高田晃太郎のレビュー一覧
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ネタバレそもそも著者は、なぜロバと徒歩で日本を旅する事になったのか。
その今から10年前の2016年。
当時26歳だった著者は北海道大学文学部を卒業して、北海道新聞社の記者を辞め、1度目の2年にわたる海外放浪の旅に出た。行先はキューバから南米そしてスペインそして運命のモロッコに着いた。
モロッコの遊牧民の生活を観察している時にロバの
存在に目が向いた。
ロバは重い荷物を乗せても文句ひとつ言わずに涼しげな瞳をしている。
その時に閃いた。
そうだ!
ロバに荷を運ばせて旅する事を思いついた。
2度目の放浪は十勝毎日新聞社に新聞記者を勤めて30歳過ぎのこと。
今度はイラン、トルコ、モロッコと10ヶ月旅をした。
そして3度目の旅が本書の日本での放浪だ。
本書は1章の栃木から山口。
2章の福岡から香川。3章は兵庫から北海道。
一番語りたいのは1章にまとまっている。
面白い人との出会いがいっぱいだ。
ある村での事。
公園での野宿場所を探していてやっと見つけた場所に
40代の警官がニコニコしながら近づき、『ロバを見ていいですか?』と聞いてきた。
警官は純粋か好奇心から写真を撮り帰っていった。
そして自家用車で再び妻と娘と来た。
さらに翌朝も近所の老夫婦が来て笑顔でニンジンを上げている。それを見た警官の妻が一言。
『あなたはロバと旅をしながら、皆に笑顔を届けていつるのですか?』と笑った。
さらにすごい人達と出会う。
広島県北広島町での事。
町の人に声を掛けられた。
広島の方言で『どこから来ちゃったの?』
あれ、来ちゃったってなんか良くない事しちゃった?
みたいな。
広島の方言では、〇〇しっちゃた。は敬語で
来られたのですか?らしい。
その後、地元の自治会役員さんが、カレーライスとか
チキンカツとか持ってきた。
さらに凄いのは、1万円を渡してくる人もいて、
断ったら、力強くその人は言った。
『お金持ちだから上げるんじゃない、むしろ貧乏だ。
応援したいんだ』と言った。
2章と3章は通り越して。
最後に著者は興味深い事に気が付いた。
大人はロバをすぐには認識できない一方。
子供達の反応は対照的だ。
彼らは一目で『ロバだ!』と目を輝かせる。
きっと、絵本やアニメでロバを見慣れているからだ。
クサツネが物語の中から飛び出してきたみたいに
見えたのかもしれない。
子供の純粋か感性を感じた。
クサツネの名前の由来は
『草と常に出会えるように』という著者の優しさから付けたらしい。
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ネタバレ『ロバのクサツネと歩く日本』でロバにとても興味が湧いたので、高田さんの、最初のロバ旅の本も読んでみた。
ところは中東なので、日本とはまるで事情が違うが、日本よりもロバがたくさんいる。というか、日本にはのほとんどロバがいないのだ。
一つに、彼らがロバを飼うのは貧しいから。金持ちは自動車を使う。もう一つは道路が整備されておらず、車が通れない道が多いので、ロバを運搬に使うことだ。
モロッコでは、オートバイに取って代わられるという記述も出てくる。
中東ではロバは家畜なので名前をつけない。初め、高田さんもロバには名前をつけていない。初めて名前をつけたソロツベは、Twitterで名前を聞かれることが多くなって、つけたということだ。4頭目の、この旅で最後のロバ、スーコは、モロッコのスーク(市場)で手にいれたのが由来の名で、この本の題名になっている。
この旅で、何千キロもロバと歩くうちに、高田さんは決定的に「ロバと旅する人」になった。
ソロツベもスーコも、旅の終わりにはそこで生活する人に譲られた。ロバは新しい飼い主に手綱を引かれると、何の躊躇もなくついていく。高田さんには、それが当たり前の光景だった。
高田さんにとって、旅とは、出会ったり別れたりの繰り返しで、そこに留まったり、愛着を覚えることではないようだ。本のタイトルになったスーコにも、特別に思い入れのある様子は見られない。旅の最後に別れたロバなので、少しでも感傷的になって、タイトルになったのだろうか。それともタイトルが必要なので使ってみただけなのだろうか。
できれば連れて帰りたかったが、というのをどこかで読んだ気もするので、やはり愛着もあったと思いたい。 -
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Twitterのタイムラインに流れてきたことがあって、クサツネのことは知っていた。今回、本を読んでみると、面白くてやめられなくなった。
ロバと旅していると、一人旅よりは人に警戒されないこと、その土地の印象は、出会った人によってずいぶん変わってくることもわかった。各地を旅して景色や自然に見とれても、結局どこでも、出会うのは人間なのだ。
知人を訪ねて泊めてもらうこともあるが、基本は野宿。好意で一晩泊めてくれる人もたくさんいる。乞われて、小学校や老人施設で、土地の人たちがロバと交流することもあった。クサツネのおかげで孤独を感じることもない、と作者は言う。
この旅で出会った人の影響で、作者は海水から塩を作って、ロバに積んで売り歩くということを始めた。2025年の今、塩を売りながら、本州を南下中のはずだ。
余談だが、最近、テレビのドキュメンタリで「馬搬」を知った。山の中に重機を入れずに、馬で伐採した木を山の外に運ぶことだ。昔は行われていたが、それを復活して仕事にしている人がいるのだ。環境を考える人たちからの依頼が増えているという。(この本の中にも馬搬の記述があった)
作った塩をロバに積んで、日本各地で売り歩くこととだって、職業にしていいに違いない。
改めてSNSを調べてみたら、フォロワーが14万人もおり、そのため現在地はリアルタイムで明かしていないようだ。それはそうだ、SNSは思わぬ災いを呼ぶものだから。 -
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「ロバのスーコと旅をする」の著者が日本でもロバと共に
歩き、日本を見直し、これからの人生を考える、旅行記。
第一部 栃木⇒山口 第二部 福岡⇒香川
第三部 兵庫⇒北海道
相棒はロバのクサツネ(草常)。
その名の通り常に草をモリモリ食べて、共に旅をする。
歩くのは日本。
終着点を決めずに気儘に歩く中に、分かってくるのは、
ロバが多い海外とロバが珍しい日本との違い。
人の反応、生活などの違いも分かってくる。
移りゆく四季と自然、車や道、限界集落の現実なども。
旅の途中での人との交流は、温かさもあれば困惑も有り。
知るのは人の生き方、言葉に心、そして絆。
「カヨとわたし」の内澤旬子さんとも会っている。
クサツネも牧場での人、馬、牛、ヤギなどと交流。
旅が進むにつれて考えるのは旅が終えた後のこと。
ロバと共に働くような暮らしはできないか?
クサツネとの信頼関係が深まっていくにつれ、
旅の終着点が近づくにつれ、思いが固まってゆく。
ロバが好きなので、たっぷりのクサツネの写真に癒されました。
ロバ自体が日本では少ないので、出会った人たちが羨ましい。
クサツネは多くの人の心に、足跡を残したことでしょう。
そして著者の今後も楽しみです。
近辺の動物園のロバに会いに行ったら、想いを馳せるかも。 -
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ネタバレのどかな旅の記録だと思って読み始めたら、存外に過酷で驚かされた。なにしろいきなりロバが死ぬ。筆者が命の危機に晒されるのも一度や二度ではなく、時には雨風に心折られそうになりながら歩く。まるで修行僧のような姿に「自分には、こんな旅路は絶対に無理だ……」と恐れ戦く。
それでいて、書き味はすっきりと読みやすい。
筆者は「ロバほど感情に素直な生き物はいない」と言うが、わたしには筆者もまるでロバのようだと感じる。旅路の最中で、嫌なこと、苛立たしいこと、不快なこと、面白いこと、ありがたいこと、幸せなことに筆者は出会う。人の好意にも悪意にも晒される。そのひとつひとつに怒ったり喜んだりし、しかしあっけないほどに気持ちを切り替えながら旅は続く。ロバの写真見たさに読み始めたのに、やがて筆者そのものに面白さを感じていることに気がつく。
奇しくも筆者とわたしは同年代だ。34歳(2023年時点)というのはとても微妙な年代で、若者ではなく、しかし老成というにはまだ早い。キャリアがある程度固まってくる年代だからこそ、人生のあまりの長さに挫けそうになる。そんな同世代の目からして、筆者の生き様はいかにも危なっかしい(筆者自身も度々不安を口にする)。同時に憧れる思いもある。自分がそうなりたいというわけではない(絶対無理だ)、旅人という生き方に対する畏敬の念に近い。
旅路はX(旧Twitter)にて今も綴られている。そこだけ聞くといかにもイマドキ風だが、実際覗くとわかるが結構内向きなのだ。今の時代、いくらでもマネタイズできようものを。その辺の不器用さに焦れったくなり、でもそれこそがこの筆者の持ち味だよなあとも思う。
見知らぬ旅人に一宿一飯を施すひとのことを、かつては不思議に思っていたが、この本を読み終えた今は少しわかる。旅行へは誰でも行けるが、旅人は誰でもはなれない。旅人になることを決めたものに旅人でない者ができることは、旅の無事を祈ることと、幸運にも出会えたならば一宿一飯をご馳走することくらいだ。お代はいらない。代わりに彼らの愛するロバの背中をひと撫でさせてもらえれば、それでいい。 -
Posted by ブクログ
SNSでロバと日本を旅されていることを知りました。失礼ながら、最初はバズることが目的なのかと思っていたのですが、本を発売するタイミングで鍵アカウントになったり、ポストの内容から、有名になることが目的ではなく、この方にとってはただ「ロバと旅をする」ことが当たり前なのだと感じました。
この本にも、Twitterは昔でいえば旅先から手紙を書くようなものとあり、納得がいきました。
SNSでもロバがかわいそうなど過剰な愛護の声がありますが、一緒に歩き荷物を運んでもらいお別れの時にはこの方なりの精一杯の愛情を感じました。毎日を共に生きるパートナーというロバと人間の本来の関係が描かれていると思います。
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ロバと共にあてのない放浪の旅へ。
イラン、トルコ、モロッコでの、ロバとの出会いと別れ、
人々との関わりを綴った、旅行記。
・はじめに
第一部 イラン 第二部 トルコ 第三部 モロッコ
・おわりに
スーコはモロッコで旅を共にしたメスのロバ。
トルコではオスのソロツベ、イランでは名付けなかった。
名付けたことで愛着が湧いてくる様子には、
歩きたいという気持ちを与えてくれたロバの相棒感が増している。
ロバと歩いたことで出会う、人の情けや助けとトラブルや危険。
直に接するその国の厳しい事情、アフガニスタン人のこと。
現地でのロバの実情にも触れている。
ロバといつまでも歩いていたい。でも別れはやってくる。
長らく共に歩いたロバを人に託するときの想いは、切ない。
実は、ロバについては関心があって調べていたのですが、
物語や絵本ばかりで、馬の本に添え物的に載っているだけ。
もっと生態を知りたいと思っていたので、
この旅行記で写真や文に現れる生態を知ることが出来たのが、
大変有難かったです。