高田晃太郎のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
「ロバのスーコと旅をする」の著者が日本でもロバと共に
歩き、日本を見直し、これからの人生を考える、旅行記。
第一部 栃木⇒山口 第二部 福岡⇒香川
第三部 兵庫⇒北海道
相棒はロバのクサツネ(草常)。
その名の通り常に草をモリモリ食べて、共に旅をする。
歩くのは日本。
終着点を決めずに気儘に歩く中に、分かってくるのは、
ロバが多い海外とロバが珍しい日本との違い。
人の反応、生活などの違いも分かってくる。
移りゆく四季と自然、車や道、限界集落の現実なども。
旅の途中での人との交流は、温かさもあれば困惑も有り。
知るのは人の生き方、言葉に心、そして絆。
「カヨとわたし」の内澤旬子さんとも会ってい -
Posted by ブクログ
ネタバレのどかな旅の記録だと思って読み始めたら、存外に過酷で驚かされた。なにしろいきなりロバが死ぬ。筆者が命の危機に晒されるのも一度や二度ではなく、時には雨風に心折られそうになりながら歩く。まるで修行僧のような姿に「自分には、こんな旅路は絶対に無理だ……」と恐れ戦く。
それでいて、書き味はすっきりと読みやすい。
筆者は「ロバほど感情に素直な生き物はいない」と言うが、わたしには筆者もまるでロバのようだと感じる。旅路の最中で、嫌なこと、苛立たしいこと、不快なこと、面白いこと、ありがたいこと、幸せなことに筆者は出会う。人の好意にも悪意にも晒される。そのひとつひとつに怒ったり喜んだりし、しかしあっけないほ -
Posted by ブクログ
SNSでロバと日本を旅されていることを知りました。失礼ながら、最初はバズることが目的なのかと思っていたのですが、本を発売するタイミングで鍵アカウントになったり、ポストの内容から、有名になることが目的ではなく、この方にとってはただ「ロバと旅をする」ことが当たり前なのだと感じました。
この本にも、Twitterは昔でいえば旅先から手紙を書くようなものとあり、納得がいきました。
SNSでもロバがかわいそうなど過剰な愛護の声がありますが、一緒に歩き荷物を運んでもらいお別れの時にはこの方なりの精一杯の愛情を感じました。毎日を共に生きるパートナーというロバと人間の本来の関係が描かれていると思います。
-
Posted by ブクログ
ロバと共にあてのない放浪の旅へ。
イラン、トルコ、モロッコでの、ロバとの出会いと別れ、
人々との関わりを綴った、旅行記。
・はじめに
第一部 イラン 第二部 トルコ 第三部 モロッコ
・おわりに
スーコはモロッコで旅を共にしたメスのロバ。
トルコではオスのソロツベ、イランでは名付けなかった。
名付けたことで愛着が湧いてくる様子には、
歩きたいという気持ちを与えてくれたロバの相棒感が増している。
ロバと歩いたことで出会う、人の情けや助けとトラブルや危険。
直に接するその国の厳しい事情、アフガニスタン人のこと。
現地でのロバの実情にも触れている。
ロバといつまでも歩いていたい。でも別れはやってく -
Posted by ブクログ
Twitterで、トルコやモロッコの親切な人々との交流等、楽しそうな発信を見て、私もソロツベやスーコと一緒に歩きたい! 旅したい! と思っていましたが、本書を読んでみると、実際にはたくさんの危険があり、驚きました。
淡々とした語り口の著者ですが、本当に旅とロバが好きでなければできない日々の積み重ねがあり、特にロバたちへの気持ちが深いことが、本作を通して伝わってきました。
一方で、ロバのほうは悲しい別れの際でも、意外にあっさりしていたり、気持ちが一方通行気味なところも面白かったです。
現在は日本を旅しているそうなので、私もどこかで出会えないか期待しつつ、これからも応援を続けたいと思います。 -
Posted by ブクログ
ロバを連れて日本中を歩いて旅するお話。
時々Twitterで見かけてたロバのクサツネくんが可愛かったので買いました。
私もロバ飼いたい!!と強く思わせる本です。
P17の旅行前のクサツネと旅行後のクサツネの毛並みと筋肉の差がまるで別ロバのようで、旅行や労働って健康にいいんだなぁ、と実感。
途中で出会った鶴亀さんの飼いロバの名前が「ペリーヌ物語」にでてくるパリカール。
確かにあのアニメのパリカールは印象的だった。
見知らぬ旅人を泊めてくれる人が意外と多いことには少し驚きました。(ロバを連れているとはいえ)
ただ、無断で写真を撮られることも多かったそうなので、旅も楽しいことばかりではない -
Posted by ブクログ
ネタバレイラン、トルコ、モロッコをロバと旅した記録。イランでは警察に急にロバと引き離されてしまうが、トルコではオスのソロツベ、モロッコではメスのスーコと、のんびり歩いて旅をする。土地の人の温かさと、旅の厳しさと、ロバのマイペースさと、なんとも味わい深かった。
チャイをご馳走して話をして仲良くなる、そんなイスラム圏の人たちの暮らしがとてもよい。
最後に書いてあった、SNSで別れたくない人と繋がっていられるようになった現代、人は別れるのが下手になったという言葉に胸をつかれた。千キロ以上一緒に旅をして愛着が湧いたロバも、現地で次の飼い主に渡して別れる。たまたま出会った人とロバが一緒に旅をして、別れるべき時に -
Posted by ブクログ
ロバのスーコと旅をするのはモロッコ、その前のトルコはロバのソロツベと旅をし、その前のイランで旅したロバには、名前はない。
ただ歩く旅ではなく、ロバと一緒に歩く。コロナ明けの2022年イランに舞い降りた著者は、現地でロバを買い、共に旅する。追い剥ぎにあったり、犬に襲われたり・・・完全に安全な旅ということではないが、多くの人たちの親切で旅を続ける。交通機関を使えば安全な旅ができるんだけど、路上を歩き、路上に寝る旅は、それが日本だってリスクがあるように、同じ程度にリスクを抱えながら旅を続ける。そんなリスクを抱えても、個性あるロバとの旅は楽しい。