沢田サタのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
沢田教一という写真家がいた。ベトナム戦争当時,凄惨な戦地に行き,あの川を渡って逃げる家族の写真「安全への逃避」を撮影した人だ。
本書には,他にも沢田の撮影したたくさんの写真が収められている。一方で,沢田の顔が写っている写真もある。これは逆にとってもらった写真だ。そのなかには,例の「安全への逃避」に写っていた家族を探し出して,その家族と一緒に撮影した記念写真もある。沢田は,1年分の生活費と一緒に,写真を手渡したそうだ。
教一の妻である沢田サタのあとがきなどが,味わい深い。
ただ,文庫本の写真集というのはやはり物足りない。大きな写真を見て,いろいろと想いを馳せたいものだと思った。 -
Posted by ブクログ
有名過ぎるくらい有名で、あえて僕がここで書く必要もないくらいの戦場カメラマン・沢田教一の写真集です。写っている写真の一つ一つがこれまた衝撃的なものばかりで、見る者の魂を揺さぶらずにはいられません。
彼のことを知ったのは偶然見たNHK教育の彼の生涯を追ったドキュメンタリー番組で、これを確か、札幌でみていた気がするんですが、これにいたく僕は感銘を受けましてね。北海道大学周辺のとある古本屋のいっぱい並んでいる界隈で名前を失念してしまったが芸術性や、本当に価値のある写真集を扱っている一軒の店にこの本の初版が置かれていて、確か、一冊50.000円くらいだったので、喰うにも事欠く有様だった当時の僕は泣く -
Posted by ブクログ
そこには凄惨な前線の様子が写されていて
戦争がどういうものであるかを
言葉以上に雄弁に物語っていた。
鬼気迫る兵士たちの表情、ただただ絶望を感じながら逃げる現地人、
大量に横たわる躯、硝煙と爆炎、
ものすごく悲しい目をした人がたくさんでてくる。
こういった痛みを僕たちはこうした写真からもっと学ぶべきだ。
すでに沢田教一は世界中から忘れられた存在になっているらしい。
しかし、再び世界が混沌としてきた今こそ
沢田教一や彼と同じように戦争の痛みを捉えつづけてきた人々を
再び見出す時がきているのではないだろうか。
彼らは善悪の区別でなく
そこにある惨劇のみを撮り続けた。
そう、そこにあるのは惨劇のみな