亀倉雄策のレビュー一覧

  • 匠の時代 第11巻
    この巻では、東芝、ミノルタ、新日鉄の三社がとりあげられています。

    東芝の日本語ワープロの開発では、工学を学んだ技術者たちがそれまでなじみのなかった言語学に取り組み、漢字・かな変換という日本語につきまとう大きな問題を解決するために奮闘するようすに焦点をあてています。

    ミノルタの新型カメラの開発では...続きを読む
  • 匠の時代 第12巻
    シリーズ最終巻。この巻では、IBMとホンダがとりあげられています。

    大型コンピュータの製造をおこなってきたIBMが小型機を開発するにあたり、企業内ヴェンチャーのしくみを活用していたことが紹介されています。個人向けのパソコンが普及する情報化社会の黎明期におけるエピソードでもあり、そのような観点からも...続きを読む
  • 匠の時代 第10巻
    この巻では、住友銀行の国際金融部門で、世界中のライヴァルたちとわたりあってきた日本人のすがたをえがいています。

    本書であつかわれているのは主に1970年代であり、急速な経済成長を遂げた日本の円の強さを背景に、国際金融市場の荒海に果敢に船を乗り入れようとする人びとの活気にあふれたようすが活写されてい...続きを読む
  • 匠の時代 第9巻
    中東やアフリカ、南北アメリカへと事業展開を試みる三菱電機のビジネス・パーソンに焦点があてられています。

    日本とは異なる商習慣にときに翻弄されながらも、取引先や政府との折衝をくり返し、すくない利益でも受注を獲得する「おかゆ作戦」から、多くの利益を得ることのできる「銀めし作戦」への転換を図った人びとの...続きを読む
  • 匠の時代 第8巻
    第8巻は、ヨーロッパに事業展開する日本企業のなかから、サンヨー、ホンダ、竹中工務店の三社がとりあげられています。

    日本とは異なる商習慣もさることながら、分化のちがいにとまどうこともすくなくないなかで、当地での交渉を積みかさねていく日本人のすがたがえがかれています。ただし、もっぱらとりあげられている...続きを読む
  • 匠の時代 第7巻
    第7巻は、前半がこれまで同様に技術者たちの活躍が著者自身の文章によって紹介されていますが、後半ではインタヴュー形式で個人のことばが紹介されています。

    インタヴューを受けている技術者は、特定の商品の開発についてのみならず、技術者であるとともに企業に勤めるビジネス・パーソンとしての顔についても語ってい...続きを読む
  • 匠の時代 第6巻
    第6巻では、人工臓器などの医療分野における開発に尽力した技術者たちがとりあげられています。

    医療の分野の技術革新は、難病に苦しむ患者たちを救うことに直結することもあり、ほかの巻にくらべるとドラマティックな構成のルポルタージュになっているように感じました。技術開発の現場そのものを活写するという観点か...続きを読む
  • 匠の時代 第4巻
    第4巻は、松下電器の開発現場のルポになっています。

    評論家の渡部昇一が執筆した松下幸之助の評伝を読んだことがあるのですが、松下の経営哲学のもとで思う存分に腕を振るった個性的な技術者たちの姿が描かれており、おもしろく読みました。ただ個人的な希望としては、経営と開発のつながりについても、もう少し触れて...続きを読む
  • 匠の時代 第5巻
    第5巻は、完全プレハブの家を日本に定着させようと戦ってきたミサワホームの技術者たちが描かれています。

    この巻では、技術的な努力とともに、消費者のニーズにどのように答えていくのかという、もう一つの戦いの舞台にも焦点が当てられており、新鮮な気持ちで読みました。
  • 匠の時代 第1巻
    NHKテレビの「プロジェクトX」を思わせるような内容のルポです。

    「メイド・イン・ジャパン」の製品が海外で高い評価を得ることを可能にしたのは、「昭和四十年代半ばをピークとするわが国技術開発の蓄積にほかならない」と著者は述べています。本シリーズでは、当時の日本の先端技術開発の現場に迫っています。

    ...続きを読む
  • 匠の時代 第2巻
    第2巻では、セイコーの時計製作物語と、カシオとシャープの「電卓戦争」が扱われています。

    「文庫版のあとがきに代えて」の中で著者は、従来の技術史が「国史」という枠組みに捕らわれていたことを指摘し、本シリーズでは技術開発の「個人史」を描き出すことに努めたと語っています。こうした見方は、個人の才能や努力...続きを読む
  • 匠の時代 第3巻
    第3巻では、国鉄のドラマを描くことにまるまる1巻を当てています。新幹線開発や青函トンネル建設の現場を取材し、さらにリニアモーターカーの研究にかける技術者たちの思いを描いています。

    そのほか、多くの乗客たちが行き交う新宿駅に勤める人びとの日々を取材した章もあります。
  • 匠の時代 第5巻
    ミサワホームが1万棟を売っていた時代の物語(昭和50年代)。第2次オイルショックを受け、三沢社長のカリスマのもと、エネルギー自立住宅の開発を目指す。太陽光エネルギーを活用した自給自足である。現在(2013年)、国策として省エネ住宅を推進し、2020年に省エネ基準の義務化に向け、ゼロエネルギー住宅(Z...続きを読む