六草いちかのレビュー一覧
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エリス(エリーゼ)の写真なるものを某所で見て、出元はどこかと思ったら六草さんだったのかー!!またしてもすごい!!!どんだけ大発見を繰り返すのですか?!
エリーゼは帽子職人として身を立てていた、というのが前著で明らかにされていた。本著ではエリーゼが結婚していたこと、第二次大戦後まで生きて最後は老人ホームで息を引き取ったことが明かされる。ちゃんと幸せになって、大変な時代を生き抜いて、長生きしていたことがわかってよかった。
そして、エリーゼと鷗外の間にあったのが純愛だってことがよくわかった。鷗外は再婚までに12年も間が空いた。その間、エリーゼも独身を通していた。エリーゼが結婚したのは鷗外の再婚から3 -
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研究は足でするものだ!と強く感じさせてくれる。
そして、いくつもの偶然の重なり合いに、読んでいてドキドキさせられた。研究って、ある意味、サスペンスなんだな。そりゃそうか、消えた人の足跡を追いかけるんだから、探偵と変わらない。
エリスの写真なるものがあるのだけれど、あれも六草さんの発見らしい。すごすぎる、六草さん。
筆者の六草さんは鷗外の研究者ではない。だからこそ先入観なく一次資料を追いかけられたのではないかと思った。鷗外の周辺人物とはいえ、彼らの視線にはさまざまなバイアスがかかる。なまじそれらに詳しくなれば、いらない予断もきっと入ってしまうんじゃないだろうか。
『舞姫』にも鷗外にも良い印象 -
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単行本で既読なのだけど、文庫化にあたり大幅に書き直されていると知り、これは読まなければと手に取った。やはりおもしろい!前に読んだ時は、これで「エリス」は誰なのかという近代文学史最大の魅力的な謎(と私は思う)にとうとう答えが出たという感慨が圧倒的だったが、今回はまた違った感動があった。
何と言っても、著者の粘り強く徹底的に調べていく姿勢に頭が下がる。ここまで一次資料にきちんとあたっていくことは、研究者でも容易ではないだろう。先行する研究に敬意を払いつつ、少しの疑問もゆるがせにせず、根拠となる資料を探していく。その熱意があったからこそ、偶然としかいえないいくつもの巡り会いが、エリス=エリーゼ・ヴ -
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大学時代、森鷗外ゼミに入り、数々の作品を読み、最終的にはグループでまだ書き下し文になっていなかったドイツから帰りの船旅を記した「還東日乗」を基に鷗外の心情を表した論文を発表した。雅文体も漢文をベースにした格調高いと言われている文章も、はたまた家の重圧、軍医と文学の二足の草鞋、諦念等々二十歳そこそこも若造にわかるわけない。それでも文学散歩と称して谷根千辺りを観潮楼後の鷗外記念館、「雁」の舞台になった不忍池-無縁坂、水月ホテル鷗外荘を見て回った。卒業してからも松本清張や森まゆみが鷗外について書けばフォローしてきたし、左遷先の小倉での新事実、果てはタイムスリップしたり、探偵になった鷗外ともお付き合い
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「舞姫」授業準備のために読む。
エリスの正体に迫るもので、ベルリン在住の筆者が地の利を活かしてドイツの公文書や教会簿などをしらみつぶしに探す過程に圧倒される。
それも、本業ではなく好奇心から始めたものだから、「もうやめよう、これで終わりにしよう」と思いながら、諦めきれなかったり、偶然の出会いなどがあったりしてふんばる様子が生々しく、ハラハラする。まるでミステリーを読んでいるよう。
鷗外が「舞姫」で「なに」を書いたか、だけでなく、「なぜ」書いたのかを知って欲しい、という筆者の言葉に、限られた時間の授業では「なに」が書かれているかを考えることに注力したけれど、次に授業をする機会があったら、外部資 -
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昨年、新聞でもその発見が話題になり大きく取り上げられた、舞姫エリスのモデル、エリーゼ・ヴィーゲルトの写真も記憶に新しい。その写真にたどり着くまでの労苦が綴られた本書。
前作『鴎外の恋 舞姫エリスの真実』に引き続き、著者の地道な現地調査により、その後のエリーゼが明らかにされている。
相変わらずの、ここまでやるのか!と驚嘆せずにいられないほどの綿密な調査。やはりベルリン在住だからこそできたことだろう。
そして、100年以上前の個人的なことでもここまで調査できるものなんだ、という驚きも同時にあるのだが。
鴎外とエリーゼの、ドラマチックな純愛。
「事実は小説よりも奇なり」とはこういうことか。