冤罪と人類 道徳感情はなぜ人を誤らせるのか

冤罪と人類 道徳感情はなぜ人を誤らせるのか

小説・文芸
1,364円 (税込)

6pt

18歳の少年が死刑判決を受けたのち逆転無罪となった〈二俣事件〉をはじめ、戦後の静岡で続発した冤罪事件。その元凶が、“拷問王”紅林麻雄である。検事総長賞に輝いた名刑事はなぜ、証拠の捏造や自白の強要を繰り返したのか? アダム・スミスからベイズ統計学、進化心理学まで走査し辿りついたのは、〈道徳感情〉の恐るべき逆説だった! 事実を凝視することで昭和史=人類史を書き換え、人間本性を抉る怪著。解説/宮崎哲弥

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冤罪と人類 道徳感情はなぜ人を誤らせるのか のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    2021-05-09
    力作。人を殴り殺せるほど厚い文庫本だが、読み出したら止まらない。一見関係のなさそうな寄り道ばかりに見えて、それが1つに集約していくのには感動すら覚える。
    そしてその集約先が、そのように読んでしまうことこそが問題であるという、冷徹な事実。考えさせられる。
    あとがきにある、「読者たれ消費者になるな」という提言もなかなかに重い。

    戦後の、国警と自治警の指揮系統の違いははじめて知ったし、司法省と内務省のせめぎあいもあらためて知ることが出来た。
    そしてそれが今現在も明らかに影響を残していることにも思い至る。(本書では現在への影響についてはほぼ触れていない)

    進化の無目的性を強調しつつも、より公正にという目的を志向した合議を提案するなど、自家中毒に陥っている部分もないことはないが、少なくともそこに自覚的な分信頼がおける。

    いや、そのような読み方こそ、物語の形でしか理解ができない人間の特性に引きずられているのかもしれない。

    暗いニュースに心を痛める善意の人々、身勝手な犯罪に怒りを覚える人々、世の中の出来事に実感を覚えられない人々、必読の書である。

    0
    2021年05月10日

    Posted by ブクログ

    道徳感情が冤罪の要因であるという分析や、それを導く過程で歴史を辿っていくのは、とても面白かった。
    ただ、13章の認知バイアスの克服を巡る話では、それらしいことを言っているだけという印象が残った。

    0
    2021年11月14日

    Posted by ブクログ

    進化心理学・政治・憲法・裁判制度・経済・確率論・宗教・・・等様々な切り口から冤罪の原因に迫る書。正に迷宮。面白かったが情報量が多すぎて頭の中の整理がつかない。再読必死。

    0
    2021年06月11日

    Posted by ブクログ

    冤罪がなぜ発生するのか、その原因は道徳感情にあったというのが本書の結論である。人間は進化の過程で互恵性に基づく集団を組成することで生き延びてきた。その過程では、互恵性のルールから逸脱する者が排除される。結果、逸脱者を排除するために人間の思考には、”我々の社会とはこうあるべき”という道徳感情が次第に形成され、排除されるものへの敵視とつながる。この道徳感情が暴走した結果、”あいつが犯罪を起こしたに違いない”というイメージが肥大化し、冤罪が生まれるーこれが本書で著者が主張する冤罪発生のメカニズムである。

    とはいいながら、本書の面白さはこの結論の妥当性にあるのではなく、冤罪の原因を巡る過程において、日本の近現代史の掘り起こしとも言うべき、膨大な知の大海を読者は目の当たりにさせられる。

    本書の起点は、1950年に静岡県で発生した二俣事件という連続殺人事件が実は冤罪であった、という話からスタートする。実は、この冤罪を生み出した刑事は、同じように他3つの冤罪に関与しており、一時期は難事件を解決したスターとして取り上げられるも、暴力と自白強要によって冤罪を生み出した点が断罪され、最後は自主退職を余儀なくされ、その2ヶ月後に死去する。

    なぜ4つの冤罪事件が1人の刑事によって生み出されたのか、という謎を解くために、著者は膨大な一次情報を丹念に拾っていく。その過程で、戦前の内務省の強大すぎる権力への他省庁との闘争、ベイズ統計学を鑑識に持ち込んだことによる不確実な捜査など、様々なイシューが展開される。

    この多様なイシューの展開は、異様な魅力に溢れており、”怪著”と言うにふさわしい出来栄え。こんな不思議な本にはなかなか出会えないと思ったし、冤罪を巡ってここまで話を広げられる著者の発想力には感嘆させられた。

    0
    2021年06月06日

    Posted by ブクログ

    政治関係の件など少し冗長なところがあると思いつつも面白く読んでいたのに、後書きのやたら卑屈な異端だとか立派な専門書を参照しろだので白けてしまった。謙遜だとしても序章に書くならともかく500頁超を読んだ後で言ってくるなよと思ってしまった

    0
    2023年10月15日

    Posted by ブクログ

    読み始めると止まらなくなるくらい引き込まれてる内容だけど、途中で何の話なのかわからなくなるくらい、情報量が多いです。解説でも指摘されるけど白鯨や黒死館殺人事件と同様に奇書なんだと思えば
    なんか妙に納得する内容というか構成です。
    途中、甲賀三郎、江戸川乱歩、小酒井不木、大坪砂男の名前が出てきたりと探偵小説好きにはポイント高いです。

    0
    2022年01月03日

    Posted by ブクログ

    長すぎて、上下巻に分けてくれないとブックカバーに収まらない!
    面白いけれど、ちょっとタイトルと内容にミスマッチがありすぎるのではないだろうか。

    0
    2021年10月16日

    Posted by ブクログ

    『冤罪と人類』というタイトルと西洋画の表紙から、かなり大きな内容なんだろうと思って読むと、紅林麻雄を中心とした〈二俣事件〉などの冤罪事件に関する経緯が前半〜中盤を占め。

    それらを昇華した時に、サイコパスと恐怖心の欠如、自己欺瞞と間接互恵性と認知バイアスでこうした殺人事件や冤罪事件が起こるカラクリを理論化したのが後半少しといった所か。

    正直、前半中盤にこれだけページ数を割く必要があったのかしら。

    個人的には理論部が面白かったけれど、そもそもサイコパスが起こした殺人事件と、自らの名誉欲や保身のためにでっち上げた冤罪事件を、評判のための罪としてまとめることは可能か?と思う。

    鬱病の人は、自己欺瞞の能力が低いと書いてある。
    自分や世界のありのままの姿を直視するしか出来ないことは、どんなにか精神的に傷つけられることなのだろう。
    知らず知らずに、自分は目や耳を逸らし、生きていくのに都合の良い現実を生み出している。

    そうした都合の良さが、より権威的に、正義を象徴するまでになったのが冤罪ということか。
    自分が見えなくした現実は、誰かを傷つけ貶めている。その可能性に、果たして自分は気付いているのだろうか、と考えると、堂々巡りしてしまうなぁ。

    道徳的正しさを追求し過ぎることで、社会のバランスを崩し、恐慌を起こしてしまうという流れも考えさせられる。(果たして、正しさだけが純粋に原因たりえるかという検証は必要だが)

    0
    2021年07月18日

    Posted by ブクログ

    18歳の少年が死刑判決を受けたのち逆転無罪となった〈二俣事件〉をはじめ、戦後の静岡で続発した冤罪事件。その元凶が、“拷問王"紅林麻雄である。検事総長賞に輝いた名刑事はなぜ、証拠の捏造や自白の強要を繰り返したのか? アダム・スミスからベイズ統計学、進化心理学まで走査し辿りついたのは、〈道徳感情〉の恐るべき逆説だった! 事実を凝視することで昭和史=人類史を書き換え、人間本性を抉る怪著。

    ものすごい熱量は感じられたが、結局、何がいいたいのかよくわからなかった。

    0
    2021年05月21日

    Posted by ブクログ

    正直な感想としてはやや冗長で難しかった
    でも、冤罪だけでなく人が起こす犯罪も戦争も「道徳感情」に起因するという考えは、すぐ炎上しちゃう現代の社会やコロナ禍の自粛警察などにも通じるんだと思う

    0
    2021年05月08日

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