宇根豊のレビュー一覧

  • 農は過去と未来をつなぐ 田んぼから考えたこと

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    百姓目線での感覚を言語化された本。
    戦前生まれで農家の祖父母、バブル世代でサラリーマンの両親の三世代同居家庭に生まれた私。
    物心ついたときから両者の価値観に関する口論を聞いて育ったのはさておき、自然や生き物、食べ物に関心を抱く子に成長した。
    結局私はそれなりの学力と仕事を得て都市に暮らしているけど、世代交代に伴って自身の見直しの必要を痛感し、今は亡き祖父母の知恵を再現してみることをライフワークにしている。
    そんな世代間ギャップを統合してみたくてこの家に産まれてきたのかも、そんな内省の旅ができた。

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    2025年10月15日
  • 農は過去と未来をつなぐ 田んぼから考えたこと

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    ネタバレ

    タイトルと表紙に惹かれて読んでみたが
    想像以上に良い本で気がついたら付箋まみれになっていた...

    農業の素晴らしさを伝えるというよりは
    「農」という広い世界に視野を広げて
    「農」にはどんな世界が広がっているのか
    かつて百姓はどのように生きてきたか

    百姓仕事とよばれるものが何を守ってきて
    その価値を現代社会でどのように捉えていくべきか。
    農薬、食料自給率、農家の減少など
    現代の問題についても鋭く切り込みながら
    百姓である著者の視点で語られていく。

    〝百姓仕事は、自然も風景も情愛も生産しています。〟

    明治以降に作られた「日本農業」という概念と
    加速する資本主義社会に対する著者の批判は自分に

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    2023年02月10日
  • 農は過去と未来をつなぐ 田んぼから考えたこと

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    2010年読後、著者に会うため大学主催のサミットに参加。
    農が持つ多面的な魅力を再認識。
    この本には、作る人も受取る人もみんなが共有したい大切な
    ことが書かれている。
    著者に心からありがとうと言いたい。

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    2016年12月04日
  • 農はいのちをつなぐ

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    岩波ジュニア新書は、とてもよみやすい。環境学習に携わる仕事を11年やっていた過去を思い出す。仕事からも土からも離れてしまっていたけれど、やはり帰農したいという気持ちにさせられる。

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    2025年10月23日
  • 日本人にとって自然とはなにか

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    ネタバレ

    農業と一元論と日本的な自然概念の需要と。自然が自ずからと天地とNatureだ、Natureの本性本能を受け取らなかったのが選択的なものだというのはたしかにそう。

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    2022年08月13日
  • 農本主義のすすめ

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    農本主義といえば戦後、政治学者・丸山真男氏が陸軍暴走の根源にあった思想として批判したところから、長らく公に語られることはなくなった経緯があるそうだ。

    また当時、農本主義のその中心的な人物であった橘孝三郎(立花隆の叔父にあたるらしい)が、5・15事件を引き起こした青年将校に共鳴してクーデターに参加した(実際には変電所爆破未遂に終わっている)ところから、農本主義者とは極右的な急進改革的な勢力として退けられることも多いという。

    ただ、宇根さんのいう「農本主義」は、拍子抜けするほどに、とても素朴なものだ。

    農本主義とは、そのまま「農を基本において社会を設計をしていく志向」のことであり、現代でいえ

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    2022年07月05日
  • 農は過去と未来をつなぐ 田んぼから考えたこと

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    農業立村に住んでいると否応なく「農業」という産業についてあれこれ考えることが多くなります。  でもね、正直なところ落ちこぼれながら会計人だった KiKi のいわゆるビジネス・センスとかビジネス哲学と農業ってどうしても相容れないことが多いような気がするんですよね~。  要するに都市部の、ひいては現代社会では当たり前になっているある種の尺度では測れないことが凝縮されて成立しているのが農業という産業のような気がして、いえ、そもそも産業という捉え方をして「工業」とか「商業」と並立させる発想で俯瞰しちゃいけないのが農業のような気がして仕方ありません。  ま、そんなモヤモヤとした想いを言語化する1つのきっ

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    2011年09月17日
  • 農は過去と未来をつなぐ 田んぼから考えたこと

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    農業を再定義する一冊。そう書くと言い過ぎかもしれないが、農業オンチの私にはとても面白い本だった。たとえば、田圃にいる赤トンボやメダカは「農業生産物」なのだろうか?田圃の風景は? ふつう農業というと、「お金になる農作物を作る仕事」と捉えてしまうが、この本ではそれだけではない農業の「価値」を教えてくれる。大上段に構えて農業を論じるのではなく、エッセイ調で綴られた、実際に現場にいる人の実感のこもった農業(稲作)論だ。

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    2010年09月16日
  • 農は過去と未来をつなぐ 田んぼから考えたこと

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    ネタバレ

    百姓の働きを支えていかなければいけない、、、
    農業が、生産性や生産高では測ることのできない、様々な恵みをもたらしていることについて、生きもの調査からわかる生物多様性の保全、田んぼや農村の美しい景観、人々の農業のなかに生きている、自然の捉え方などについて、その重要な価値を論じている。

    近代化に伴う経済効率主義の浸透がもたらした様々な弊害があらわとなる現在、これまで経済価値で測られてこなかったもを価値化するための制度や取り組みが、国際レベル、国内でも進められるようになった。
    地球が壊れかけている今、人々の生計を守りつつ、自然環境を確実に維持していくための早急な行動が必要であると、あらためて感じる

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    2020年10月25日
  • 農本主義のすすめ

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    経済的合理性を唯一の基準とする近代的な価値観によって、現代の日本における「農」の営みが危機にさらされていることを批判し、橘孝三郎、権藤成卿、松田喜一という三人の農本主義者の思想を新たに読みなおしつつ、資本主義に対するオルタナティヴとしての農本主義の可能性を論じている本です。

    著者は、橘らの農本主義がファシズムの一種と目されてきたことについて再検討し、「天地有情の共同体」としての「在所」(パトリ)のなかに包まれて「農」の営みにたずさわることと、ファシズムとのあいだに一線を引こうとしています。著者の主張はある程度理解できるのですが、どうしても「自然」を実体的な「唯一者」のようにみなすことへの危惧

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    2022年08月27日
  • 農は過去と未来をつなぐ 田んぼから考えたこと

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    農業は、儲けるためにするのか。そうしてしまったのは、政府。田んぼの実り、それは「できる」ものであって「作る」ものじゃない。生産効率だけを追いかけて、じゃあ、田んぼの生きものたちは何?全てが関わって米ができるのに、目を向けないできた。

    近代化の中で、見落とされて、軽んじられてきたものに目を向ける。それが現代の農業が抱える課題に何か道筋を拓くものではないか、と。

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    2011年09月29日