上野博のレビュー一覧
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この本は、「来るべき世界と、その世界に適応するために社会が必要とする変化について述べたもの」だという。さらに、「しかしさらに重要なのは、その未来に行き着くために私たち個人が辿るであろう道程について述べていることだ」と言う。
これまでも技術は人間を「拡張」するものであった。馬や自動車、飛行機は人間の足を拡張し、眼鏡や望遠鏡、顕微鏡は目を拡張し、電話は耳を拡張し、ハンマーやドリルは手を拡張し、そしてコンピュータは頭と記憶を拡張してきた。これからの技術も人間を拡張するものであり、それは今までそうだったように大きく生活を変えるものになる。シェアリングエコノミー、自動運転、VR/AR、ナノテク、ウェアラブル、ビッグデータ、ドローン、スマートホーム、フィンテック、遺伝子技術、バイオといった技術が紹介される。ムーアの法則(CPU)、メトカーフの法則(ネットワーク)、クライドラーの法則(メモリ)の指数関数的進化の結果、その影響は想定以上の大きさになる。そしてインターネットが大きく世界を変えた。
拡張時代の勝者として挙げるのは次のようなものだ。
①テクノロジー大手企業
②人工知能スタートアップ企業
③スマートインフラストラクチャ
④モノのインターネット(IoT)
⑤開発途上国のネットワーキング
⑥開発者、人間とコンピュータのやり取りおよび経験デザインの実施者
⑦ヘルステックとフィンテックの提供企業
⑧個人向けAI提供企業
⑨AR、VR、AVおよびPHUD
⑩エキゾチックなメタマテリアルと3Dプリンティング
色々と未来について予想しているが、著者も参照しているようにどのように起こるのかはすでに過去の偉人たちがつぶやいている。
「私たちはいつも、2年後に起こる変化を過大評価する一方で、10年後に起こる変化を過小評価するものだ」 ビル・ゲイツ(1996)
「未来はすでにここにある - ただ均しく普及していいないだけなのだ」 ウィリアム・ギブソン (2003)
どちらも自分の好きな言葉だ。
色々と準備をしよう。 -
Posted by ブクログ
テクノロジーがもたらす世界で今後どんなことが起こり得そうか、主にデータによる顧客体験価値の拡張の具体的な姿と今進んでいる取り組みが、日常の消費サービスから医療、移動、スマートシティなど、さまざまな産業が取りあげりている。
分量も多いため、少し読むのに苦労するが、きちんと読めば、自分の知らない産業の未来を知ることができ、それが今後の自分の考え方、ビジネスの捉え方、データの捉え方を変えさせてくれる本である。
印象に残った考え方として、データはプライバシーの範囲内に入れておきたいものから外部で活用してほしいデータまで様々あり、利用シーンに合わせてその使い方も異なる。データをオープンにするほど便利になるが、一方で、オープンにしたくないものもある、ただ、データをクローズにしておくと、逆にデータから信用のおける人物と見做されなくなる、といったジレンマのようなものが起こってしまうということ。
テクノロジーは人を介在した手続をなくすだけでなく、ヒューマンエラーや安全性を高めるなど、明らかにメリットになることも多い。そういった、データの特徴を理解することが大事である。 -
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DBSはすごい。MVVを掲げて、いまいちだった2010年から2015年には世界随一のデジタルバンクになった。
事例もいろいろ載っている。
ただ、MVVを掲げて施策を打つだけならどこの経営でもできる。だが、日本の金融機関はそうではない。
だから、この本に欠けているのは実効性を持たせた要因の分析であると感じた。
年功序列も残る日本で、若手がベテランの1on1をすることを、どういうインセンティブ設計や文化があれば成り立たせうるのか?
ベテラン層をリストラせず、いかに新しいことを学んでもらったのか?これはなぜ成り立ったのか?
せめて、訳者あとがきで触れて欲しい。
とはいえ、ここに触れるとコンサル業的には仕事に繋がらないので書いてないのはやむなしなのかもしれない。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ決済とは、法律上の表現によると「負債を免除する方法」ということになる。それは基本的にリスキーで、誰かがお金や商品を受け取れないかもしれないというリスクをはらんでおり、それ故、手数料は正当化される。
我々の身近にあるものとしてはクレジットカードで、日本と米国では若干事情が異なっているのだろうけど、4コーナーモデルというものが買いせるされる。
クレジットカードの利点は決済の痛みを軽減することである。実験によるとクレジットカードで1ドルを支払う心理的コストは50セントに過ぎない。
ウーバーのアプリはさらにすごくてタクシーを降りた瞬間に支払いが完了している。このようにフィンテックにはフィンテックの長所があると認めてはいるが、著者が銀行業界の人のためか、銀行よりの意見にやや強引に持っていくような論調が目立った。
・CBDCもマイナス金利を科すことができる点は大きな利点。現金に対してはこんなことはできない。
・決済をおこなうためには、適切な種類の、適切な場所にあるお金が必要である。船や城を所有することはすばらしいが、それを店での支払いに使うことはできない。流動性が鍵なのだ
・クレジットカードに磁気ストライプが搭載されたときには、ストライプにふくまれる情報はエンボス加工でカードに記された文字と同じであることをすばやく突き止めた。それゆえかれらは、引き続きゴミ箱から古いカーボン紙の伝票を回収し、偽のカードの磁気ストライプにそのデータを入力するだけでよかった。対策として、カード会社は三桁のCVV(カード照合値)コードを磁気ストライプ──カードそのものではなく──に追加した。これは店頭では機能したが、電話越しではうまくいかなかった。ユーザーは自分のカードの番号と有効期限を伝えることはできたが、CVVコードはわからなかったからだ。そこでカードネットワークは二つ目の三桁のコード、CVV2を追加しなければならなくなった。CVV2はカードの裏面に印刷された。これによってCVV2のカードを持っている人は自分のコードを販売店に伝えることができるようになったが、そのコードはエンボス加工されていなかったのでカーボン紙の写しには表示されなかった。
・実店舗をもつ銀行は、銀行の座をねらう新参者に比べると堅苦しく見えるかもしれないが、依然として最高の顧客基盤を抱えている。貯蓄が多く、銀行を変えることが少ない、高齢の顧客たちである。対照的に、モバイルバンキングを利用する顧客の多くは、価格に敏感な若者が多く、銀行にとってもっとも収益性の高いお得意様とはいいがたい。全体として流動性が増しているとはいえ、「人は銀行より配偶者を変えることの方が多い」ということわざにはまだ一理あるのだ。
・お金の移動にはリスクがともない流動性が必要になる。テクノロジーがどれだけ錬金術のごとき力を発揮しても、この二つの要素を魔法で消すことはできない。流動性とリスクはこれからも決済の、とりわけ大口決済のあり方を左右するものであり続けるだろう。大きなお金の移動(小さな決済の集積から生じるものもふくむ)は、かなりの流動性を必要とし、大きなリスクをともなう。その金額の途方もない大きさを考えると、銀行のバランスシートと十分な規制の恩恵がない状態でこの事業をあつかうことを、国や中央銀行が容認するとは考えにくい。したがって、銀行は決済の燃料となる口座や預金は維持していくだろう。しかし、実際の決済サービスを提供する銀行の役割──およびそれらが生み出す収益──は明らかに危機に瀕している。ノンバンクのプロバイダーは、銀行がおこなっていたこと(あるいはおこなえたこと、おこなうべきだったこと)をよりうまくおこなっている。 -
Posted by ブクログ
決済ビジネスのテクノロジー方面の今後を知りたかったのだけど、読んでみてわかったのは、結局、決済テクノロジーとは、銀行やカード会社がやってたことをデジタルで早く即時にグローバルにやってるだけ(とはいえ、取引処理やクラウドなど技術の発展あってこそだろうけど)で、ビジネス自体は規制のあるなしとネットワーク効果が重要ってことくらいなんだな。現金がなくなることも、多分、当面はない。あと、暗号通貨のテクノロジーも多分いらない。
ヨーロッパはクレジットカードの手数料が規制があって安いというのもへーという感じ。
「決済が武器になるとき 金融制裁と地政学」の章がおもしろかった。国際貿易でも世界の準備通貨としても米ドルが使われてるので、米国が特権的にそれを利用しているという話。犯罪組織(マネーロンダリング)や独裁政権に関係する企業、国、組織を名指しし、そこと取引があるとドルの扱いから仲間はずれにして締め出す…という制裁。今、人民元がそれを脅かしてるのかな、もしかして。
まあでもなんか読みにくい文章だった。
銀行や会計の歴史知っとくともっとわかりやすいのかな。 -
Posted by ブクログ
決済ってのは要はどういう商売なのよっていう主に銀行を中心とした話とか、種類とか、歴史とか、犯罪とか、もろもろまつわる話を詰め込んだ本という印象。
SwiftとかB2Bの話はあんまり興味持てなかったけど、クレジットカード、デビットカード、QR決済、現金決済、電子マネーとかのリテールの話は少し興味を持った。一見手数料がかかってないように見えても、どこかで手数料が発生して決済というビジネスは成り立っているのだということを意識してみるとよいのかも。
クレジットカードは加盟店手数料取るうえに、入会金・年会費取るとかなかなかなやつなんだなと認識を新たにした。 -
Posted by ブクログ
こういう世界が来るのかもしれないなあと思いながら読みました。
ここに書いてあることを真に受けすぎないほうが良いのかな、と。
とはいえ、こういう世界が来ないとも限らない。
そうなったときに、地域金融機関が世の中に提供できる価値はなにか?
それを考える切っ掛けになった。
機械が人間の行動を分析してフリクションをゼロにする世界が来るか否かはわかりませんが、フィンテック企業と協働していくことは、今後の金融機関には避けられないでしょう。
本筋とは逸れるが、第一原理の思考というものをこの本で初めて知った。
自社の方向性を考えるときに、積極的に使っていきたい考え方。
「うちの会社をイチから立ち上げるとしたら、どのような姿で立ち上げる?」 -
Posted by ブクログ
かつて、銀行は支店網が競争力の最大の源泉になっていた。ユーザーへのタッチポイント(ディストリビューション/デリバリ)が支店(bank1.0)からATM(bank2.0)、そしてモバイル(bank3.0)へ。現在は4.0への移行期にある。4.0はユビキタスで組み込み型。インビジブルな銀行を意識させないサービスとなる。ゼロフリクションでリアルタイム。最適な人に最適な場面で適切なアドバイスをする為にビッグデータとAIによるレコメンドが大事になる。4.0は日本だとこれからになる分、具体的なサービスイメージがまだわかなかった。。。銀行業のこれまでとこれからがよく理解できた。が、難解で長編なので読み切るのにガッツがいった。