坂井三郎のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
今まで生温い風呂につかっているような人生を送ってきた私が、戦場で命をかけて戦ってこられた坂井三郎氏の言葉に励まされた。
私は、「何をちっぽけなことで悩んでいるのだ。命が取られるわけでもなし。もっと真剣に生き抜いて戦うべきだ」と自分に喝を入れながら読んだ。
坂井三郎氏は、軍人として戦場で命のやり取りをされた方である。また、指揮者として、部下(僚機)を失ったこともなく、瀕死の重症を負ったときは最期まで諦めず帰投された方でもある。
私は、彼が彼自身の生きざまを著作として残されたことに敬意を表したい。
印象に残った言葉
「指揮者は、二つも、三つも、四つもの事に眼を配り、心を配る「分散集中力」 -
Posted by ブクログ
零戦パイロットとして幾度もの死線をくぐり抜け、戦争の第一線を駆け抜け続けた筆者の自伝。
基本的に自信家で交戦的(戦争下であり業務なので当然なのだが)な主人公に共感しづらい点もあったものの、物語後半以降部下を持つようになり、厳しい局面においても自らは不安や焦りを表に出さず、ユーモアを見せて部下の気持ちを和らげるような気遣い、(高度が高く思考力が低下する地においても)非常時でも常に冷静であるべしという筆者の心がけは勉強になった。
印象に残ったのは敵の死にざまの描写。パイロットは飛行機から射撃するため、はじめは自分が銃撃した相手がどうなるのかを見たことがなく現実味が薄かったのだろうが、乱戦が繰り返さ -
Posted by ブクログ
ネタバレ零戦ブーム元祖といわれる本。零戦のデビューから最盛期の時代に活躍した戦闘機パイロットの体験記である。
撃墜機数を競い合うスポ根気質で、敵機を見ると「むくむくと闘志が湧いてきた」という調子で屈託がない。撃墜すれば喜び、敵搭乗員の負傷を間近に見るとひるみ、同僚の仇討ちを誓うという気持ちをそのまま書いているあたり、まるでスポーツ選手の回顧録のようだ。空の格闘戦の詳細などは剣道の試合を思わせる。
強靭な体力、精神力、鍛錬を至上とし、悪運強く生き延びた人の記録は、文学気質の者には決して書けない事実という意味で貴重だと思う。
ただ、著者は戦争末期の苦しい時代を戦っていないから勝者のように書けるのだ -
Posted by ブクログ
「大空のサムライ」こと坂井三郎氏に航空力学の専門家がインタビューをして、その類い稀なる零戦操縦術と戦法の秘密を明らかにした本。
坂井三郎氏の言葉を口述筆記しているので、ズバッ、グッ、ダダッ、バラバラッ、とまるで長嶋茂雄のコメントのようなところがあるが、理路整然と語ってくれるところもあり、そのギャップが逆に臨場感を出している。
「左捻り」という技が、坂井をエースパイロットたらしめたスゴ技らしい。航空力学的な著者の説明が読んでも全然わからなかったが、なんだかすごいことらしいことはわかった。たぶんメカ好きな人には堪らない記述なんだろう。
自分はそういったところはサクッと読み流して、まるで剣 -
Posted by ブクログ
坂井氏の「大空のサムライ」シリーズで最も、彼のパイロットとしての専門性が前面に出ている本だった。今まで多くは書かれていなかった 零戦の性能とか戦闘方法などが多く語られており、彼が超一流のパイロットたる所以が理解できる一冊。
そのため、全て余すところなく読み切ろうと思うとしんどく、専門的なことが書かれている章は、私は結構 読み飛ばした。本をどう読むかは自由なので、私的には それでよいと思っている。
一方、これまでの本に書かれていた上司や同僚とのエピソードの補足や、戦後 南方の旧日本軍基地を訪問した時の話は、坂井氏の気持ちを慮って 胸が押しつぶされるような思いがした。 -
Posted by ブクログ
零戦のエースファイター、坂井三郎さんの実戦での、戦闘法を解説した本。科学としての理論や、坂井さんへのインタビューも載っていて、
結構楽しめました。インタビュアーが、東大の工学部航空科の教授らしくて、科学的に検証しようとする姿勢が、比較的中立で、納得のいく印象でした。しかし、戦争って、「人と人」の戦いだって、つくづく思いました。「戦闘中は、恐怖から逃げた者から死んでいく」っていう事が読んでいて一番大きな教訓でした。
航空力学と、戦闘機の挙動に興味がある人にはお勧めです。あとは昔零戦に乗ってた方とか。記録書と、科学書、インタビューというのが3本柱の内容です。