山口桂のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
アートとビジネスを結びつける本をよく見かけるが、この本はアートを教養以上の我がことにすべしという勧め。
著者はクリスティーズというオークション会社で日本美術を扱っていて、まさにビジネスと結びついたアートの見方も教えてくれつつ、アートそれ自体をどう楽しむかということも教えてくれる。
面白かったのが、各部屋のお気に入り作品を決め、最後まで観たら順番を決め、展覧会図録を買って解説を読み、というのを繰り返し、年間ベストテンを決め、自分の一押しを決める。これで自分の嗜好が見えてくる。
過酷な研修期間の話もどこの世界も一緒なんだなと実感。
鑑賞力を高める50のリストは今後の美術館巡りなどの参考にしたい。 -
Posted by ブクログ
クリスティーズの仕事や美術品への審美眼など、興味深く読むことができた。ビジネスに使えるかというのは美術を理解していないという意見は、山口周氏の本とも違う。
実体験の話が多く、日本の美術品が海外にあることの意義、審美眼の養い方など、非常に参考になる内容だった。価値がわかる人が、お金を出して購入するのが一番と思うし、身銭を切らない一役、予算を出せない団体は文句は言えないと感じた。
ただ、矢張り、仕舞う、嘗て、など、あえて読みにくくすることはないのではと、個人的には残念だった。著者のこだわりと思うが、単純な漢字の問題がとっつきにくくしていると、印象的だった。もったいないと思う。 -
Posted by ブクログ
「日本人はアートを見る目が無い」という言葉をよく聞く、
この本を読んで感じたのは、そのような意見は「西洋的アートを深く知らない」であったり「お金に換算したがる人が世の中に多い」 といった見かたであって、決して本質ではない。 日本人は自分たちの歴史や価値観に自信を持ち、もっと日本の美を堂々と語ればいい、と深く感じた。
日本人にしか分からない感覚、視覚バランスであったり、聴覚であったり、触覚であったり、、
決して西洋的、または大陸的ではない独自の美意識を大切にしようと思う。
それをアートと呼ぶのか? クラフトと呼ぶのか? それは議論の中核ではない。
金額には換算できない、比べる対象の無い孤高の美 -
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Posted by ブクログ
<目次>
第1章 日本美術とは何か
第2章 日本美術の妙なる仕掛け
第3章 私が選ぶ10人のアーティスト
第4章 日本美術の死角、過小評価の作品たち
第5章 死ぬまでに見ておきたい日本美術100選
<内容>
世界的なオークションの会社、クリスティーズジャパンの代表取締役による、日本美術の指南書。美術史家や学者とは違う視点から、日本美術が紹介される。それは、外国人の見る日本美術への視点、外国文化を和様化すること、写実を超えるリアリティやアシンメトリーの美、道具などとして使用した経年変化など。さらに明治期の「超絶技巧」なども評価されているところがうれしかった。 -
Posted by ブクログ
オークション・ハウス「クリスティーズ」に勤める著者がみずからの体験を踏まえて、芸術のたのしみかたから美術品を取り巻く状況にまで説きおよんでいる本です。
アートとビジネスにまつわる問題についての著者の考えが語られている本を期待したのですが、ひとつのテーマについて深く掘り下げて論じたものではなく、オークションを中心にさまざまな話題がとりあげられており、エッセイに近いスタイルで書かれています。かならずしも最初に期待していたような内容ではなかったのですが、やはり著者自身の見聞にもとづく、美術品の数奇な来歴についての話や、アート・オークションにかかわる人びとの生態についての話はおもしろく読むことができ -
Posted by ブクログ
クリスティーズの社長の著書ということで、アート業界のお金の話なのかと思ったら、著者の回顧録的な内容で比較的軽い内容なので、肩透かしを喰らったというか、よく言えば気軽に読めた。
アートはやはり欧米の価値観で動いている。
だから特に欧米の美術史の文脈にのるかどうかが、作家そして作品の評価が決まってくる。
日本においては巨匠として今尚圧倒的な存在感を示している岡本太郎氏をはじめとする日本の作家が、世界では殆ど無名であるということが、それを如実に表している。
その中で現代アートの世界では、アニメやマンガなどのサブカルチャーをアートに取り込んだ作品で海外で高い評価を集める村上隆氏などは、その辺をしっか