「#間接材購買戦略」東洋経済新報社、谷口健太郎著
Day18
間接材支出の20%は削減可能!
間接材購買は宝の山、適切な改善策を講ずることで、この「埋蔵金」を手にできる。
この金額は理論値ではなく、ソフトバンク(以下、SB)で、採算度外視しておこなわれた実証実験に基づくもの。
仮に、売上1000億円
...続きを読む、営業利益率が5%の会社なら、10億円の利益増を実現するために200億円の売上を積み増す必要があるが、仮に売上の10%の間接材支出があるなら、すぐにでもその2倍の利益を捻出できる計算だ。
それだけの規模の「埋蔵金」が手つかずに残されている理由として、
1) 直接材にくらべ取引規模が小さいため、経営観点でリソースアサインの優先度が下がる
2) 担当業務(例えばプロモーション)の付随支出(パンフ作成)であるため、支出抑制は職掌範囲外もしくは極めて低い優先度におかれる
3) 定常的な取引になりやすく、あえて価格見直しの手間をかけるモチベーションが働かない
── という点を上げる。
対策として、
・単価の高いものから着手: SBの例では100~500百万円のレンジと、5千万~1億円のレンジで、ともに削減効果が2.5億円となった。低価格帯は金額に対して手間が見合わず逆ザヤになりやすい(ただし低価格帯の方が削減率は大きかった。対応いかんによっては、実質埋蔵金が増える可能性あり)。
・形式的でない相見積もりの実施: 定常的に発注するものでも自動更新はやめる。コピーカウンター料金のように単価制のものも見直し対象に。条件見直しに際しては、必ず新規ベンダーを入れる。(いつものあれ...でなく)発注仕様を明確にする。
・適正な仕様決定: 調達目的を明確にし、オーバースペックを避ける。仕様決定をサプライヤー任せにしない。単に金額が高止まりするのみでなく、新規サプライヤーへの参入障壁となっている可能性も。
・リバースオークションの活用: サプライヤーが何度でも(より低価格での)札を入れなおせす仕組み。発注価格抑制に加え、価格決定とサプライヤー選定プロセスを透明化できるメリットも(個々の取引を見た場合には、一回入札の方が安い札入れとなる可能性も)。
・ITの活用: プロセスの管理や見積もり、選定経緯の記録等。リバースオークションはインターネットによる実装なくしては費用対効果が見合わない可能性大。
── がある。
加えて、業務のブラックボックス化を避け、見積もりから選定のプロセスを可視化するメリットとして、コンプライアンスの確保や、担当の引き継ぎ等に際しての馬鹿にならないコスト等も、記憶にとどめておくべき。
情報の非対称性克服のためには、常日頃から、リサーチを欠かさない。
・サプライヤー情報、あるもの・サービスが欲しい時に提供可能なサプライヤーはどんなところがあるのか?
・仕様情報、平均・標準的な仕様とは?自社の要求水準を満たすか?
・価格情報、業界の価格相場感はどれくらいか?
ただし個社ごとの自助努力でできる範囲には限界があるため、ノンコアで専門性の高い領域は購買業務自体のアウトソース化も検討。