木庭顕のレビュー一覧
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「なんかよく分からないけれどここには大切なことが書いてある」と感じる本。
そんな本に20代のころにはよく出会ったように思う。
そしてなんだか訳の分からないままに読み進めて、運がよければそれを仲間と語り合って、何か掴みかけたような気がする手がかりを確かな手ざわりのある論理に変えていく。
そんな経験が昔はしばしばあったように思う。
それは馬齢を重ねるなかで、それなりにまあ分かることも増えてきたからということもあるだろけれど、「分からない」中に希望や期待を見出すことができる頭や精神の柔らかさが、それこそ馬齢を重ねた結果失われたためだろう。
そして久しぶりに出会ったのがこの本である。
「なんかよく -
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近松の古典やギリシャ・ローマの古典、そして実際の判例を取り上げて、中学・高校生と一緒に法とは何か、自由とは何かを考える。徒党(グル)と個人。この対立で徒党を解体して徹底的に個人に肩入れすることが「本来」の法であるという。「占有」という概念が出てくる。二人の人が一つの物にかかわって争っている時に、高い質で持っている方を勝ちとする。その人に占有があるという。それを破る者を失格とする。法の体系の核にこの「占有」という原理がある。最後まで読んでいくと、日本の社会にはこの占有という原理が弱いことが分かる。最高裁の判例でも「占有保持請求本訴ならびに建物収去土地明渡請求反訴事件」で占有をしている方が負けてい
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Posted by ブクログ
このタイトルだけではなかなか読む気になれない(笑)
きっかけはとても気に入った著書「絵を見る技術 名画の構造を読み解く」の著者秋田麻早子さんのブログで絶賛・紹介されていたからだ
かなり前のことなので内容も覚えていないが、興味深くぜひ読んでみたいと思いずいぶん前に入手しており、ようやく着手できた
映画や戯曲を観たあと、法学教師がカジュアルに中高生と問答する
最初にあらすじがあり、そこから生徒との対話形式で紐解かれるため、非常に読みやすい
しかしながら内容は深いため、なかなか考えさせられるのだ!うーむ
■「近松物語」
ここでは「グルになった集団を解体する」、「グルになった集団に対抗する」 -
Posted by ブクログ
諸富徹氏が新聞で、中高生向けに行われた講義をまとめたものの一冊として紹介していて、気をひかれたのだけど、読むかどうかちょっと迷った。というのも、同時にヒット作としてあげられていた「それでも、日本人は『戦争』を選んだ」を以前読んだとき、すごく苦労したからだ。もちろん、非常に考えさせられる内容で、知的な刺激に満ちていたのだが、それだけに咀嚼するのが大変で、生徒さんたち(かの栄光学園)の賢さに降参という思いだったのだ。またあんなのだったらツライなあと、腰がひけてしまう。
結論から言うと、確かにこれも難しいが、それ以上におもしろかった!何と言っても導入がうまい。溝口健二監督「近松物語」をみんなで観て