アウシュヴィッツ強制収容所の<動物園>と呼ばれたその場所で、パールとスターシャの双子の姉妹は、一つであることを切り裂かれてしまう。
二人の、ミリ医師の、<双子たちのお父さん>の、ペーターの、痛み、哀しみ、嘆き、怒り、そして労りと慈しみと愛情が詩的な文章で語られ、深く鋭く心に響いてくる。
残酷で悲愴な
...続きを読む物語は辛くもあったが、最後の場面を見ることが出来て柔らかな気持ちになれた。
フィクションではあるが、作者がこの作品を書く切っ掛けを与えた多くの事実、パールとスターシャ、ミリ医師等のモデルとなった実在の人物達、届けられた声、途切れてしまった声、届くことのなかった声なき声を、忘れずに記憶に谺させて欲しい、そんな作者の願いが伝わってくるような作品だった。