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Posted by ブクログ
小倉日向『いっそこの手で殺せたら』双葉文庫。
これは面白かった。読み進むうちに深まる謎。プロローグを読むと主人公が教え子に手を出した不届き者の教師かと思えば、そうではなく。中盤の手前で性犯罪をテーマにした社会派小説であることに気付くのだが、全くの謎だらけなのだ。
元教師で現在は在宅でライターを生業にしている筒見芳晃は10歳年下の妻・絵梨と年頃の娘・沙梨奈と3人で平穏な暮らしを送っていた。
ある日、勤め先から帰って来ず、携帯電話も不通である妻を心配した芳晃は不吉な予感に駆られて交番を訪ねると、妻が職場の近くで都の迷惑防止条例違反で逮捕されたことを知る。
芳晃が勾留中の妻に接見しようとするが、取調中は弁護士しか接見出来ないと言われる。芳晃がネットで見付けた弁護士に事情を話し、妻との接見を依頼するが、既に妻には職場が雇った弁護士が付いていると言う。
やがて、妻が釈放されるという連絡を受けた芳晃が警察に向かうと釈放された女性は妻の絵梨ではない見知らぬ女性で、いきなり目の前から逃亡する。その後、妻の弁護士が何者かに殺害され、密かに芳晃と沙梨奈に怪しい影が忍び寄ってくる。
一体何が起きているのか……
本体価格860円
★★★★★
Posted by ブクログ
想像してください。
仮に自分の娘が強姦に遭いました。
加害者は今も元気に暮らしています。
加害者に話を聞くと、悪びれている様子もなく、かつて自分はモテていたと武勇伝かのように語っています。
さて、あなたは彼に何を思いますか?
強姦は心の殺人とも言われています。
被害者やその遺族は一生苦しみ続けるのです。
乗り越えようともがくも、ついには過去の悪夢に耐えきれず、自ら命を断つ人もいます。
子どもを狙う犯罪者は再犯が8割以上だという説もあります。
まだ幼い少女が、欲望をむき出しにした男の毒牙にかかったにも関わらず、加害者はのうのうと生活している現実を、被害者はどう受け止めたらいいのでしょう。
この本では、もし将来自分の娘が被害者になったら、自分の息子が加害者になったら、自分の妻が若かりし頃に被害に遭っていたら、自分はどう感じ、どう選択するのかを、眼前に突きつけてきます。
Posted by ブクログ
最初は謎だらけ。でも物語が進むにつれて、少しずつ真実の輪郭が見えてくる。
展開としてはベタかもしれない。でも、それでもやっぱり面白い。惹きつけられる。
何が正義かなんて、結局誰にもわからない。ただ、一生消えない心の傷を背負った人の気持ちは、その人にしかわからないし、「悪いやつを殺したい」みたいな単純な感情では済まないものがある。
ラストの父の行動は、感情任せじゃなかったと思う。これまでの出来事を経て、彼なりに理性的に導き出した「自分がやらなければならない」という結論だったのだろう。
法的にどうかはともかく、物語の結末としてはとても自然で、納得感のある着地だった。
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小説・文芸