原島広至のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
英検1級に出てくる紛らわしい単語を覚える手がかりになるかな?と期待して購入。英単語を、パーツ(接頭辞、語根、設備時、連結形)と由来(ギリシア語、ラテン語、ゲルマン語)で文字通り「解剖」している。フルカラーでかなりビジュアル的に工夫されており、情報が充実しているので、時間をかけてじっくり読むか、暇なときに少しずつ目を通す、といった読み方に向いている。個人的には、英語と同じインド・ヨーロッパ語のヒンディー語にも興味があるので本書のインド・ヨーロッパ語の系統図中にヒンディー語も当然含まれていて興奮を覚えた。
本書は世界史の図説や国語の便覧のように、高校生の英語学習の副テキストにしたら良いかもしれない。
あとがきに「ほんの初歩でもいいので、すべての中高生がギリシア語やラテン語、古英語の基本を学ぶ授業があるならば、後々の英語学習にプラスになり、丸暗記ばかりで英語が苦手という人も減って、英語だけではなく言語学全般の理解度の底上げができるのではないか」と作者が書かれておられたが、中高の学校教育でそこまでは無理かもしれないが一理あると思った。
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Posted by ブクログ
of courseがなぜ「オブ」ではないのか、hourのhを読まないのはなぜか、phが入っている語にはどんなものがあるのか、be動詞はなぜbe動詞というのか、など中学英語では当たり前のこととして習う話題について、大きな文字、イラストや写真を用いて、親切に説明している。全ての英語にはカタカナでルビが振ってあるので、英語が全然分からない中学生でも読めるように配慮されている。
配慮はされているが、正直思ったほど分かりやすくない、という印象。英語史関係の色んな本でおれが既に書いたことだけれども、「なぜ」に答えるというよりはこういう経緯でこうなった、という経緯を事細かに説明されている部分も多く、一回読んだだけですんなり理解できるほど単純な話ではない。というか、すごい傲慢な言い方になってしまうけど、英語史を一通り勉強したおれでも、何度か読み直さないと頭に入らない経緯というのがある訳だから、これを本当に中学生や、実は英語は全然得意じゃありません、っていう人が読んだら、どういう気持ちになるんだろう、と思ってしまう。そんな中でも割と誰でも納得できそうなのは大母音推移を説明した「モノグサ母音変化」(p.31)くらいだろうか。本当のところは分からないけど、言語がシンプルな方に発達していくという観点には合っていると思うし、分かりやすい。「あふさか→あうさか→おーさかというように、英語の大母音推移と似たような変化をしているのです。」(p.31)ということで、初めて知った話だった。
あとは経緯の説明なので、「なぜ」に答えたものではないにせよ、知るのは面白かった。「面白いことに、不定詞、命令形、現在分詞はbで始まるタイプのほうが現代まで生き残りました。興味深いことに、ドイツ語では、現在形の単数形は、binやbistのようにb~で始まるタイプが生き残りました。」(p.41)ということだから、ドイツ語ではseinが不定詞なので、Sein動詞と呼ばれる。(ということは英語では古英語のsindが最後まで残る可能性というのはあったのかどうか…)
それから「鎌倉時代以前の日本語では」(p.47)、タチツテトはタティトゥテトだった、なんて、ローマ字の書き方の指導で「つちや」君がTutiyaとか書いたら「トゥティヤ君だね~」とか言ってたけど、鎌倉時代以前だったらこうなるのか、と思った。あとはジとヂの発音の違いの説明(p.113)はわりと分かりやすかった。チャを濁らせた音とシャを濁らせた音、「知人」のジと「詩人」のジの違い、とか、確かにこうやって教えたら分かりやすいなあと思う。それから名詞にlyが付いて形容詞(p.124)、というのは受験英語では有名だけど、timelyとlovelyの例は出したことあったっけ?と思った。それからallの発音は、「2つ並ぶLのうち、最初は母音で、後が子音を示す」(p.128)の部分は面白いと思った。「アル」→「アウル」で、大母音推移で「オール」になったという経緯。最後に、時々あるけど、英語の事実そのものについて、知識があいまいだったところ。まず恥ずかしいがsalmonの発音、初めのsalはアッシュだったとか(p.130)。あと「大佐」のcolonelは「カーネル」が発音が違いということも、どっかで聞いたことがある気がするが、忘れていた。
最後に、ただどうしてもこの本が好きになれず引っかかってしまうのは、著者は英語史や英語の専門家でもなんでもないライターの人であるせいか、ありえないような変な誤植?が目についた(p.15 putではなくputtだろうとか、p.20は可算名詞が加算名詞、となっていたり。p.157のいわゆる「鉤付きシュワー」の発音について、「あいまい母音の後に[r]の発音をするイギリス英語」とあるが、イギリス英語だったらrを発音しないでシュワーと同音になるのでは、とか)。
月とか曜日の名前の由来とかも書いてあって、今中1を教えているので、この本いいかなと思ったけど、読んでみると見た目よりややこしいというか意外と分かりにくくて、やっぱり中1に薦めるのはやめよう、と思ってしまった。英語史の専門家で、このレベルでイラストなんかもいれつつ中学生用の本なんかがあればいいなあと思う。それとも英語史自体が実は忍耐のある大人にしか耐えられないものなのだろうか、とか思った。(21/06/04)