幡野武彦のレビュー一覧
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日の丸コンテナ会社ONEはなぜ成功したのか?
あのピンクのコンテナが放つ誘惑は、既成概念を壊す革命の証だ。
日本の古ぼけた大企業の殻を破り、シンガポールに設けられた「出島組織」としてONEは生まれた。若手経営陣が自由を手にし、古い価値観を震わせる。民間主導の強烈な危機感と行動力が、赤字の負の連鎖を断ち切り、2兆円超の利益を叩き出すまでに躍進させた。その背後にある熱と焦燥は、甘美な挑発としてほのかに香り、経営の技巧が肌にまとわりつく。だが全てが順風満帆ではなく、時に冷酷な現実が牙を剥き、興奮と不安が交錯する。成功の物語に潜むその隙間こそが、我々の心を掴む本当の魅力だ。活況の裏に潜む痛みも忘れず -
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ロジスティクスの視点で大手海運3社のコンテナ事業には大変注目していた。もう少しインサイダーや裏話的なことを期待して、ある種野次馬的に読んだが、そういった意味では綺麗すぎて若干不満も残るが、大変丁寧に、そして著者たちがこの会社に敬意を払って書いていることがよくわかる。
邦船大手の統合など少し長めの歴史についても参考になる記述が多かった。特に世界レベルの船会社アライアンスについて敬意等をここまで詳細に扱ったものはこれまでなかった気がする。
いずれにしてもニッチな興味・関心のある人にはお勧めの一冊であり、汎化した一般ビジネスにおいても、難しい企業統合のお手本にもなり得るかも知れない。(これを主目的で -
Posted by ブクログ
日本郵船、商船三井、川崎汽船が2018年にコンテナ事業を統合して設立したのが、Ocean Network Express、略称はONE。そして本書は、その設立を巡るドラマである。正確にはマゼンタらしいのだが、まず目につくのはピンク色の船だ。目新しさや他との違いは、このカラーリングにより、この統合による斬新さ、チャレンジ精神を一層引き立てる。
2016年にはアジアから欧州までの海上運賃がコンテナ1本あたり最安値で約8万円円まで落ち込んでいた。いくらコンテナ船が大型化して、大量輸送によるコスト抑制を進めているとは言え、20トンを超える貨物を運ぶ大きなコンテナを1ヵ月以上かけて、アジアから欧州に運