるので。何年か経ったら揺れ戻しとかくるんじゃないかな、とか。もしかして今の右傾化とか保守化って、SDGsにの負の側面が表出した結果なのか、とか。というか、そもそもSDGsの話とSNSの話は分けないといけないから、それこそおれも議論を整理しないといけないのだけど。(でもこの本でSNSユーザーは「SDGs市民」とされているから、こうなってしまう。)これとは逆に、著者の意見では、「中国という国は『みんなの生活を豊かにして、14億人を食べさせるために政治的自由をある程度、制限するのは必要不可欠だ』という発想を持っているようにも思う。ここには中国ならではの正義がある。」(p.181)というのも納得してしまう。
 それから、このSDGs時代には、「個人的なこと」が「経済的なこと」になる、という話が何度か述べられるが、その具体例としての冷凍餃子の話は分かりやすかった。これは『ナラティブカンパニー』という本で述べられていて、「最後に『あなたのフライパンで仕上げてください』と呼びかけたことで消費者が同じ物語に参加するという共通体験の構造を作り上げた」(p.134)という話。ディズニーじゃないけど、やっぱりストーリーって大事だよな、って思って、中学生での文化祭の展示の指導をした時には、お客さんをストーリーに巻き込む形にしよう、って呼びかけたことを思い出した。(けど最近、『物語化批判の哲学 <わたしの人生>を遊びなおすために』という新書があることを知り、これも読んでみたい、と思っている。)
 あと知らなかったのは「グリーンウォッシュ」という言葉かな。英語ではgreenwashingと言うらしい。「SDGsなどを重視する企業が、実際には環境保護に関する取り組みをまったくやっていなかったり、裏で環境破壊をしていたりする」(p.166)とか、「環境保護を訴えるメッセージ入りのTシャツを買うとか、ペットボトルをやめてウォーターボトルを買うといった、数百円から数千円単位の消費行動によって『環境問題を解決した気になる』ことの欺瞞」(同)というのもあるらしい。全くやらないよりはいいと思うんだけど。確かにレジ袋の有料化に反対する人たちの理由はこれだよな、と思った。そんなの減らしても微々たる量だがら意味ない、みたいな。
 ということで、社会やビジネスを考えるために必要な話題が知れたし良かったが、そもそもSDGsとは何でどういう背景で出来たものなのかという肝心な話は実はそんなにないまま著者の思いのままにペラペラ進んでしまうという点に違和感を覚えて、それこそこの本で何回も使われている用語で言えば「腹落ち」しなかった。でもこれは好き嫌いの問題だよな、どうしてもおれはこの著者を好きになれないという、ただそれだけなのかな、と思った(ちなみにこの「腹落ち」というのもビジネス用語らしい)。「きつい言い方をすれば、四の五の言わずに、すべてのビジネスパーソンはSDGsに取り組むべきだ、というのが私のスタンスだ」(p.21)ということだが、その同じページの最後には「若い世代には、『ビジネスの世界は厳しい。甘えるな』と、マッチョな男性中心社会の思想を押しつける。しかし(略)」(pp.21-2)と書いてあって従来の会社組織を批判しているが、いや著者の「四の五の言わずに、すべての〜べきだ」がマチズモだろ、とか思ってしまった。こうしないと、「人権や環境を本気で考えている欧州企業などとの競争に負ける」(p.238)らしい。だいたい部下の生理痛休暇の話で、その部下の本名出すかな。仮名だったとしても別にそこ名前出す必要なくない?とか思って、本質じゃないところで受け入れられず、もっと器の大きいSDGs市民になろうと思った。(26/02/14)

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2026年02月15日

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