福村国春のレビュー一覧
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これは当たり本。
東大の実際の世界史の過去問に挑む受験生とそれを解説する講師のストーリーを通じて、その難問を解決する。
東大の世界史の論述問題は指定のキーワードを用いて600字程度に問いに対する解答を略述する。キーワードが多岐にわたっているので、一つの国・地域だけではなく、同じ時間軸の他の国・地域についても論述しなければ正答にはならない。(こういう問題だなんて知らなかった)
ストーリー仕立ての講師の解説は見事で知らないうちに世界史に引き込まれていく。
単なる暗記学習では太刀打ちできない高難易度な問題の数々。こんな問題を限られた制限時間内で解こうとする受験生は本当に感服する。 -
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・独裁の利点は、大胆かつ迅速に組織を動かせること。独裁が成り立つ条件は二つ。一つは短期間であること、もう一つは独裁を行う側とそれに従う側の間で合意が成り立っていること
・7世紀頃までは絹の道が中国とインドやペルシアをつなぎ、12世紀には海の道を使用したイスラーム商人がヨーロッパとアジアをつなぐ形で活躍した。13世紀にはモンゴルがユーラシア大陸を征服することで東西交流が活発化した。そして、近代に入ると世界の一体化の中心はヨーロッパ人に移る。大航海時代(15〜17世紀)には、ヨーロッパが世界へ進出して「近代世界システム」を構築する
・ガンディーが『偉大なる魂』と呼ばれた理由。問題の解決のために、自 -
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私立文系、英語・国語・社会だけで大学受験をしました。社会は世界史を選択していました。もともと得意科目ではなかったですが、合格した年には、足を引っ張らない程度にはなっていました。
当時、東大の世界史の問題を目にしたことはありました。自分が受験するわけではないですが、興味もありましたし、英語も国語も基礎固めと実力養成の観点から取り組んだのです。国語は十二分に太刀打ちできましたが、英語はかなり苦戦、そして英語以上にどうにもならなかったのが世界史だったと記憶しています。暗記ではどうにもなりません。
もっとも、早稲田も明治も暗記だけでどうにかなる世界史の問題はなかったのですが、そのレベルではありませんで -
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・東大の問題は常に「国家」を主題にしている。これは東大がもともと官僚養成学校であったことが大きい。
・現在の「国家」つまり「主権国家」は、16世紀以降の絶対主義に形成され始め、17-18世紀の市民革命によって現在の形を整えます。当たり前のようにある今の「国家」は古代からあったわけではなく、われわれ日本人が作り出したものでもない。主家国家は、近代に入って以降、ヨーロッパによって作り上げられたものである。
(ウェストファリア体制・グロティウス)p.16
・ヨーロッパ諸国の原型は、中世にある。ヨーロッパにおける中世はゲルマン民族の侵入からはじまる(375年)。
・東大の問題は「歴史は、現在の『な -
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予備校講師が贈る、「ヨーロッパ近現代史入門」&「歴史の見方入門」。
本書の性格は二つ。
まずは、現在の世界がなぜこのようなのか、を理解するために、ルネサンス以降のヨーロッパ史を分かりやすく解説している。
歴史の流れを説明するのに、数多くの方法がある中で、入門書ということでシンプルに因果関係を整理することで、何故このような流れで展開していったかを大変理解しやすく解説している。
もう一つの性格は、今後も歴史を勉強していくにあたって有用と思われる「歴史の見方」を読者に身につけてもらおうという試みである。
「歴史の見方」と書いたが、その中身は「歴史の法則・パターン」といったものになっている。もちろん -
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歴史を専門とする大学受験塾を運営している著者による、過去東大の世界史で出題された問題を題材に、世界史の本質に迫ろうとする一冊。
私も大学受験は世界史を選択したわけですが、当時、こんな問題だったら、全く太刀打ちできなかっただろうと思わせる、難しく、深い問題に対する、考え方、まとめ方、背景などを、講師と学生のやり取りから導いています。
「東大の問題は、暗記した知識を求めるだけではない。むしろ、暗記した知識をもとにして「新しいこと」に気づかせようとする。」と冒頭で述べており、東大の問題の特色を指摘しています。著者によれば、これは、東大がもともと官僚養成学校であったことによる、としています。
また、問