大久保彩のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
すごく長い旅をして帰ってきたような気分になる本だった。言語は深い海のようだと思う。深く見えないものをいろいろな方法を使いながら、どうにか見てみようとしているそう感じさせる本だった。
言語が分かれていることに対して、今まで私はマイナスの感情しか持っていなかった。人類もそうだと思う。だから、バベルの塔のような話が生まれ、言語が違うから争いが起きるとまで言われてきたのだと思う。ただこの言語学の本を読んでいると、違うからこそ比較ができ、比較の中から、自分たちの言語だけではわからなかった根本的な何かを見つけ出すことができる。そう感じた。
言語が思想の形を作ると言う、確信に近い感覚を、まだ誰も立証はできていない。いろんな学者たちがそれを証明しようと試みているが。彼らがいろいろな方法でその真理に近づこうとしているのを、とても興味深く、まとめてくれている本だった。
もしかしたら数学に近いのかもしれない。なんだかそんなことも思った。
とにかく、見たこともない旅に出たい人は、ぜひ読んでみて欲しい。 -
Posted by ブクログ
①言語以前の能力
群れの信頼関係、助け合いの本能
他の個体を模倣する能力
発声器の獲得
音を真似る能力
広める欲求
気づいたことはなんでも共有したい
創意工夫
②プロト言語の発生
先に行動が変わりその後に遺伝的適応が起こる
言語とジェスチャーの混合
100万年前
なんとなくこの辺で音楽が生まれてそうな感じある
ホモエレクトゥスのあたり
③人間の言語への適応と、言語自体のブラッシュアップ
ネアンデルタール人→3万年前絶滅
デニソワ人
20万年前くらいから急速に進む
このへんからホモサピ
社会、文明の発展もこの頃から
コミュニケーション(音声、ジェスチャー、リズム、抑揚)→ 言語、音楽、ダンス、儀式に分化していく
孔雀の羽、ヘラジカのツノ
健康、遺伝的に優秀であることをコストをかけて発信している。通常これらのシグナルはコストがかかる必要がある。コストがかからない分数世代で全ての子孫に広まって、そのシグナルにこだわる個体がいなくなる。
嘘を見抜く適応
他を信頼することが前提で言語が生まれる。
言語が現実を語ることが前提で嘘という概念が成り立つ。
人間は抽象的な問題よりも社会的な問題を解決する方がはるかに得意。
自然な原因を探すよりも、事象に意図(目的)を見出そうとする。
チンパンジーの利き手は50/50
人間の利き手の偏りは明らかに遺伝的。
人の幼年期の異常な長さ
幼年期に人間の成長は一時停止している
6歳で脳の大きさは成人サイズ、体は半人前
10代後半で体は一気に成人に到達する
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Posted by ブクログ
\\ 言語はロマン✧ //
人間の文化である言語はどこから始まったのか。
カタチのない旅の始まり。
◇◇◇◇◇◇
【タイトル】人はなぜ言葉を話すのか?「言語の起源」をめぐる人類の物語
【 著者 】スヴェルケル・ヨハンソン/監訳者:今井むつみ/訳者:大久保彩
【 出版社 】SB クリエイティブ
◇◇◇◇◇◇
言語は、
「他の人間とコミュニケーションをとりたい」
という人類に共通の欲求が背後にある。
⇨人間が一般的な認知能力を社会的相互作用に応用するなかで自然に生じたもの
◇◇◇
☆人間の喉で発音できる、あるいは人間の手を使った手話で表現できるものでなければならない。
☆人間の脳で扱えるものでなければならない。
☆人間の子どもがそれなりの期間内に習得できるものでなければならない。
だとも。
ほぉ。
言語は『人間』がキーワードになっているのですね!
◇◇◇◇◇◇
しかしながら書籍の中には、
書籍内には人間以外にも興味深い動物たちがたくさん出てきています。
例えば、
オウムのアレックス。
「Q.3個あるものは何?」⇨「A.緑のボール」
というように、形状や色、数についてなど数種類の質問に答えることができた。
チンパンジーのワショー。
数百種類の手話を習得
ボノボのカンジ
オムレツを作ったり、ロープを切ったり、パックマンをしたり!?
チンパンジーのサンティーノ。
日々来園者を狙撃する準備を整えていた。⇨計画を立てられる動物だと言われたという。
しかしながら、
馬のクレバー・ハンスの回答力については、質問者の体の弛緩を見抜き、それに合わせて即座に叩くのを止めていたということがわかった。
ご褒美が欲しいからそう進化したのか!?
とか。
見極めは難しいが、人間並みに能力が発達していた動物たちも見られているんです。
◇◇◇◇◇◇
では、再びヒトに戻り。
Q.最初の話者こそが最初の言語使用者だったのか??
⇩
A.言語がはっきり声に出されるものとして始まったかどうかはまったく明らかではない。
それはもしかしたら、
①頭の中でだけ使われていた?
②手話言語だった??
とも言われているんですって!へぇー
◇◇◇◇◇◇
ちなみに私が、深く惹かれた部分はやはり子どものことについて記述された部分でした。
⇩
『子どもは学校に通い始める頃には母語で1万語近くを理解できるようになるが、7歳の場合、この時点で言語に触れ始めてから2000日余りしか経過していない。
これはすなわち、1日に新たな単語を5個、毎日毎日、何年も習得し続けてきた。』
子どもは2歳頃になると言語爆発をし、
50語⇨200〜300語に爆発的に増えるんです。
きっと、その頃から始まり、日々新しい語を習得していくんだろうな。
と不思議かつ人と言語の関わりを改めて考えるきっかけになりました。
◇◇◇◇◇◇
など×②
興味深いテーマが、山のように。
そして深海にまで潜っていけます✧
ぜひこの夏、本書を手にして『言語の起原』を知る探索に出かけてみませんか✨ -
Posted by ブクログ
決済に関する見識を広げることができる。
朧げながら決済の世界の広さ、深さ、複雑さが垣間見え、その過程でいろいろな気づきがあった。
・ビットコインは世界の通貨になり得ない。なぜなら世界に通用する決済が直面する「善悪に基づいた締め出し」にビットコインは無力だから。
・決済の世界が対峙する課題は大きく分けて二つではなかろうか。
一つはマネロン、賄賂、租税回避といった善悪の悪を懲らしめる(決済させない、してもバレる )こと。
もう一つは決済金額、決済スピード、決済頻度、地理的スケールの拡大という難題を叶えながら決済システムの靱性、回復力をも含めて安定させること。
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・ビットコインのような決済プロセスをトラストレスにする技術は決済リスクを抑えることはできても、犯罪リスクはコントロールできない。言い換えれば、決済に対する善悪の価値観を一切持たないし持てない。
・金融システムは超巨大な鉄道網。幹線・支線があり、ターミナル駅・ローカル駅があり、車両がある。ネットワーク。一箇所の故障がダイヤ全体を乱す(ある銀行の破綻が全体に波及)
・ただし鉄道というほど、標準化は進んでない。各国や地域がそれぞれの慣習や経路依存性などに基づいてボトムアップで作り上げた金融システムを節目節目のゲートウェイ(ターミナル駅)でコストをかけて変換して無理やり繋いでいる感じ
(スウィフトは除く)
・クレカの決済モデル
4コーナーモデル
PayPalやストライプはこのモデルの中で優位なポジションを築き、一大フィンテック企業に。
・オープンか、クローズドが
企業が儲けるにはシステムはクローズドであったほうが都合が良い(アリペイ、ウィーチャットペイ、グーグル、Facebook 、VHS vs ビデオテープ、アプリストア )
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お金、文字、宗教
先史時代の部族の規模を超えて機能することを可能にしたもの
デジタル・アナログ、グローバル・ローカルの二軸
国境を越える決済のほとんどは15の銀行のいずれかが携わっている(N=25000)
ウィキリークス
→法で捌かれた訳でもないのに民間企業(PayPal、VISA、マスターカード)が寄付の経路を封鎖。
法律上での"決済"
→負債を免除する方法
価値の移転につきまとう3つの課題
リスク、流動性、慣習
決済リスク→支払い先が倒産して商品を受け取れない
詐欺リスク→なりすまし、踏み倒し等
決済の主役の推移
銀行と現金→クレカ会社とクレカ→フィンテックとモバイルウォレット
あらゆる決済手段の中で、現金は圧倒的に犯罪者に好まれる
中央銀行の貨幣増量
・印刷している訳ではない
・商業銀行から預かった準備金を増やしている(帳簿への追記)
現金容認派の意見
・デジタルシステムの停止リスク
・金融システムへのアクセシビリティの低下(銀行口座、端末、ネットワーク...)
4コーナーモデル
・カード使用者
・加盟店
・カード発行銀行
・加盟店銀行
→4つのアクターのプロセスでクレジット決済が実現。カード発行銀行、加盟店銀行はそれぞれ手数料を受け取る
カード発行銀行の儲けのおこぼれ
→空港ラウンジ、ポイントシステム、キャッシュバック等等
国際送金
・コルレス銀行
・実際にお金が国境を跨いでいる訳ではない
・各領域内で、銀行同士がコミュニケーションをとって帳尻合わせしている。
・帳尻合わせには異国の通貨が必要→外国為替の実需
スウィフト
・専用のスウィフト端末がある
・1日3000万通ものメッセージ
無摩擦決済
→痛みがなければ支出は増える。UIUXを洗練させ、人々の支払っている感をとことん減らす。
例:ウーバー、ワンクリック購入、ゼロクリックサブスク更新
CBDC
・民間銀行の流動性を奪う
"決済の未来をめぐる競争はすでにはじまっており、誰しもビリにはなりたくない。中央銀行は主導権を握りたいし、銀行は利益を上げたいし、テクノロジー企業は成長したいと願っている"
航空会社のロイヤリティプログラム(マイル)
・必要マイル数を増やしてインフレ→航空会社の負債をなくす
・失効済ポイント=丸儲け
・顧客はプログラムを続けるか、やめるかの二択しかない
・マイルはクローズドな通貨システム
EU :
数多の規制、規制当局が多過ぎて銀行は決済ビジネスの開拓に苦労。
決済の元締めは武器になる。
金融制裁、スウィフトからの締め出し
決済ができない→お金のやり取りができない→ビジネスができない→経済の停滞
基軸通貨ドルの"強さ" -
Posted by ブクログ
ネタバレ著者は元マッキンゼーでSWIFTのCEOも努めたゴットフリート・レイブラント氏と、ジャーナリストのナターシャ・デ・テラン氏。
詳しくない分野ですが、たまには、と思って読んでみました。
感想。重厚感あり。一つ一つしっかり解説してくれています。帯の通り「世界を動かすお金の裏側」「支払の歴史・仕組・未来」に400ページほど。
特に、
①便利な決済方法を消費者側は無料で使えていると思っているかもしれないけど、巡り巡って商品価格に転嫁されて、しっかり負担してるよという指摘や、
②クレジットカードビジネスの奥深さ、
は面白かったです。
文量多くてだいぶ読み飛ばしました。
備忘録。
・決済とは「負債を免除する方法」。
・リスク、流動性、慣習。この3つが決済を取り巻く状況に大いに影響する。
・決済は国や文化によって大きな違いがある。例えば買い物全体に占める現金の割合は、スウェーデンは13%、アルバニアは96%とか。米国では小切手がいまだに使われるとか。
クレジットカードについて。
・当たり前だけど驚き、クレジットカードのサイズは世界共通。しかも、キャッシュカードやデビットカードも。
・手数料がどこで発生しているかの4コーナーモデルはわかりやすい。
・カード決済は遠隔決済と高相性。そのぶん、詐欺や不正のリスクがつきまとう。
・「単一通貨ユーロ経済圏」と言いつつも、それを実現してるのはVISAや MasterCardといった米国企業のカード決済が席巻している。中国はアリペイやウィーチャットペイなどのQR決済。
・APIを使うことで決済に革命が起きた。
・アメリカでは「決済は手数料がかかるもの」、欧州では「決済は公共事業で無料で然るべき」と考えられている。欧州では、実際に手数料無料の決済が主流だが、何らかの形で、しっかりビジネスにされている。
・フィンテックは、なぜいまだに銀行を廃業に追い込んでいないのか。①まだ始まったばかり、②新興勢は低い手数料による差別化から入ることぎ多いが、銀行よりコストが低いからそれご出来るとしても、薄利過ぎているケースが多い、③銀行のスイッチングコストは高い(「人は銀行より配偶を帰ることの方が多い」ということわざあり)。
・銀行を脅かし始めているのはむしろクレジットカード会社では。と著者。
・クレジットカードによる支払や借入リスクの研究はたくさんあり、知らず知らずに借金を増やしてしまう人を守るように政府や規制当局は動いている。最近ではカード融資に変わって「今買ってあとで払うBNPL」を提供し始めた企業が増えてきた。クラーナわ、クリアペイ、レイバイなど -
Posted by ブクログ
日々行われている決済の裏側は壮大な世界と様々な思惑があることがわかった。
仕事で海外送金することがあるのでSWIFTの成立ちや信用状の面倒さは納得。
支払方法は国ごとに好みが異なることは興味深い。
そもそも決済とは、
負債を免除する方法。
決済の特性は、
リスク、流動性、慣習により影響を受ける。
非接触型、無摩擦決済は支払の心理的ハードルを下げるもしくは無くしてしまう。
決済の意味するもの、
現金という現物からデータへ移行することで勝者総取りの可能性がでてきた。
決済データ、技術は安全保障上武器にもなる。
決済方法の進化を見ると決済データが巨大テック企業に一極集中することは危うい。
他国の決済サービスに依存することは安全保障上の脅威となりデータを握るものがすべてを手にすることにも。
決済データまでもがSNS同様ソーシャルなものになることは一抹の不安を感じ、暗号通貨がリアル通貨に取って代わる時、国家はどうなるのだろうか。 -
Posted by ブクログ
強烈な内容量を持った本である。貨幣の起源に始まり、1950年代アメリカに始まる決済方法変遷の歴史とその仕組み、国ごとの決済習慣とそれらをネットワークする国際決済の仕組み、デジタル通貨をめぐる巨大テック企業や中央銀行の野望…あまりにトピックが豊富すぎて、一度で全てを消化するのが難しい。一番効率の良いのは、日常で疑問が生じた都度、当該部分を参照するという読み方になろうが、索引がついていないのと、書き振りが冗長なので辞書的な使用がしにくいのが残念。
ともあれ本書を読むにつけ感じるのは「国家のような権力主体が決済システム(≒通貨、金融)を成立させるのではなく、決済システムこそがそれを持つ主体に権力を生じさせるのだ」ということ。だとすると、巷間かまびすしい暗号通貨についてユーフォリックな一部の層が抱く「非中央集権国家的金融システムの可能性」という陶酔に、明白な定義矛盾が含まれていることになる。今次の仮想通貨取引所FTXをめぐる騒動を見ても、一部の人間に権力が集中しガバナンスも機能しなかったことが問題の核心であったことがわかる。やはり通貨、ひいては決済それ自体が必然的に権力を内包するシステムなのであり、権力を伴わない通貨などあり得ないということなのだろう。 -
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なぜ人間は言葉を話すことができるのか、そしていつ人間は言葉を得たのかに関する考察。言語学、進化学、脳科学、考古学などの広範な知見を基に論じている。
基本的には言語は人間だけのものという立場。鈴木俊貴先生の動物言語学の議論と照らし合わせてみると面白いのではないかと感じた。
まず、そもそも言葉とは何かを論じる。ヒト以外の動物(ミツバチ、イルカ、など)のコミュニケーションについても論じ、それらが言葉である可能性を完全に否定はしないものの、明確に言葉を持っているのは人間だけだとする。
特に、類人猿ということで、チンパンジーが本書には多く登場する。チンパンジーは種々の研究によって原始的な言葉を習得するくらいの認知能力をもっているが、それにもかかわらず、自然状態では言葉を発達させない。「できるのにやらない」とも言える。
また、古代の人間、たとえばアウストラロピテクスには言葉はなかっただろうとも論じる。
ただし、骨格の特徴から、少なくとも100万年前の人類は言葉を持っていたし、ネアンデルタール人は我々と遜色ないくらいのレベルで言葉を操れただろうとしている。
ダーウィン的進化論の観点から、言葉が進化するに足る条件を探っていく。
言葉が淘汰圧を引き起こすだけのメリットがあることは概ね自明だから、どちらかというと、他の動物が言葉を進化させなかった理由について探っている。なぜ他の動物が言葉を使わないか(または、使えないか)を明らかにすることで、逆に、人間が言葉を使える理由を明らかにしようというわけだ。
筆者の主張は、だいたい終章にまとめられている。
それによれば、原始の言葉は、人類進化の初期に誕生した。発話による言葉と手話的なジェスチャーとの混合として始まり、少しずつ進化してきた。そして、言語を可能とする能力よりも、むしろ話すことへの意欲を持つような性向が言語発達に大きくかかわっている。
筆者が重視していることの一つが、人間社会の協調性だ。
言葉では簡単にうそをつくことができる。互いを信頼しない社会では、うそが蔓延し、言葉の有用性が発揮されないから進化しない、だから協調性が言語進化の必要条件になる、という理論だ。
…が、個人的にはこれは説得力に欠けるように思われた。
自然界にも、擬態したり、死んだふりをしたり、実際より体を大きく見せたりして、比較的低コストな手段でうそをつく動物はたくさんいる。だが、必要に応じてうそをつかれた側にも対策が進化するので、必ずしもうそをつく側が一人勝ちという状況にはならない。
人間においても、うそをつくことは容易かもしれないが、うそを見破る技術も進化しうる。見破れないうそをつくことは、それ自体が高度な能力を必要とするだろう。うそをつくとペナルティが与えられる場合もある。
言葉によるうそが、他の手段によるうそと比べて、必ずしも簡単でローコスト・ローリスクとは言えないし、うそを防ぐための手段としてわざわざ協調性を持ち出さなくても良いのではないか。
また、初期の言語は、もっぱら「今、ここ」にあるものを語るものであっただろう。それならば、そもそもうそをつく余地は少なかったのではないか。
また、協力関係の進化の原因として、出産時の協力(助産師)を挙げている。
だが、本書で紹介されているのは血縁のある者の協力関係なので、出産の場面に限らなくても協力関係は進化しうるのではないだろうか。
コミュニティがこのような血縁関係であれば、特別な協力関係の進化云々を持ち出さなくても、互助関係が自然に進化しうる。そのような状況下ならば、わざわざ助産を持ち出さずとも、うそをつかずに互いを利することが、進化的にも自然なのではないだろうか。
鳥の歌のような機能から言葉が進化したという説に対して、言葉は両性が話すことができるから否定的だと論じているが、この論拠も疑問だ。
性淘汰で片方の性に進化した形質であっても、その形質を可能とする遺伝子は他方の性にも等しく受け継がれていく(性染色体に乗っているのでない限り)。それが片方の性だけの形質となるのは、そう発現するように調節されているからに過ぎないはずだ。
仮に当初は片方の性だけで発現していた形質だったとしても、それが言葉のような汎用性のある機能であれば、やがて性による発現調節が外れて、両性で等しく発現するというのは、十分あり得るのではないか。
疑問を感じるところもあったが、言語に関する大量の知見を得ることができて勉強になった。
最初の言語を探求する本だが、結論としては、言語は漸進的に、そしてもしかすると多発的に発生した。したがって、最初の言葉をどこで、だれが、何のために使用したのかという問いはほとんど意味をなさない。
面白かったところのメモ:
心の理論。今・ここにない物事を考える能力。チンパンジーは、このようなことを考えることができるが、それを表象する能力を通常は持たない。
チンパンジーは人間の子供と同じくらいの認知能力を持っている。また、訓練によってコミュニケーション能力を持たせることは出来る。しかし、それを率先して使おうという意欲に欠ける。
世界中の言葉の文法は、ある程度の規則に当てはめることができる。これは、人間の認知が言葉を規定していることの証拠なのか。(ただし、著者は、人間の脳に生得的に文法を生み出す機能が備わっているという立場には反対である。)