木庭顕のレビュー一覧

  • 誰のために法は生まれた

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    「なんかよく分からないけれどここには大切なことが書いてある」と感じる本。
    そんな本に20代のころにはよく出会ったように思う。
    そしてなんだか訳の分からないままに読み進めて、運がよければそれを仲間と語り合って、何か掴みかけたような気がする手がかりを確かな手ざわりのある論理に変えていく。
    そんな経験が昔はしばしばあったように思う。

    それは馬齢を重ねるなかで、それなりにまあ分かることも増えてきたからということもあるだろけれど、「分からない」中に希望や期待を見出すことができる頭や精神の柔らかさが、それこそ馬齢を重ねた結果失われたためだろう。

    そして久しぶりに出会ったのがこの本である。
    「なんかよく

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    2024年03月22日
  • 誰のために法は生まれた

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    法はグルになっている集団を解体し、個人を助けるためのものである。しかし、個人主義は個人の利益至上主義につながり、それは結局利益を目的として徒党を組むことにつながってしまう。その徒党に抑圧し食い物にされる個人がいる。ここにジレンマがあるし、そのジレンマに自覚的でなくてはならない。

    というのが概ねの理解。

    映画や古典をこのように解読するというのも初めての経験で、とても面白く読めた。

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    2019年04月13日
  • 誰のために法は生まれた

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    近松の古典やギリシャ・ローマの古典、そして実際の判例を取り上げて、中学・高校生と一緒に法とは何か、自由とは何かを考える。徒党(グル)と個人。この対立で徒党を解体して徹底的に個人に肩入れすることが「本来」の法であるという。「占有」という概念が出てくる。二人の人が一つの物にかかわって争っている時に、高い質で持っている方を勝ちとする。その人に占有があるという。それを破る者を失格とする。法の体系の核にこの「占有」という原理がある。最後まで読んでいくと、日本の社会にはこの占有という原理が弱いことが分かる。最高裁の判例でも「占有保持請求本訴ならびに建物収去土地明渡請求反訴事件」で占有をしている方が負けてい

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    2019年03月08日
  • 誰のために法は生まれた

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    ネタバレ

    いきなりおさん茂右衛門の人情話を軸に説明が始まりびっくりした。
    この辺りは学生時代に専攻した分野だったので。
    ただ、当時は法学については全くの門外漢で、人の気持ちについては検討したけれど、デモクラシーへの意識は向かなかった。
    今の立場の私には、とても興味深くおもしろい。

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    2019年01月29日
  • 誰のために法は生まれた

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    映画、喜劇を素材にして、タイトル通り法とは誰のために生まれたのか思考する試み。教養とは、こういうことだよと教えてくれる。自分が無知だということに改めて気づかされる。

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    2018年09月18日
  • 誰のために法は生まれた

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    法学部時代を懐しみながら読み進めた。学部入学時に読み、学部卒業時に再読することで自身の学びを振り返ることができるだろう。

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    2018年08月26日
  • クリティック再建のために

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    この本の読み方:人名、地名以外の横文字=専門用語が本文からの文意だけでは、明晰で無いので、辞書で押さえながら、読むとスムーズです。

    また、複数の方が指摘し、本文でも定義しているように、「クリティック」=いわゆる現代における批判でありません。カントの『純粋理性批判』でいうところの「批判」概念です。

    以上のことを押さえれば、得ることの多い著書です。

    文献解釈、政治、国家、民主主義。それらの健全な起動に「クリティック」が必要なのです。

    それにしても、実証主義の文脈ででてきた、、様々な資料を説明できる、仮想のxに関する記述は本書の白眉です。

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    2022年03月14日
  • 誰のために法は生まれた

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    再読する。
    人権とは、もともと何もないところから何かを生み出す「権利」ではなく今あるものを守るための「占有」だということ。
    誰のために、それは、徒党に対する個人のために。
    数々の古典を読み込み、最後に出てきた自衛官合祀事件の受け止め方は、判例集を見て、「他人の信仰に基づく行為に対して、自己の信教の自由を妨害するものでない限り寛容であることを要請している」という部分を頷きながら読んで済ましていた自分に強烈な反省を促すものだった。

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    2022年01月05日
  • 誰のために法は生まれた

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    対話形式で書かれており読み易いけども、内容は結構難しい、、
    何かをスッキリ理解させてくれる本というより、法や政治のような世の中の仕組みに対する興味関心を大いに沸かせてくれる、文学が持つ力を見せつけてくれるような本だ。中高生の頃にこんな本に出会えていたらな〜

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    2022年01月02日
  • 誰のために法は生まれた

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    このタイトルだけではなかなか読む気になれない(笑)

    きっかけはとても気に入った著書「絵を見る技術 名画の構造を読み解く」の著者秋田麻早子さんのブログで絶賛・紹介されていたからだ
    かなり前のことなので内容も覚えていないが、興味深くぜひ読んでみたいと思いずいぶん前に入手しており、ようやく着手できた

    映画や戯曲を観たあと、法学教師がカジュアルに中高生と問答する

    最初にあらすじがあり、そこから生徒との対話形式で紐解かれるため、非常に読みやすい
    しかしながら内容は深いため、なかなか考えさせられるのだ!うーむ


    ■「近松物語」
    ここでは「グルになった集団を解体する」、「グルになった集団に対抗する」

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    2021年06月16日
  • 誰のために法は生まれた

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    諸富徹氏が新聞で、中高生向けに行われた講義をまとめたものの一冊として紹介していて、気をひかれたのだけど、読むかどうかちょっと迷った。というのも、同時にヒット作としてあげられていた「それでも、日本人は『戦争』を選んだ」を以前読んだとき、すごく苦労したからだ。もちろん、非常に考えさせられる内容で、知的な刺激に満ちていたのだが、それだけに咀嚼するのが大変で、生徒さんたち(かの栄光学園)の賢さに降参という思いだったのだ。またあんなのだったらツライなあと、腰がひけてしまう。

    結論から言うと、確かにこれも難しいが、それ以上におもしろかった!何と言っても導入がうまい。溝口健二監督「近松物語」をみんなで観て

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    2019年02月04日
  • 誰のために法は生まれた

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    現代の法に慣れていると、この言葉から想像するものとはかなり違う法の話で驚く。法の起源となるギリシアやローマでの倫理というか、ものの考え方に遡ることで、現代の法を批判的に考え直す内容。

    この本の骨子だけ書いた本があったら、ほとんど誰も関心を持たなそうだが、高校生への講義を口語で書いてあることで、上手にガイドされて最後まで楽しく読める。

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    2020年11月07日
  • 誰のために法は生まれた

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    評価高いようですが、期待した程では無かったです。

                                       
    1.この本を一言で表すと?
    古典を題材にして、中高生と法を語り合いながら法を理解していく講義内容をまとめた本。

    2.よかった点を3~5つ
    ・法はどちらの側にある?(p62)
    →法律と言うのはグルになった集団を解体するっていうのが大事っていうことがわかった。

    ・占有原理(p119)
    →占有と所有は違うと言うことがわかった。占有の質は何となく理解できたが、そのような考え自体あまり意識してこなかった。

    ・自衛隊らによる合祀手続の取消等請求事件(p340)
    →判決の内容に驚

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    2020年01月09日
  • 誰のために法は生まれた

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    20190105 基本的人権とはという教科書的な解説ではなくて、そこにたどり着くために古典を元に考えさせる構成。出来上がった本を読むのも良いが講義に参加しているつもりで考える事。この本をきっかけに考える人が増えて来たら政治も変わって行く予感がする。

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    2019年01月05日