優待生活でおなじみ桐谷さんの優待株投資のすすめ。いかに快適で豊かな老後が送れるか、いかに安全か、ということが力説され、具体的な優待株投資の方法、(2018年10月時点での)おすすめ銘柄、やることやってはいけないことが解説されている。
「市場の値動きに一喜一憂していたのでは、デイトレーダーと変わりません。私たちが買うのは優待目的です。優待を受け取ることにフォーカスして、株式投資を行ってください。」(p.196)、「値上がりして儲かったのはたまたまラッキーだったという認識が必要です。値上がり益狙いの株式投資に軸足を置けば、破綻に近づきます。あくまで、優待株でリタイア後を豊かにするのだという目的をお忘れなく。」(p.178)ということが信条。確かに正直、国内株式だけで利益を狙うのは難しそうだし、デイトレーダーみたいなことをする余裕は今のおれには全くないし、こうやって桐谷さんみたいに割り切って欲しい優待株を、最低限の投資の鉄則に乗っ取って取得する、という方法が理想かなあと思う。
他の株の本ではPERとかPBRとか、結局何がなんだったんだか記憶に残らないで終わってしまったが、桐谷さんの解説はシンプルで、要するに〇〇、という結論だけサラッと述べられている。何も覚えていないよりは結論だけでも頭に入ってる方がまだマシな気もするので、当面はこれでいいかなあと思った。例えば自今資本比率が「50%を切っていると借金が多いということなので、株初心者は要注意。」(p.169)とか、「PERは、だいたいが10~20で推移していて、15あたりが標準値。高いほど割高な状態にあり、低ければお買い得ということになります。」(p.170)、「PBRは1以上を示しているのが普通です。1より低いのであれば、かなり割安になっている証拠。いずれは1を超えてくるはずで、そこが底値の買い時と考えていいでしょう。」(p.171)とか、こういうことだけでも覚えておこうと思った。
でもこの境地にたどり着いた桐谷さんには、人生をかけるくらいの(?)壮絶な株投資の実体験があったからこそであって、桐谷さんが説明してくれるノリで、桐谷さんのような優待生活が実現するということはないのだろう、とも思う。その証拠に桐谷さんは「適時開示情報閲覧サービス」なんかを毎日チェックして「本書の冒頭カラーページにも載っている株日誌にせっせと書き込んで」(p.180)いったり、優待仲間と積極的な交流を持ったり、やっぱりラクして快適、というのはないのだろうと思う。関係ないけど、「年賀状も金券ショップ」(p.145)という話で、「どうやら、郵便局に勤めている人は乗るまで年賀はがきを大量に買わされるようで、彼らが使いきれない分が金券ショップに出回ります」(同)という事情があるらしい。これが本当ならブラックだなあ、とか思った。(21/06/20)