山城むつみのレビュー一覧

  • 文学のプログラム
    最終章の文学のプログラムについて。漢文を訓読することで日本文が誕生したが、訓読と日本文誕生の目的が政治的である以上、日本文は広い意味でイデオロギーをまとう宿命にある。
    とすれば日本文だけでなく世界中に現存する多くの「書き言葉」もイデオロギー的なのでしょうか。
  • 文学のプログラム
    日本語の構造  -2010.04.27記

    「本当に語る人間のためには、<音読み>は<訓読み>を注釈するのに十分です。お互いを結びつけているベンチは、それらが焼きたてのゴーフルのように新鮮なまま出てくるところをみると、実はそれらが作り上げている人びとの仕合わせなのです。
    どこの国にしても、それが方言...続きを読む
  • ドストエフスキー
    かなり細かくいろんな視点から書かれていて読みごたえはすごい。
    同意できる部分やなるほどと思えるところも多かったけどウーンそうかぁ?という部分もあった。

    カラマーゾフの兄弟におけるスメルジャコフとアリョーシャとイワンについてはとても面白く読めた。
    スメルジャコフはとにかくイワンと兄弟として繋がってい...続きを読む
  • 文学のプログラム
    小林秀雄、坂口安吾、保田與重郎。本書は日本の批評家3名についてそれぞれの論評に加えて表題作を収録。いずれの内容も安易なレトリックや曖昧な概念に振り回されることなく、愚直なまでに「読む」ことへの考察を深めようとしている。それは本書で痛烈な批判の対象としながらも、ドストエフスキーに対して「作者が書いたこ...続きを読む
  • 文学のプログラム
    批評とは「読み」そして「書く」ことである。「読む」ことと「書く」ことの連続と非連続、これが本書のテーマであり、批評家山城むつみの拘りである。「読む」とは己を空しくして対象に没入しようとする行為であるが、「書く」とは対象を分析し、論理を介して対象を所有しようとする。「知への倒錯的な愛」に突き動かされた...続きを読む
  • 文学のプログラム
     戦争の緊迫の直下には、人間のせせこましい心理、小賢しい知恵は凍りつく。偉大な破壊への愛情、偉大な運命への従順、驚くべき充満と重量を持つ無心、素直な運命の子供となった人間、娘達の爽やかな笑顔。そこでは、そうしたもののみが存在を許される。だからこそ、あまりにも純粋な心は、戦争を、それが修羅場であるがゆ...続きを読む