小倉日向のレビュー一覧
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小倉日向『いっそこの手で殺せたら』双葉文庫。
これは面白かった。読み進むうちに深まる謎。プロローグを読むと主人公が教え子に手を出した不届き者の教師かと思えば、そうではなく。中盤の手前で性犯罪をテーマにした社会派小説であることに気付くのだが、全くの謎だらけなのだ。
元教師で現在は在宅でライターを生業にしている筒見芳晃は10歳年下の妻・絵梨と年頃の娘・沙梨奈と3人で平穏な暮らしを送っていた。
ある日、勤め先から帰って来ず、携帯電話も不通である妻を心配した芳晃は不吉な予感に駆られて交番を訪ねると、妻が職場の近くで都の迷惑防止条例違反で逮捕されたことを知る。
芳晃が勾留中の妻に接見しようとするが、取調中は弁護士しか接見出来ないと言われる。芳晃がネットで見付けた弁護士に事情を話し、妻との接見を依頼するが、既に妻には職場が雇った弁護士が付いていると言う。
やがて、妻が釈放されるという連絡を受けた芳晃が警察に向かうと釈放された女性は妻の絵梨ではない見知らぬ女性で、いきなり目の前から逃亡する。その後、妻の弁護士が何者かに殺害され、密かに芳晃と沙梨奈に怪しい影が忍び寄ってくる。
一体何が起きているのか……
本体価格860円
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小倉日向『極刑』双葉文庫。
著者のデビュー作。
なかなかしっかりしたストーリーは最後まで緩むことがなく、最後の最後に大きな山場を持って来たところが好評価。
世の中では連日のように様々な事件が報道されている。通り魔、ストーカー殺人、強盗傷害殺人、轢き逃げ、いじめによる自殺といつどんな事件に巻き込まれてもおかしくない状況だ。そして、こうした犯罪の加害者にも関わらず、罪から逃げおおせる輩が居る。
本作は犯罪の加害者に密かに正義の鉄槌を下す現代の必殺仕置人のような男の話だ。
かつて、野島恭介という19歳の男に愛する娘を殺害され、その幼い肉体を汚されたにも関わらず、男に極刑を望まなかった半田龍樹は、妻と別れ、会社も辞めて、小さな居酒屋を営んでいた。
店では寡黙で丁寧な接客をする大将と常連客から慕われる龍樹だったが、その裏では卑劣な犯罪を犯しながら逃げおおせた犯罪者たちを執拗に追跡し、死の制裁を与えていた。
その陰で龍樹は娘を殺害した野島恭介と刑務所で面会を繰り返すうちに、とんでもない卑劣な犯罪の存在を知る。
本体価格760円
★★★★★ -
Posted by ブクログ
想像してください。
仮に自分の娘が強姦に遭いました。
加害者は今も元気に暮らしています。
加害者に話を聞くと、悪びれている様子もなく、かつて自分はモテていたと武勇伝かのように語っています。
さて、あなたは彼に何を思いますか?
強姦は心の殺人とも言われています。
被害者やその遺族は一生苦しみ続けるのです。
乗り越えようともがくも、ついには過去の悪夢に耐えきれず、自ら命を断つ人もいます。
子どもを狙う犯罪者は再犯が8割以上だという説もあります。
まだ幼い少女が、欲望をむき出しにした男の毒牙にかかったにも関わらず、加害者はのうのうと生活している現実を、被害者はどう受け止めたらいいのでしょう。
この本では、もし将来自分の娘が被害者になったら、自分の息子が加害者になったら、自分の妻が若かりし頃に被害に遭っていたら、自分はどう感じ、どう選択するのかを、眼前に突きつけてきます。 -
Posted by ブクログ
最初は謎だらけ。でも物語が進むにつれて、少しずつ真実の輪郭が見えてくる。
展開としてはベタかもしれない。でも、それでもやっぱり面白い。惹きつけられる。
何が正義かなんて、結局誰にもわからない。ただ、一生消えない心の傷を背負った人の気持ちは、その人にしかわからないし、「悪いやつを殺したい」みたいな単純な感情では済まないものがある。
ラストの父の行動は、感情任せじゃなかったと思う。これまでの出来事を経て、彼なりに理性的に導き出した「自分がやらなければならない」という結論だったのだろう。
法的にどうかはともかく、物語の結末としてはとても自然で、納得感のある着地だった。
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Posted by ブクログ
小倉日向『東京ゼロ地裁 執行 3』双葉文庫。
書き下ろしシリーズ第3弾。
『極刑』と『いっそこの手で殺せたら』は★5つを付けたほど面白かったので、このシリーズにも期待していたのだが、第1弾は既視感のある設定とストーリーで★1つとふるわなかった。第2弾は★3つと盛り返して来たので、この第3弾には期待するところが大きい。
結果から言えば、この第3弾はなかなか面白かった。今回、東京ゼロ地裁が鉄槌を下すのは、賠償金を安くするために偽装を行なった交通死亡事故の加害者と妻子を殺害して死刑になった男性を貶めた極悪非道の真犯人である。
死刑を執行された死刑囚が冤罪だったという前代未聞の事件。現代日本でも冤罪の可能性が高いのに既に死刑を執行されてしまった死刑囚が何人か居るようだ。一方で、現在100人以上の確定死刑囚が居るのに、ここ数年は死刑が執行されていないという矛盾は全くおかしな話だ。
東京地裁民事部の判事で東京ゼロ地裁のトップである山代は同僚から『癌で余命宣告を受けた被害者の交通事故死案件』について相談され、調書に記された名に愕然とする。被告の七浦は、かつて担当した訴訟で、無謀運転により相手に重傷を負わせた張本人だったのだ。
一方、妻子を殺害し、放火した罪で死刑となった根岸弘文の妹の紗和は殺されたはずの義姉によく似た女性を見掛け、事件を捜査した所轄署に駆け込む。しかし、当時取り調べた刑事は誰も残っておらず、裁判も死刑の執行も終わった今となってはどうすることも出来ず、、途方に暮れる。そんな紗和に、意外な人物が救いの手を差し伸べ、秘密裏に再捜査が進められる。やがて、事件の裏に隠された恐るべき真相が浮かび上がる。
本体価格730円
★★★★ -
Posted by ブクログ
このタイトルの意味を知るのは結構後半になりました。冒頭から、なぜ?、どうして?、と思いながら読み進めることになります。
性犯罪者の再犯率は結構高いと聞いていました。しかもその数字は検挙されて表に出ているだけの数字なので、実際には泣き寝入りしたり、検挙できなかったり、事件化されなかった分も含めると更に高くなります。
逮捕された犯罪者は服役して刑期を終えると、またやり直すことができますが、被害者やその家族や関係者はずっと暗い過去を背負って生きていくことになります。
もし、自分の家族や大事な人が被害に遭ったとしたら、もう自分の未来は考えずに、司法に委ねるよりは「いっそこの手で...」と思うはずです。
日本の性犯罪再犯防止対策は先進国の中でも周回遅れと言われています。AIでもなんでも使えるものは全て使って、未然に防いでほしいと思います。 -
Posted by ブクログ
犯罪被害遺族の男が、卑劣な悪人に制裁を加えるお話
以下、公式のあらすじ
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娘を殺されながらも極刑を望まなかった半田龍樹は、妻とも別れ、小さな居酒屋を始めた。
一見、平穏に流れる日々――。だが、常連客は知らなかった。
龍樹の陰の"制裁"を。卑劣な罪を犯しながらも逃げおおせた者を執拗に追跡し、淡々と運命の引き金を引いていく龍樹。
黒い血に塗れた両の手は、やがて思いがけない事態を引き寄せてしまう。
人間のダークサイドを容赦なく抉り、読後はなぜか救われる衝撃のデビュー作。
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言葉巧みにドラッグレイプを繰り返す広告代理店の男、飲酒運転の末に子供たちを轢き逃げして出所後も懲りないボンボン息子、DV男、正義を気取ってネットでの加害者の情報を暴露する愉快犯、通り魔、児童ポルノ販売など
反省の色もなく、同情の余地のない輩達
娘をわいせつ事件で亡くし、犯人に極刑を求めなかったが故に妻とも別れることになった半田龍樹
彼は娘を殺して服役中の犯人に面会を繰り返す、その真意とは?
また、普段は居酒屋を営みながら、悪人達に制裁を加える目的とは?
龍樹が娘を殺した犯人に極刑を求めなず、ただ対話をする意味
娘が生きた、または殺された意義
犯人が死ねばゼロになるだけだが、犯人が更生したら、将来被害に遭う子たちを救った事になる
でも、ここで私刑になってればその被害は起きないわけで
理由としては論理性に欠ける気がする
でも、本人もそんな事はわかってる
よの中の悪人への制裁
自分が正義だとは思っていないし、その行いが罪であることも理解している
いくらそんな事をしても自分の心が救われる事はない
そんな事はわかっているのに、なぜ続けるのか?
ミステリと言うにはトリック要素がほぼない
悪人達の情報にしても、容易によく過去までよく調べられていて制裁を加える際にもご都合な展開
その辺、ご隠居が関係してるのかなと、序盤は思ったけど……
なので、必殺仕事人的なクライムサスペンスというジャンルかな
重きを置いているのは、龍樹の虚無感や徒労感
犯罪被害者家族のやるせなさでしょうか