藤野裕子のレビュー一覧

  • 民衆暴力―一揆・暴動・虐殺の日本近代

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    明治から大正にかけての「民衆暴力」を、そのタイトル通り”民衆”の側の事情を掘り下げて書いた一冊。

    おしなべて言うと…この国の動きは意外と「普通の人」が決めているんだなあ、と。それは悪い意味でも。

    書の最初で、江戸時代は「仁政イデオロギー」のもとに動いていた、と解く。
    身分に応じた動きをすること前提に、領主には百姓の生業維持を保証する責務が、それを保証する領主に百姓は年貢を納める責務がある、という考え方。
    「百姓一揆は筵旗」みたいなイメージがありますが、それも「百姓はこのような格好をする」という前提を崩さずに領主の仁政を乞う、ある種の「お約束」だったらしい。

    が、気候変動や世界的な植民主義

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    2023年05月23日
  • 民衆暴力―一揆・暴動・虐殺の日本近代

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    民衆暴力―一揆・暴動・虐殺の日本近代。藤野 裕子先生の著書。政治家や権力者たちの傲慢理不尽な言動や政策に耐えかねて民衆が暴力を起こしてきた日本の歴史。一揆・暴動・虐殺。普段はおとなしい国民性と言われるのが日本人だけれど政治家や権力者たちの傲慢理不尽な言動や政策には一揆・暴動・虐殺で反抗してきた事実。現代社会で一揆・暴動・虐殺は許されることでないけれど政治家や権力者たちの傲慢理不尽さが度を越せば民衆暴力もあるという緊張感があっても悪くないのかな。

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    2022年12月16日
  • 民衆暴力―一揆・暴動・虐殺の日本近代

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     民衆による暴力の論理を、代表的な四つの事例を主に検討することで明らかにしている。
     気になったのは三点。
    一つは、日露戦争の講和条約の発表を受けて、民衆に厭戦感情が働くとともに、講和条約に反対もしていた論理について明らかではないことである。もう戦争をこれ以上続けたくはないが、もっと有利な講和条件が良い、と民衆が感じていたということか。
     二つ目は、男性労働者の粗暴な振る舞いを、落伍者意識や挫折感の表れではなく、独自の男らしさの文化の表れとみなしている点である。当時の男性労働者は、自身が社会的に見れば下であることは十分承知しており、その上でそうではないように金を気前よく振る舞ったりしたのではな

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    2022年05月27日
  • 民衆暴力―一揆・暴動・虐殺の日本近代

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    前著を踏まえて一般書にしたもので、近世以来の日本の民衆暴力のメカニズムを通時的に描き出したもの。第3章以下は基本的には前著の内容に沿っているのに対して第1章(新政反対一揆)と第2章(秩父事件)は先行研究をまとめつつも著者の視点で一貫した叙述がなされており本書の白眉。なお第3章以降も前著のあとに朝鮮史で提唱され始めた植民地戦争論を採り入れることで内地と植民地朝鮮とが連関する叙述に成功している。

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    2022年02月12日
  • 民衆暴力―一揆・暴動・虐殺の日本近代

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    新書として読みやすいだけでなく、「歴史を通して思考を深められる本」であり、手軽に読めるため良い。ある程度近代史を知っていると読みやすい本。

    近代国家における「暴力」と民衆による暴力の2つの視点が基本的に通底した観点と解釈した。
    世直し一揆から関東大震災の朝鮮人虐殺までの民衆暴力を扱う。

    民衆暴力が単に「怖い」「暴力はいけない」という観点で見るのではなく、抑圧された苦しい現状からの解放願望と同時に差別する対象を徹底的に排除して痛めつけたい(これも二面性がある)という欲望が同居していることなど、様々な面において複層性があることを丁寧にかつ分かりやすく描いている。

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    2021年11月05日
  • 民衆暴力―一揆・暴動・虐殺の日本近代

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    民衆暴力、とはいうものの、初めの江戸時代末期のものはあまり暴力という感じは受けなかった。
    一揆、その後の暴動、事件、そして関東大震災の時の朝鮮人虐殺に至るまでを解説。その時々の人々の息づかいが聞こえてくるような調査研究で、どのような事件が起きたのか、感じることができる。
    巻末のあとがきに筆者が書いているように、大学生にも読めるように、という配慮からか、読みやすかった。
    多数による暴力は今でも起こりうるものであり、自分が加害者になるかもしれないという恐怖も感じた。そうならないように普段から自分の気持ちをよく見ていかなくてはならないと気持ちを引き締めた。

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    2021年08月05日
  • 民衆暴力―一揆・暴動・虐殺の日本近代

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    個々の事件についての分析は面白いが、『民衆暴力』とはという問いへのこたえはよく分からなかった。
    それぞれの事件の入門書として読む方が多そう。

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    2021年03月20日
  • 民衆暴力―一揆・暴動・虐殺の日本近代

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    本書は、明治新政府対する新政反対一揆、自由民権運動と連動する形で起きた秩父事件、日清・日露の両戦役を通じた増税や戦死、厭戦気分の元で警察権力に向けられた日比谷焼き討ち事件、関東大震災時の朝鮮人虐殺事件という4つの出来事を軸として、日本近代の一面を描く。権力の横暴に対する必至の抵抗か、それとも鬱屈を他者へぶつけた暴挙なのか。単純には捉えられない民衆暴力を通し、近代化以降の日本の軌跡とともに国家の権力や統治のあり方を照らし出す。著者を突き動かしたものは、歴史修正主義者が行政にまで入り込んでいる事を痛感せざるを得なかった事が大きいとしている。関東大震災の朝鮮人虐殺事件のひとつである亀戸事件について、

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    2020年12月07日
  • 民衆暴力―一揆・暴動・虐殺の日本近代

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    歴史を多面的に分析した名著。
    江戸時代の一揆、新政府反対一揆、秩父事件、
    日比谷焼き打ち事件、関東大震災の朝鮮人虐殺、
    民衆が誰かに対して攻撃性を発揮した事件を
    比較、それぞれの時代に、当事者たちが
    どういう状況に置かれ、どういう発想に至ったのかを
    読み解く。

    ネットでの誹謗中傷、自粛警察などが
    現実にある現代日本。
    条件が変われば、こうした他者への攻撃性が
    暴力に転じるのか?

    多くの人が読んで考えるべき本だと思う。

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    2020年09月19日
  • 民衆暴力―一揆・暴動・虐殺の日本近代

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    民衆の暴力を歴史の中から読み解き、その構造を示している。歴史修正主義の蔓延る今日、あった事実をそのままに知る事が出来て良かった。
    権力に立ち向かう力は肯定できても、そこに含まれる暴力が例えば被差別部落への襲撃といった日頃蔑視している者への暴力になる構図に恐ろしさを感じた。
    とても考えさせられる本です。

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    2022年03月07日
  • 民衆暴力―一揆・暴動・虐殺の日本近代

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    本庄警察署事件の文献は読んでたので、気になって読んでみた。江戸時代以降、状況の変遷を解説していて、理解が深まった。

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    2021年11月21日
  • 民衆暴力―一揆・暴動・虐殺の日本近代

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    新政反対一揆、秩父事件、日比谷焼き討ち事件、関東大震災時の朝鮮人虐殺を取り上げて日本近代の民衆暴力に迫っている。特に日比谷焼き討ち事件のことはあまり知らなかったので勉強になった。
     
    しかし、実は本書で一番興味深かったのは江戸時代の「仁政イデオロギー」だ。領主が仁政を施して領民(農民)の生活を保障するのに対して領民は年貢をきちんと納める、という支配の正統化イデオロギーである。
    これが成り立っていた頃の百姓一揆は農民であることを示すべく鍬や鎌を掲げつつ、非暴力で要求を主張したという。領主もいきなり弾圧するのは仁政ではないので話し合いに応じたという。言ってみれば、「日本版ノーブレスオブリージュ」み

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    2021年05月08日
  • 民衆暴力―一揆・暴動・虐殺の日本近代

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    近世から近代へと社会が変化する過程で民衆の間の暴力がどのように統治機構に回収されてきたのか、非常に説得力のある仮説が提示される。
    特に日比谷焼討事件の拡大ぶりに恐れをなした政府が、在郷軍人等をとおして市井の人々を政府にとって安全な暴力へと仕立てていったことが、関東大震災の朝鮮人虐殺を誘発したという議論は衝撃的だ。

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    2021年03月13日
  • 民衆暴力―一揆・暴動・虐殺の日本近代

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    集団Aは集団Bを日常的に虐げている。
    Aを取り巻く環境に大きな変化があった時、Aは変化前に戻りたい、変化を認めたくない、Aを団結させたい為にBを仮想敵に仕上げ更なる虐待を加える。そこにはBに対する日頃の後ろめたさが潜んでいる。

    被差別部落に対する第1章、朝鮮人に対する第4・5章は決して忘れてはならない事だ。

    著者は大学生にも手に取ってもらえる本にするという目標の下、書き上げたそうだが、大学生は勿論、高校生にも読んで貰いたい(いい意味でそれだけ平易である)

    田村書店天下茶屋店にて購入。

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    2021年03月03日
  • 民衆暴力―一揆・暴動・虐殺の日本近代

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    民衆の狂気
    朝鮮人を利用して大衆エネルギーをそらす
    権力を持つ側の思考

    民衆管理のための自警団組織、
    それが最悪の機能を果たした済州島の共和会

    権力者は利用する

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    2021年01月21日
  • 民衆暴力―一揆・暴動・虐殺の日本近代

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    江戸時代から関東大震災時まで、様々な状況で発生した民衆暴力の背景が描かれています。暴力的なイメージの一揆も江戸時代の安定した時期ならある意味正当な民衆の意見表明のルールに従った行為として非暴力的に行われていた。それが社会の不安定化に伴う不安、格差拡大の拡がりとともに暴力的な意思表明になり、それが権力の前に実現不可能になると社会の中の弱い部分や異質な部分に向けられる・・ いきなり噴出したかのように見える民衆の暴力にはやはり歴史的な必然性みたいなものがあるんですね。

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    2021年01月08日
  • 民衆暴力―一揆・暴動・虐殺の日本近代

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    個人的に、自分は消防団が大嫌いだった。直感で、軍隊(経験したことはないが...)をイメージさせるからだった。群れるより、一匹狼的人生を選択したいと痛感させられた内容だった。

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    2021年01月02日
  • 民衆暴力―一揆・暴動・虐殺の日本近代

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    近代の日本で、民衆が法や規範を突き抜けて暴力行為に及んだのはなぜなのか。4つの歴史的な事件を題材として、民衆の暴力行為を支えた「論理」を探究した本。

    それぞれの暴力行為がそれぞれの「正義」に支えられていたことが分かった。
    人が本来暴力的な部分を持つ生き物だということも忘れちゃいけないと思った。

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    2020年12月08日
  • 民衆暴力―一揆・暴動・虐殺の日本近代

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    近世の百姓一揆から新政府反対一揆、秩父事件、日比谷焼き討ち事件を経て関東大震災での朝鮮人虐殺まで。とくに朝鮮人虐殺については、2章を当ててその実態と論理を明らかにしており、歴史修正主義に抗する筆者の意志が伝わってくる。

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    2020年10月05日
  • 民衆暴力―一揆・暴動・虐殺の日本近代

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    近代の民衆暴力ということで、明治初期の新政反対一揆、1884年の秩父事件、1905年の日比谷焼き打ち事件、1923年の関東大震災時の朝鮮人虐殺を取り上げている。朝鮮人虐殺に関する知識を深めるために読んだこともあってかもしれないけど、何やら他の3つの事象に比べて性質が違うような気がした。紙幅の割き方も大きく、むしろ朝鮮人虐殺のことで一冊できるような気もしたけど。
    選んだからかもしれないけど、時代を追うにしたがって無秩序になっていく感じがする。序章では江戸時代の百姓一揆の流儀についても書かれているんだけど、意外と秩序だったパフォーマンス的なものだったのに。人々が権力に虐げられたり権力が強いる理不尽

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    2024年10月13日