管賀江留郎のレビュー一覧
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2021-05-09
力作。人を殴り殺せるほど厚い文庫本だが、読み出したら止まらない。一見関係のなさそうな寄り道ばかりに見えて、それが1つに集約していくのには感動すら覚える。
そしてその集約先が、そのように読んでしまうことこそが問題であるという、冷徹な事実。考えさせられる。
あとがきにある、「読者た...続きを読むPosted by ブクログ -
人間の脳は、目の前の対象をそのまま受け入れるのではなく、あらかじめ用意しているパターンに沿って物事を認識しようとする。あるいは、その場で簡単な因果関係をでっち上げ、それに固執する。対象を図式化して捉えようとして、却って真実から遠ざかってしまうことがあるのはこのためである。
元々、人類は生存競争...続きを読むPosted by ブクログ -
道徳感情が冤罪の要因であるという分析や、それを導く過程で歴史を辿っていくのは、とても面白かった。
ただ、13章の認知バイアスの克服を巡る話では、それらしいことを言っているだけという印象が残った。Posted by ブクログ -
進化心理学・政治・憲法・裁判制度・経済・確率論・宗教・・・等様々な切り口から冤罪の原因に迫る書。正に迷宮。面白かったが情報量が多すぎて頭の中の整理がつかない。再読必死。Posted by ブクログ
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冤罪がなぜ発生するのか、その原因は道徳感情にあったというのが本書の結論である。人間は進化の過程で互恵性に基づく集団を組成することで生き延びてきた。その過程では、互恵性のルールから逸脱する者が排除される。結果、逸脱者を排除するために人間の思考には、”我々の社会とはこうあるべき”という道徳感情が次第に形...続きを読むPosted by ブクログ
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政治関係の件など少し冗長なところがあると思いつつも面白く読んでいたのに、後書きのやたら卑屈な異端だとか立派な専門書を参照しろだので白けてしまった。謙遜だとしても序章に書くならともかく500頁超を読んだ後で言ってくるなよと思ってしまったPosted by ブクログ
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読み始めると止まらなくなるくらい引き込まれてる内容だけど、途中で何の話なのかわからなくなるくらい、情報量が多いです。解説でも指摘されるけど白鯨や黒死館殺人事件と同様に奇書なんだと思えば
なんか妙に納得する内容というか構成です。
途中、甲賀三郎、江戸川乱歩、小酒井不木、大坪砂男の名前が出てきたりと探偵...続きを読むPosted by ブクログ -
長すぎて、上下巻に分けてくれないとブックカバーに収まらない!
面白いけれど、ちょっとタイトルと内容にミスマッチがありすぎるのではないだろうか。Posted by ブクログ -
18歳の少年が死刑判決を受けたのち逆転無罪となった〈二俣事件〉をはじめ、戦後の静岡で続発した冤罪事件。その元凶が、“拷問王"紅林麻雄である。検事総長賞に輝いた名刑事はなぜ、証拠の捏造や自白の強要を繰り返したのか? アダム・スミスからベイズ統計学、進化心理学まで走査し辿りついたのは、〈道徳感情〉の恐る...続きを読むPosted by ブクログ
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正直な感想としてはやや冗長で難しかった
でも、冤罪だけでなく人が起こす犯罪も戦争も「道徳感情」に起因するという考えは、すぐ炎上しちゃう現代の社会やコロナ禍の自粛警察などにも通じるんだと思うPosted by ブクログ