宇田賢吉のレビュー一覧
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ネタバレ著者は国鉄やJRで長年にわたって運転士を勤めた経験を持つ。
鉄道の本と言えば、鉄道評論家や鉄道マニア、あるいは学者による著書が多いのが現状であるため、鉄道会社の社員、運転士としての経験が豊富な著者の視点は非常に良い意味で異彩を放っている印象。
巨大な金属の塊である鉄道車両を、運転士はどのように意識して、安全に運転しているのか?この点を切り口にして、鉄道の仕組みが解説されている。
特に写真を活用した山陽本線での運転の解説は分かりやすく、運転士の考え方を知る上で興味深い内容。
鉄道の運転技術、歴史、安全の仕組み、更には電気やモーターの解説など、その道のプロフェッショナルによる教養溢れる一 -
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電車の発車から停車まであれこれ制御されているシステムを理解するのに調度良い一冊。作者は国鉄時代から長いことJRを見てきた人なので、過去から現代への進化も感じられる。(まあ電車は一度仕様を決定すると変えにくいので、システムが進化しづらいということも感じたが・・・)
動力装置やブレーキの機構について分かりやすく書かれているのも凄いが、一番面白いのは第6章の保安機器の部分。
安全のために取り付けられた保安機器であっても、事故は根絶できなかった。それは、警報を受けた運転士が、ここで警報を受けるはずがない、誤作動だと判断したためだ。
どこまで機械が進化しても、それを使う人が変わらなければ意味が無い。そ -
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筆者は電車の運転手を長年経験された方で、タイトルから、私は運転操作そのものに関わることを中心にまとめられていると思っていましたが、線路や架線、信号、標識、駅、車両に関する技術的なこと、などなど、鉄道に関わる細部の仕組みまでまとめられており、非常に興味深い内容でした
また、運転についても、運転士の皆さんが、日々、ダイヤを守るためにさまざまなことに気を配りながら対応されてることがわかり、毎日利用する電車乗車中での意識がかなり変わりました
自動車の運転とは全く異なっていて、想像を遥かに超えた繊細なことであることがわかり、とても驚きました
最終章の、何に恐れながら運転しているのか、と言うお話もと -
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【感想】
電車の運転を支えるさまざまな技術・工夫について、国鉄=JRの元運転士が余すところなく解説した、燻し銀のような渋い良書。鉄道のしくみをちゃんと理解するには電気の知識が必須だなと思った。
【まとめ】
●交通機関の3原則: 安全、正確(高速)、快適 (=運転士の永遠の目標)
●鉄道の長短:
○決められた道(レール)を走る→線路の専用(閉塞)→定時・高速・大量輸送
○鉄(車輪)が鉄(レール)の上を走る→
①高速運転(走行抵抗が小さい)
②大量輸送(走行抵抗が小さい=重量あたり出力が小さい→大型化が可能)
③雪や雨に強い(車輪とレールの接触面が小さい=単位面積あたりの圧力が大きい→間 -
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40年以上、国鉄JRで働いていた元運転士による、電車の運転や運転士についての話(乗務していた岡山とか広島らへんの話がメイン)と、電車の運転を支える車体や動力、レール、信号や踏切の仕組みの解説。後半の機械やシステムの解説部分が全体の3分の2は超える。
電車の運転操作に関する解説と若干のエッセイみたいなものかと思ったら、全然そんなことはなく、高校で習いそうな電気とか物理の話?も結構あった。正直読み通せるのかどうか不安だったが、文系で鉄ちゃんじゃないおれでもわりと面白く読める。細部はよく分からないけど、少なくとも全然気づかなかった部分に多くの秘密が隠れていることが分かった。例えば「曲線では左右の -
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87点。運転士は、何を考え、どのように電車を運転しているのか。また、それを支える鉄道の仕組みとはどのようなものか。JRの運転士として特急電車から貨物列車まで運転した著者が、電車を動かす複雑精緻なシステムと運転士という仕事を紹介する。
カスタマーレビューがスッパリわかれているが、その理由が「マニアックで難解すぎる」という点で両者一致していることから本書の内容が窺知できるというもの。
システム面だけでなく、運転士としてのテクニカルな内容あるいは、運転士ならではのプランニング、ジャッジメント面の話にいたるまですべてが興味深い。効率、快適を追求しながらも、なにより安全を堅持すべく日々の業務にあたってい -
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ネタバレ[ 内容 ]
時速100キロ以上の速さで数百トンの列車を率いて走行し、時刻通りにホームの定位置にピタリと停める…。
このような職人技をもつ運転士は、何を考え、どのように電車を運転しているのだろう。また、それを支える鉄道の仕組みとはどのようなものだろう。
JRの運転士として特急電車から貨物列車まで運転した著者が、電車を動かす複雑精緻なシステムと運転士という仕事をわかりやすく紹介する。
[ 目次 ]
第1章 鉄道の特徴
第2章 発射と加速
第3章 走る―駅から駅まで
第4章 止まる
第5章 線路と架線
第6章 安全のこと
第7章 より速く
第8章 運転士の思い
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