エドワードアシュトンのレビュー一覧
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・ミッキーのキャラクターが良い。今作で明確に認識できたが、一人称が俺で少しやさぐれていて、読者に語りかけるように皮肉っぽい冗談を言う主人公が好きだ。
・とにかく文章のリズムがよく、吹き替えの洋画を観ているような感覚。そもそもの文章の作りと日本語への翻訳、どちらも素敵だからこそのクオリティと思える。訳者に注目したことはこれまでなかったが、大谷真弓の他作品を読んでみたくなった。
・物語の展開もスピーディーでダレない。ミッキーが何をするか明確で、背景と目的も分かりやすい。章の区切りも「なんで!?」「どうなっちゃうの!?」と引き込まれるものが多く、本当にあっという間に読まされてしまう。
また参考として出てくる他惑星や過去の情報もテンポよく小出しにされるので飽きが来ない。過去と現在の情報が行ったり来たりするのはプロジェクトヘイルメアリーを想起させるが、本作では過去の情報が補助的な役割を果たしている向きが強い。
・キャラクターの数も丁度よく、個性も分かりやすい。混乱せずに読める感じ。
セブンとエイトが同じ人格にも関わらず、立場の違いであまり一致していないのが面白い。どちらもユーモラス(当然だが)なので2人の掛け合いはとても心地よく読める。
・あらすじでめちゃくちゃ引き込まれた。単なる不死身ではなく、同じ人格で生まれ直す点とそれによる同一性の考え方も面白い。
全編通して読んだあとにベルトの視点で読み直しても面白そう。
・ムカデ側の詳細や思惑が見えきらず、スッキリしない部分はあった。が、そこ含め情報過多にならないよう調整されているからこそリズムよく読めるし適度なボリュームの作品に収まっていると感じる。膨らませようと思えば他惑星のことや科学的な情報をいくらでも膨らませられるが、あえて良い加減に抑えている。
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『ミッキー7』の続編。前作の結末から2年経った植民惑星での話。深刻なエネルギー不足が発生し、この星の人類が全滅を免れるためには前作で爆弾に改造した反物質を取り戻し、エネルギー炉に再投入する必要がある、という話。先住生命体が沢山登場したねぇ。巨大なムカデみたいなのとか、クモとか、真菌みたいのとか……
ミッキーが「人の事を良く見ている」という設定の人物像なのが相まっての事かもしれないけど『ミッキー7』で読んだ作者の書く人間描写がとても好きで。前作で結構話が綺麗に終わるため、ストーリーが気になって続編読もう、というよりは文体が好みで続編に手が伸びたかなぁ。
例えば『クインの髪は前より伸びている。金色に染めた髪を真ん中分けにしていて、脂じみた頼りない()が細い顔をかこんでいるように見える。』とか、ミッキーにはナーシャという彼女がいるんだけど、彼女と話をするときにミッキーが彼女の肩や膝に寄りかかりながら話をしている様子とか。人間描写が自然な感じがぐっとくる。SFなのに。(隠しきれないSF小説へのド偏見)(主に「三体」のせい)
ミッキーとベルトの友情、ミッキーとマーシャルの関係に萌え萌え。2年の内に色々あったんだね…… -
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テラフォーミングの移民船で、記憶と人格を引き継ぎながら死んでは再生される「エクスペンタブル」のミッキー。7人目の彼が任務中の事故で命からがら生還するが、基地にはすでに8人目のミッキーがいて……というお話。
同一人間が存在することへ忌避の念を抱く者、「死ぬってどういう感じか?」という単純な興味を抱く者……主人公を取り囲む環境や、登場人物たちがそれぞれ異なる価値観や倫理観を持っていて、興味深かった。
地球から遠く離れた地では資源は何もかも貴重で、食料は1カロリーとも無駄にできず、「余分な複製なんてタンパク質がもったいない!」と言われたり。ミッキーの日常はとても過酷。
ミッキーは文字通り命を懸けて仕事をしている。何度も死んで宇宙船のみんなを救っている。「エクスペンタブル」はそれが仕事だから。それ故に彼をヒーロー扱いするものはいない。
ここからは少し脱線するけれど、ふとアンパンマンのことを思い出した。もしアンパンマンに番号が付いていたらどうなるのだろうか、と。バタ子さんが「アンパンマン!ナンバー1649の顔よ!」って。
誰かが「底辺労働者」となるのか「ヒーロー」となるのかってやっぱりその社会がどうなのかが大きいのかな。アンパンマンの世界は金の概念が無く「みんなが喜ぶことが対価」らしい。彼らはやっぱり妖精なんだな、と思う。
シニカルな口調が印象的で、軽妙さの中に重い問いが潜んでいる小説だった。 -
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ネタバレ
面白かった。前巻の内容、特にエイトがどう死んだかは忘れたけど、ミッキーセブン自体はミミズにも司令官達にも適当な嘘をついて切り抜けたのは覚えていた。
あと爆弾。
今巻は、ムカデとロードムービーする。
冒険に出るまでに、コロニーでの生活やミッキー自身の振り返りはあったものの、前巻よりは歴史の話が少なくてちょっと物足りない。今巻でやることが多いせいだと思う。前巻はベルトに置いてかれてどうにか帰還して、エイトと出くわして二人一役をこなす話だったが、今巻は、コロニーでの燃料の話、ムカデの話、南へ行く話と、アクションが多い。
その分、この星の生態がわかって面白いが。
前巻だとエクスペンダブルズという、使い捨ての人間、何度も死ぬ話が、アイデンティティとしての揺らぎとして面白かったが、今回はそんなに。最後に、ナインか、イレブンかはどうなる?というのを気にして終わるが。ミッキー、新しい自分に興味があるのが面白い。でもこれはまた出番があるかも、ワクワクじゃなくて、ビビってるほうか?
どっちかな。ワクワクのほうに読み取れた。
恋人のナーシャや友人のベルトが良い奴だった。ナーシャのキャラが面白い。タフすぎる。主人公だよ。ミッキーのどこを好きになったのか、もうちょっと教えて欲しかった。ミッキーってそこまでイケメン設定じゃなかったと思うけど。
ベルトも格好良かった。
マーシャル司令官もめちゃ良かった。ミッキーにキレまくってるのが面白いし、最後はさっさと死を選ぶのが英雄すぎる。
ミッキーというエクスペンダブルズの存在を嫌う=人道主義者なんだなというのが伝わってきた。前巻だと、そこまで良さがわからなかった。
死んでから良い奴認定するのも、あれだけど。死なないと良い人間だと受け止められないのか?死んだから評価甘くない?みたいな。
次はマギー・リンが司令官か。
3巻もあるなら読みたい。
ムカデ達
侮ってた相手が自分達よりもはるかに知性があることに気づくところは何度味わっても楽しい。神話はあるの?に即興で作って答えるの笑える。
機会的であり、幼くもあり、しかし、学習スピードは凄まじい。
今回、ミッキーから嘘や駆け引きを学んでしまったので、これからどう変化するのか怖いな。でもミッキーの仲間を守るや、信用するしかないところも学んでると思うので、良い方向に行くと良いなという希望的なラストでもある。
共存共生はうまくいくのか。
2巻の副題は反物質ブルースだけど、ブルースは黒人音楽のジャンルで、労働の辛さや仲間の死を歌ったものだから、まあまあミッキー達にもあてはまるか?
辛いこと多かったし。ルーカス死んだのやっぱ悲しい。
ムカデやクモとか、絶妙に人が嫌悪する形をとっているのが面白いな。訳だとそのままムカデじゃなくて、地を這うものから来てるらしいが。
砂の惑星デューンとか思い出すけど、西欧だと、ミミズがそこまで嫌われているのか?日本だとなんだろう。鬼とか?ライ病、被爆者。やっぱクモかな。土蜘蛛とかいるし。ヘビもあるな。ナメクジとか?カエル?
日本人は玉虫の羽根をありがたがって残して飾るくらいだならなあ。貝も食べるし。
2巻の今巻ではわかりやすいアクションとか駆け引きで、あんまアイデンティティの話が無かったけれど、それでもファーストコンタクトモノや冒険ロードムービーとして面白かった。
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丁度良い。
先が気になり過ぎて手が止まらないとまではいかないし、かといって展開が間延びすることなく面白い。起こっていること自体は全く穏やかじゃないが、非常に充実した読書体験だった。
人の紹介で知った本作だが、成立したのがここ最近と中盤読み進めたくらいで知った。『三体』とかと同じかと思ったが、『三体』は意外と前だった。日本に入ってきたのが数年前って感じか。中国語の原文にあたるとか、英語で読めたらいいがそうもいかない。
おし並べてSFは面白い。想像力が刺激される。未知の、下手をしなくとも自分が生きる中では経験の仕様のない事態、環境、時代の下でのあれこれに触れることができる。なんと贅沢なことか。
しかも無傷でね。 -
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ネタバレクローン技術で再生される“使い捨て人間(エクスペンダブル)”と、テラフォーミングのお話。
エクスペンダブルの主人公ミッキーが、深刻に悩みはするけどユーモアある人物なので語り口が飄々としてて、不穏さは漂いつつ楽しく読めました。
数々の惑星で、数多の失敗と成功を繰り返してきた人類。
ミッキーが歴史学者だから、これらのエピソードも無理なく登場してたのも良かったです。
歴史となる記録自体は情報としていつでも読めるけど、それを活かせるのは歴史に学んでいるからこそ……ムカデとの共存を取れたのも彼にはこれがあったからなんだなぁ。相手はこちらの言語を利用できるほど高度な知性体、でも概念や考え方はお互いに理解できないときどうするか…他の惑星に既に答えはあったみたいでした。
ニヴルヘイムでのテラフォーミングも始まったばかり、ようやく雪解けです。続きがあるのか、楽しみだなぁ。
ポン・ジュノ監督の映画版は『ミッキー17』。10人も多いけど…こちらも気になります。ポン・ジュノ作品だから観るだろうけど! -
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人類が地球を離れ(詳細は書かれていないが、地球には住めなくなった・・・今の状況を見れば未来の姿は明白だ)、居住可能な惑星を求めて、宇宙船で光年の開拓に出ざるを得なくなった。そんな過酷な開拓で、生命の危険があっても、どうしても人がやらなければいけない任務があり、それを行うのが「使い捨て人間」・・・エクスペンタブルの主人公ミッキー7。
記憶の転生技術とDNA情報を再現する再生技術のおかげで、クローン人間がすぐに作れる、この未来の世界。
かつてブレードランナーは、レプリカントの生き続けたいという根源的な欲求から、サイボーグとは?生きるとは?というテーマを扱ったが、その世界観はディストピアだった。
この小説は、生き返るから何度死んでも大丈夫ということを前提にしている。
死という絶対的なものが曖昧になった時、人はどう考えるのか?・・・
しかし主人公は、何度も死にながら至って明るい。
重いテーマなのに、哲学的なお話は脇に追いやり、軽やかなSFに仕立てられている。こんな世界だって暗いだけじゃない、生きていることに価値があるんだと思わせてくれるし、読んでいて楽しい。だって地球が住めなくなっちゃったし、科学技術が進歩しちゃったからね。と
この作品は軽薄なSFなんかではなく、きっと人類のリアルな未来の姿を描いたんだろうと思う。
映画「パラサイト」のポン・ジュノが監督した映画も近々公開される。こっちも楽しみ。 -
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ネタバレ面白かった。読みやすい。
この作品を知った時は、面白そうだなと思いつつ、手に取らなかったけど、ポン・ジュノ監督、ロバート・パティンソン主演と聞いて読んでみた。面白かった。映画だとどう料理されるのか楽しみ。
死んだらまた一から身体を再構成される、というのは綾波レイを連想する。しかしミッキーは綾波レイの精神性は有してないので、死ぬのは怖いしお腹を空かせている。攻殻の少佐みたいに自己の同一性にこだわらない。
設定的にはスカイクロワのキルドレにも近いかもしれない。最初にとったデータの身体にバックアップしておいた記憶を読み込ませる。
何度も死ぬ体験からは、リゼロのスバルを連想した。
死ぬことにコリゴリになって記憶のバックアップを拒否するのも面白い。
また、最初の自分を無限に作り出した初代の話は面白かった。侵略じゃん。
その他、細々と、主人公が歴史家をそぶく(ここら辺は銀英伝のヤンっぽい)ゆえに、過去の記録を読むことでこの世界の開拓史を追体験出来るのが面白かった。
開拓っていうかもう、流刑地って感じ。
ロバート・パティンソンは「ハイ・ライズ」ではまさに犯罪者故に超長距離の片道切符の宇宙船に乗って、そこは地獄か天国かみたいな宇宙飛行士を演じてたけど、ミッキー7ではどうなるか楽しみ。
ムカデも良かった。意思の疎通は取れるけど、交流まではいかない関係。共生か戦争か。
マーシャル司令はリーダーとしてはまあまあ。人間としてもまあまあ。感情を抑えて指示できたり感情のままに振る舞ったり。人間。友人のベルトも恋人も。主人公からして、友人の負けに大金をつぎ込むのでクズなのは間違いないと思う。
面白かった。映画楽しみ。