クリスティーナダルチャーのレビュー一覧

  • 声の物語
    「イタリアの女たちは両手と全身と魂を使って話し、しかも歌を歌うのだ。」

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    ※この感想には一部性的表現が含まれます。ご注意ください。

    SFが好きだ。
    小学生の頃は星新一を、
    中〜高校ではラノベやミステリーに浮気しつつも
    大学では米文学のSFを専攻した。

    SFの、きたるべき未来を先読みして...続きを読む
  • 声の物語
    読みやすくて分かりやすいディストピア。
    途中、息子の変貌ぶりがこわかった。
    自分的にはディストピアの結末はバッドエンドが好きですが、この本はこの先も希望が持てそうな結末でした。
    あと主人公の不倫なんかは心の広い男たちによって許されていて、よほどいい女設定なのかなと思った。
  • 声の物語
    いやー面白かった。すごく読み応えのある作品だった。

    女性だけが1日100語という発話の制限が課せられる。聖書の歪んだ解釈による蛮行。途中まではこの世界観の理不尽なミソジニーさが苛立たしくて仕方がなかった。著者の、現実の女性蔑視・不平等への怒りがそのまま伝わってくるような文章。
    どうして数千年も前に...続きを読む
  • 声の物語
    ページを捲る手が止められなかった。
    読みながら、ふつふつと怒りが湧いてくる。
    男性はこの物語をどのように読むのだろう?女性である自分と、異なる印象になったりするのだろうか?

    侍女の物語と重なる部分は多いけど、「言葉を封じる」という言語の制限にフォーカスしている分より状況が具体的に見えてくる部分もあ...続きを読む
  • 声の物語
    オーケイ、これは所詮SFの話だ。こんな荒唐無稽なことは到底起こるとは思えない。あまりに極端な設定だし、そもそも人も焼いてしまう腕輪の電源とかどうなってんだよ(笑)、とか。いや、本当にそうなのか?

    政治家は自らの無能を隠すように平気で嘘をつき、単純化した二元論で選択を迫る。Show me your ...続きを読む
  • 声の物語
     ディストピア小説の多くは、おおよそ近未来を舞台に「すでに成り立ってしまっている」架空の国家や社会が描かれることがポピュラーですが、この『声の物語』では、何と現代のアメリカで、超保守政党が政権を掌握したことで(執筆&刊行当時の、かの大統領政権よりもはるかに!)悪夢的な管理社会が立ち上がっていき、じわ...続きを読む
  • 声の物語
    近未来のアメリカ。
    サム・マイヤーズ大統領のブレーンであるカール・コービン牧師の進める「ピュア・ムーヴメント」によって、アメリカの昔ながらの良き家庭、良き男女を取り戻すため、女性は発言を1日百語までに制限され、あらゆる社会進出の場を奪われてしまい、更に発言した語数をカウントする腕輪をはめられ、語数が...続きを読む
  • 声の物語
    アメリカの女性だけ、発音する単語数が100語/日に限定されるというディストピアSF。その世界は聖書の文書をそのまま再現しようとしているので、同性愛者は矯正され、中絶は厳禁。男女の教育は別々で教わる内容も異なる。発音する単語数を限定するツールはSF的なものだが、中絶=違法、という州の法律が通ったりして...続きを読む
  • 声の物語
    ディストピアが始まる数十年前からその予兆があり、それを敏感に嗅ぎ取ってデモなどの行動を取り、主人公にもアクションをするよう勧めていた親友。そんな彼女を鼻で笑って相手にせず、選挙にすら行かなかった当時の主人公。何度も当時の親友を思い出し、後悔の念に駆られる現在の主人公の描写を読むと、月並みな意見だが政...続きを読む
  • 声の物語
    近未来のアメリカが舞台。女性たちはある人物が大統領となり、そのブレーンによって、文字を読むこと、言葉を発することを禁止される。言葉を発していいのは、1日たったの100語。それを超えると、腕にはめたカウンターがビリビリ。

    恐いなと思ったのは、17歳の青年は、学校での講義を通して、その価値観にどっぷり...続きを読む
  • 声の物語
    設定はシンプルで恐ろしい――アメリカで、「女性」のみ、一日の発語数が100語に制限されてしまう。100語を超過すると、手首に装着したブレスレット状のカウンターが、強力な電流を発する。突飛に思える設定も、「アメリカ」の大統領が行った政策と聞くと、にわかにリアリティを帯びる。
    かつて日本にも、女性蔑視は...続きを読む
  • 声の物語
    侍女の物語よりは最後少し光が見える。ただ、こっちの方が子供の描写が丁寧な分、読むのは辛い。
    特にすんなり洗脳されていく多感な年頃の長男、言語を奪われていることをゲーム感覚で受け入れてしまう幼い娘。自分が言語を奪われる以上の苦しみだろうな。
    言語を自由に使うということは、自由に思考すると言うこと。
    ...続きを読む
  • 声の物語
    確かに『侍女の物語』の派生作品と言える。前半は、なんなのこの男どもは…とカッカしながら読んだが、自分はフェミニストと思っている男性が自覚も疑問もないままセクハラや女性差別発言をボロリボロリ出すこの国となんら変わらないではないか、と更にカッカする。

    軽快なのは救い。
    後半からラストは私は今ひとつ。