落合淳思のレビュー一覧
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学校で習いはするが,「殷」は謎である.その殷について現在わかっている範囲で詳しく解説してくれる.
そもそも,我々が知識として持っている殷についての情報は,それ以降の王朝による誹謗が多いらしい.とはいえ,殷の時代は甲骨文字の時代,すなわち漢字の勃興期であり,殷の途中まではほとんど記録はなく,残っている記録も占いの記録である.
そう,殷は占いに基づく神権政治だとされているが,さにあらず,その占いも細工によって「欲しい結果」を操作で得たものであり,また,記録の改竄もされていたということで,「神の名を騙った支配」と呼ぶのが適切.
このような甲骨文字から浮かんできたのは,ゆるい連合体としての殷王朝であり -
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立命館生え抜きで、学生時代から甲骨文を専門にしてきた著者による古代史の再整理。
従来、後代に成立した『史記』などの文献重視で語られてきた殷王朝について、同時代資料の甲骨文を用いて事実関係の整理を試みられております。
王朝が存続した期間に比して王の数が多いところから、従来、「殷は兄弟相続であった」などとされていましたが、著者はこれを否定。甲骨文に見られる祭祀のグループ分けを行い、王統の分立と、後世それが統合された可能性を示唆。
日本史でいうならば、南北朝時代が100年続いて、のちに両方の皇統を一つの系図にまとめたようなものなので、そりゃあ『史記』の記述にも矛盾が起きるってもんです。
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Posted by ブクログ
[ 内容 ]
最新研究でわかった4000年前の歴史!
「夏王朝」の真実、作られた「酒池肉林」、始皇帝伝説の誤謬、「赤壁の戦い」の真相。
[ 目次 ]
中国には多様な新石器文化があった
「夏王朝」はなかった
政治手段としての甲骨占卜
紂王は酒池肉林をしなかった
「共和」の時代は共和制ではなかった
『春秋左氏伝』の虚実
覇者は何人か
戦国時代のはじまり
『孫子』は孫子が作っていない
『論語』の理想論
中国の統一は始皇帝の力ではなかった
泰王堂のスキャンダルの真相
作られた始皇帝伝説
泰末の反乱と説話
楚漢戦争と項羽の伝説
三国志の英雄たちと赤壁の戦い
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
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Posted by ブクログ
古代中国に関する教科書にのっている話は古くて真実とは違うことを話している本
なぜかというと教科書というのは所詮は試験用のテキストにすぎないことと、中国の最近まではお金の問題で歴史への研究が活発ではなかったことがある。
代表的な話で、黄河文明でよくいわれるが、実は長江からも同じく文明があること。
まあ、歴史は自分の国の歴史は詳しくでも他国の歴史には無関心であることはよくある話ではある。
頭にのこているものだけピックアップすると
・占いは政権をもっている人のために結果を変えていた。
・夏王朝は実は存在しない。
・酒池肉林としられる人物はじつは政治ですごく忙しかった(ので、そんなことを行えるはずがな -
Posted by ブクログ
著者は日本における殷代史研究の若手のホープで立命館大学の落合先生です。立命館大学といえば白川静御大以来の漢字学研究の蓄積があります。しかし彼の本の内容は「学閥」にありがちな、自分のところの大先生の意見を無批判に受け入れるということはなく、白川文字学を参考にしながらも決して盲信しているわけではありません。また、今まで甲骨文字を解説した本は白川先生をはじめとして「漢字の字源」としてか「殷代史研究」の前提として語られたものに限られ、「甲骨文字の読み方」について初学者にもわかりやすく解説した本はありませんでした(この本が出るまでは白川静『甲骨文字の世界』(平凡社東洋文庫)が一番それに近かったが、あくま