クリスティーナダルチャーのレビュー一覧

  • 声の物語

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    ネタバレ

    「イタリアの女たちは両手と全身と魂を使って話し、しかも歌を歌うのだ。」

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    ※この感想には一部性的表現が含まれます。ご注意ください。

    SFが好きだ。
    小学生の頃は星新一を、
    中〜高校ではラノベやミステリーに浮気しつつも
    大学では米文学のSFを専攻した。

    SFの、きたるべき未来を先読みしているような
    絶望感と、リアルさが好きだ。
    SFでは、目的を見失い、軽率に人を愛し、運命に抗おうとする。そんな人間の弱さが好きだ。
    その中にかすかに光る、生き残るための希望や、合理的な機械が必要としないこと(愛や、歌や、冗談や、表現)が好きだ。


    どんな病原菌や武器よりも、
    言葉を封じることは人間に

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    2020年11月01日
  • 声の物語

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    ネタバレ

    3分の1過ぎたぐらいから面白さ加速した!
    最後はちょっと駆け足だった気がするけど、、
    パトリックの勇姿を知りたかったよ

    自分から声が取り上げられるなんで想像するだけで耐えられない。
    そうならないように願うだけじゃなくて、行動もしないとね。

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    2025年11月01日
  • 声の物語

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    ネタバレ

    読みやすくて分かりやすいディストピア。
    途中、息子の変貌ぶりがこわかった。
    自分的にはディストピアの結末はバッドエンドが好きですが、この本はこの先も希望が持てそうな結末でした。
    あと主人公の不倫なんかは心の広い男たちによって許されていて、よほどいい女設定なのかなと思った。

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    2024年01月22日
  • 声の物語

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    いやー面白かった。すごく読み応えのある作品だった。

    女性だけが1日100語という発話の制限が課せられる。聖書の歪んだ解釈による蛮行。途中まではこの世界観の理不尽なミソジニーさが苛立たしくて仕方がなかった。著者の、現実の女性蔑視・不平等への怒りがそのまま伝わってくるような文章。
    どうして数千年も前に書かれた文章を元に、その後人類が血にまみれた歴史の果てに獲得した人権というかけがえのないものを踏み躙ることができるんだろう?不思議でしょうがない。
    ホモソーシャルでミソジニーでホモフォビアでレイシストの白人男性による白人男性のための白人男性の国、アメリカ。半世紀前から拡大した貧富の格差を女性や黒人や

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    2022年07月23日
  • 声の物語

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    ページを捲る手が止められなかった。
    読みながら、ふつふつと怒りが湧いてくる。
    男性はこの物語をどのように読むのだろう?女性である自分と、異なる印象になったりするのだろうか?

    侍女の物語と重なる部分は多いけど、「言葉を封じる」という言語の制限にフォーカスしている分より状況が具体的に見えてくる部分もあり、色々考えさせられた。また侍女の物語と異なる点として、主人公には息子もいる。それが物語に、更なる絶望の奥行きを与えているように見える。

    以下印象に残った部分

    ●ソニアのオムツも喜んで変えていたようなスティーブンが、買い物は女の仕事なんだからママやれよ、とどんどん新政府の思想に染まり傲慢になって

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    2022年07月06日
  • 声の物語

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    オーケイ、これは所詮SFの話だ。こんな荒唐無稽なことは到底起こるとは思えない。あまりに極端な設定だし、そもそも人も焼いてしまう腕輪の電源とかどうなってんだよ(笑)、とか。いや、本当にそうなのか?

    政治家は自らの無能を隠すように平気で嘘をつき、単純化した二元論で選択を迫る。Show me your flag. 人々はネットの情報の海に溺れて思考停止になり、自分が心地よい情報だけを盲目的に信じる。その結果は気に入らない奴はすべて攻撃する、炎上だらけの人と人の信頼のない世の中だ。何がダイバーシティだ。

    そんな世界で、明日こんなことにならないと誰が断言できるんだ?

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    2021年07月22日
  • 声の物語

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     ディストピア小説の多くは、おおよそ近未来を舞台に「すでに成り立ってしまっている」架空の国家や社会が描かれることがポピュラーですが、この『声の物語』では、何と現代のアメリカで、超保守政党が政権を掌握したことで(執筆&刊行当時の、かの大統領政権よりもはるかに!)悪夢的な管理社会が立ち上がっていき、じわじわと人びとの暮らしや価値観が変質していくさまが、かつて認知言語学者だったマクレラン家の妻にして三児の母親である、ジーンの目線から語られます。

     先導的な牧師であるカール・コービンが唱える思想「ピュア・ムーブメント」。キリスト教原理主義的で女性蔑視を正当化するその思想は、バイブル・ベルトと呼ばれる

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    2021年06月07日
  • 声の物語

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    近未来のアメリカ。
    サム・マイヤーズ大統領のブレーンであるカール・コービン牧師の進める「ピュア・ムーヴメント」によって、アメリカの昔ながらの良き家庭、良き男女を取り戻すため、女性は発言を1日百語までに制限され、あらゆる社会進出の場を奪われてしまい、更に発言した語数をカウントする腕輪をはめられ、語数がオーバーすると電気ショックを受ける。
    そういう変化は徐々に起こり、アメリカを席巻していった。
    ジーン・マクラレンも優れた認知言語学者だった。人の脳のウェルニッケ野という言語を理解する部分の研究をしていたが、今は主婦として腕にカウンターを付け暮らさざるを得なくなっている。
    そんなとき、突然、ピュア・ム

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    2019年06月16日
  • 声の物語

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    アメリカの女性だけ、発音する単語数が100語/日に限定されるというディストピアSF。その世界は聖書の文書をそのまま再現しようとしているので、同性愛者は矯正され、中絶は厳禁。男女の教育は別々で教わる内容も異なる。発音する単語数を限定するツールはSF的なものだが、中絶=違法、という州の法律が通ったりしている現代からこの本の世界観まではあと一歩しかない。また、教育によってそのツールがなくなったとしても、女の子が話そうとしなくなっている、という描写もとてもリアルだなと感じた。
    一方で、チームで開発している薬と”毒”の設定にはかなり無理がある。薬の方の構造が分かったからといって、その逆の効果を持つような

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    2019年06月01日
  • 声の物語

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    ディストピアが始まる数十年前からその予兆があり、それを敏感に嗅ぎ取ってデモなどの行動を取り、主人公にもアクションをするよう勧めていた親友。そんな彼女を鼻で笑って相手にせず、選挙にすら行かなかった当時の主人公。何度も当時の親友を思い出し、後悔の念に駆られる現在の主人公の描写を読むと、月並みな意見だが政治に関心を寄せ、せめて選挙くらいは必ず行かなくてはと身が引き締まる。それにしても、主人公の夫が可愛そうでならないと思ったのは私だけではあるまい…笑

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    2019年05月26日
  • 声の物語

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    近未来のアメリカが舞台。女性たちはある人物が大統領となり、そのブレーンによって、文字を読むこと、言葉を発することを禁止される。言葉を発していいのは、1日たったの100語。それを超えると、腕にはめたカウンターがビリビリ。

    恐いなと思ったのは、17歳の青年は、学校での講義を通して、その価値観にどっぷり浸かってしまうということ。そして、激しく後悔することになることをやってしまう。幼い少女ソニアは、1日100語しか話せないことをゲームとして受け入れていく。学校では、発した言葉が少ない女の子にご褒美が与えられており、その「ご褒美」を喜んでいる。

    大きなとりかえしのつかない選択をしないようにするために

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    2020年04月29日
  • 声の物語

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    ネタバレ

    設定はシンプルで恐ろしい――アメリカで、「女性」のみ、一日の発語数が100語に制限されてしまう。100語を超過すると、手首に装着したブレスレット状のカウンターが、強力な電流を発する。突飛に思える設定も、「アメリカ」の大統領が行った政策と聞くと、にわかにリアリティを帯びる。
    かつて日本にも、女性蔑視は確実に存在した。むろん、現在の日本でも、その不公平性は完全に払拭されたわけではない。むしろ男女間の性差に基づく差別以外に、永田町に蠢く者共が、次々と繰り出す数多くの「差別」が日々噴出するために、相対的に男女差別だけがことさらにクローズアップされなくなっただけだろう。うまい汁を吸えるのは権力者だけ、と

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    2019年10月23日
  • 声の物語

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    侍女の物語よりは最後少し光が見える。ただ、こっちの方が子供の描写が丁寧な分、読むのは辛い。
    特にすんなり洗脳されていく多感な年頃の長男、言語を奪われていることをゲーム感覚で受け入れてしまう幼い娘。自分が言語を奪われる以上の苦しみだろうな。
    言語を自由に使うということは、自由に思考すると言うこと。
    我が子の自由な思考を守ることは親の務めで、それは案外、子供を直接的にケアするよりも、自分たちを取り巻く環境を健全に保つことに真摯であることなのかも。

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    2019年10月02日
  • 声の物語

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    確かに『侍女の物語』の派生作品と言える。前半は、なんなのこの男どもは…とカッカしながら読んだが、自分はフェミニストと思っている男性が自覚も疑問もないままセクハラや女性差別発言をボロリボロリ出すこの国となんら変わらないではないか、と更にカッカする。

    軽快なのは救い。
    後半からラストは私は今ひとつ。

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    2019年06月06日