青木栄一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
これを読んで『失われた30年』の原因の一端が見えた気がする。日本は公教育に人もカネもかけなさすぎ。自分さえ良ければの老害民主主義と、支配階層を自分達のお仲間で固定したいエスタブリッシュメントの意図的な政策誘導によるものと考えるが、本来なら長期展望、即ち著者の言う組織哲学を持った官僚がその流れを変えていく使命があるのに、全くスルーされてしまっている。結局官僚自身がエスタブリッシュメント階級の出身だからだろう。
著者は文科省のロビー活動や政策研究能力、意思の問題だと指摘するが、そもそもそも文科省に「初等教育の機会均等」以外の組織哲学があるのか疑わしい。
そうなるとそのような組織哲学はどうやって形成 -
Posted by ブクログ
様々な面から文部科学省の実態を解説。
財務省や官邸には弱く、教育委員会や国立大学には強気な「内弁慶の外地蔵」という文科省の二面性を指摘している。前半の組織、職員、予算面からの分析が非常に興味深かった。科技庁との合併は、思っていた以上に文部省を変質させたようだ。
また、本書で紹介されていた曽我謙悟京大教授の各省庁の採用戦略の研究が面白かった。各省庁の採用者における法律・経済区分比率、教養区分比率、院卒比率の変化を分析し、各省庁をジェネラリスト重視か、専門性重視かなどで分類するというもの。財務省や経産省はやはりジェネラリスト指向で、文科省は中間だったとのこと。 -
Posted by ブクログ
日本の教育行政はかなり苦境に立たされている現実を知ることができる一冊
子供の学力の低下や研究力の低下がニュースなどで問題視されています。国の教育行政のトップである文部科学省はどういう組織か知りたくて読んでみました。世間からの教育への期待が高まる一方で予算が減らされていく現実を知り、袋小路に入った気分になりました。でも知らないと公的な教育に過剰に期待することにもなり冷静になるためにも教育に興味がある方は読むことをオススメします。未来について考えさせてくれる有名な本「シン・ニホン」との記述と比較しつつ印象に残った点を書きます。
●文部科学省は3流官庁
一般人には官庁のなかに優劣があることの意味が