ヴィクターメソスのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「コロナによる自粛」のために「対策」として買った2冊の単行本は、読むタイミングを逃し。
そのままズルズルと文庫本を読み漁る日々に戻る。
で、読んでみるとこれが「人種差別」を扱うタイムリーな話だった。
(2020年07月)
麻薬取引の容疑で少年が逮捕される。少年に不利な証拠が多く、まともな証人もいない。少年は知的障害を持ち、厳重な売人とのコネや、計画的な犯行が不可能なのだが…
弁護士のダニエルは、調査員ウィルの手を借りながら奮闘する。
司法制度や、人種差別についてはカバーの見た目からの印象よりだいぶ重たいテーマを真面目に扱っています。
根の深い問題、巨大な敵に主人公がどのように立ち向かうのか -
Posted by ブクログ
なんて素敵な小説なんだ? これは読み終わったときの感想でもあり、読んでいる途中の感覚でもある。そう、ミステリーのプロットのみならず、読んでいる時間が充実している小説なのだ。
軽妙な一人称文体による、ぱっとしない女性刑事弁護士の日常を活写しながら、重厚で手強いテーマへのチャレンジング精神豊かな、骨のある小説なのである。弁護士ヒロインの名前を邦題タイトルにしているので地味な印象を受けるが、映画されても素敵だろうなと思うくらい、ヒロイン以外にも忘れ難く味のある個性派キャラクターが脇を固める。
騒がしいダニエルの生活基盤に入り込んで来るのは、捨て子で黒人で知的障害を抱える、まさに三重苦の少年 -
Posted by ブクログ
リーガルサスペンスというより、キャラクタードラマとしてシンプルに楽しむ。
作者は弁護士でも結構活躍した人と、作者紹介にあった。
同じような作家ではフェルデナンド・フォン・シーラッハの『犯罪』を読んだことがある。
そこでは同じ主人公目線でも「対象者(登場人物)を客観的に観察」していたのに対して、こちらは法廷弁護士自身の「お仕事」ドラマといったところ。
弁護士は「依頼者の味方、それも報酬分」は現実で、一部の企業弁護士等を除きけっこうな数の案件を同時進行していかないと、なかなか思った収入を得ることはできず、そんなに楽な仕事ではない。その描写は十分に伝わる。
それでも、テーマで取り上げている「少 -
Posted by ブクログ
MWA賞(エドガー賞)最優秀長篇賞の最終候補作品。
バツイチで大酒飲み、別れた夫に未練のある弁護士のダニエル・ローリンズ。
ダニエル(ダニ)は重度の知的障害のあるテディ、17歳(もうすぐ誕生日)が麻薬の取引をして逮捕された事件の弁護をテディの里親に依頼されます。
ダニは、テディは全くの無実で幼なじみのケヴィンたちに、嵌められたとして調査を始めます。
ダニも里親を転々とした身の上で、今は弁護士として働いていますが、テディをほっておけず、ダニは自分でテディの保釈金まで支払います。
そして、ダニはある日テディがホームレスたちのシェルターで暴力を受けているのを発見します。
テディの家に行ってみる