浅田秀樹のレビュー一覧
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『三体』を読む前の予習をしておこうと思って読んだ。読み物としてはとても楽しい本だと思う。しかし、読みやすくしようとしてか、方程式の計算を数式を使わず日本語で延々と説明しているところなどは逆に分かりづらかった。式が多いと本が売れないから、式を使わないように出版社から言われてるのだろうか。
ちなみに、ガンダムのコロニーや基地は地球と月のラグランジュ点に置かれてるし、宇宙望遠鏡なども太陽と地球のラグランジュ点に置かれているものが多い。
SF小説だけではなく、このように生活に密着したところにも三体問題は関係しているので、みんなも教養として読んでおいてはどうだろう。 -
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小さな娘さんに励まされながら書いたという本。凄く分かりやすくしようと努力してくれているのは分かるが、いかんせん題材が難し過ぎるので、中々着いていけない。
三体問題とは、「重力で引き合う3つの天体(例えば太陽・地球・月)が、初期の位置と速度からどのように運動し続けるか」を予測する課題のこと。ニュートン力学に基づけば、二体(例えば太陽と地球)なら楕円軌道としてきれいに解けるのだが、三体以上になると極めて複雑になり、すべての場合に通用する数式による解答が存在しないことが19世紀に証明された。以後、この問題は数学者・物理学者・天文学者たちを悩ませ続けてきた。
これがスタート。本書の魅力は、「ニュー -
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宇宙の創成期に関して、インフレーションがあり、その後ビッグバンがあったという説が有力視されている。ビッグバンに対してはマイクロ波背景放射が観測され、その現象への理論的裏付けがされてきた。インフレーションに対する理論的現象として、ナノヘルツ重力波の存在が浮上している。ナノヘルツという極小振動数は、1周期振動するのに約30年もかかるという途方もない現象で、これは約30光年という超長波長になるらしい。マイクロ派背景放射は、除去できないノイズから発見されたように、その時の観測で明らかにできたが、ナノヘルツ重力派は最低でも1周期分の数十年の観測データがないと発見できない。この気が遠くなるような世界への挑
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『三体』三部作を読み終えて、宇宙に関する諸々の言葉、特に「重力波」の意味を知りたくなって、購入したブルーバックス。発刊されたばかりとあって最新の宇宙論が披露されている。が、この良くない頭ではやっぱり理解しがたい。
天体や元素や量子なんかの物理現象が数学的にこのように説明できるから、宇宙の姿はこうなっているはずだ、で、その証拠を実証する観測技術を開発して発見しました、の積み重ねが宇宙論なんだなと初めて理解した。でもそれって、観測結果をモデルに沿ってなぞったシミュレーション結果が現実そのものなんです、って言われてるみたいで、しっくりこない。モデルという一面から見れば間違ってはいないが、モデルはしょ -
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中国SFで'三体'というタイトルの小説があり、天体物理学での三体問題の困難さを知った。三体問題を解析する難しさは、物理学の初学者レベルでは理解の入口から一歩も進めない。著者は平易な解説から始めており、理解が進められるかと期待しながら読んでいくが、三体にテーマが突入すると、急に理解を阻む壁の厚さを知る。三体でさえ正確に予測できないことがわかっている現在から見れば、昔の'ラプラスの悪魔'は戯言に過ぎないことがわかる。
本書の中で特に印象に残った部分がある。
1つは重力波望遠機の壮大なスケール感に驚く。
1辺の長さが250万kmの正三角形になるよう観測衛星3機 -
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SF小説の『三体』で有名になった「三体問題」についての解説書。
一体問題、二体問題は比較的簡単に解けるのに三体問題は「なぜか解けない」という事実は知っていたが、この「解けない」というのが具体的に何を意味しているのか正直あやふやだった。一般解が求められないのかなぁとか、ぼんやり思っていた程度。本書によると、状況はもっと複雑なようである。
まず、よく「三体問題が解けない」と言われるのは、厳密に表現すると「求積法を用いて三体問題を解くことは出来ない=三体系の時間発展を求めるのに必要なだけの運動の積分が存在しない」ということである。ただしこの命題は、求積法以外の手法を用いて一般解を求められる可 -
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困難な問題の代名詞になっている「三体問題」にフォーカスを当てた本。その名前、や3つの物体が引き合っている時の軌道を正確に求めることが困難、というぼんやりとしたイメージしか持っていなかったので、ブルーバックスで読めるのはありがたかった。
この問題の”概要”を知るためには、ケプラーの法則から、方程式を解くとはどういうことか、から始まり、距離の二乗に反比例するという万有引力の特徴が3体以上になると途端に困難になり、さらにカオスや相対性理論が問題を複雑にするも、計算量を武器に数値解析解を得るところまで至る道のりがコンパクトにまとまっている。数式を使わずに解説するため、文章を読んでるだけで問題がスッキリ -
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ニュートン力学において、互いに万有引力を及ぼしあう3体の天体の動きを記述する際、運動方程式F=M*aは求めたい変数(天体1の位置)に独立せず存する他の変数(天体2及び3の位置)を含む微分方程式であるため、そのままでは解くことができない。オイラーやラグランジュがそうしたようにある特定の状況を想定した特殊解であれば求められるが、厳密な一般解は2体間においてすら「可積分性」という壁があるために導出困難なのだという。この「可積分性」をクリアするために極座標系で未知の定数を減じ、さらに変数と独立に定まる「運動の定数」を用いて積分回数を減らすことで、時間に関して微分された運動方程式を1回の積分で位置に関