光成準治のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
タイトル見ると本能寺がメインに聞こえるが、そっちはあくまで巻末のおまけみたいなもので、言ってみれば「毛利帝国興亡史」って感じ。厳島の戦い以後、急速に領土拡張を進めた毛利家であったが、国人連合体という従来の体制から脱却できず、逆に兵農分離を推し進めて軍制の近代化を進めた織田家にじわじわと侵食されるってのが大きな流れ。
本能寺の変がなくて、信長の出陣が実現していたら、講和条件ももっと屈辱的なものになっていたはずで、毛利にとっては渡りに船だったんだろうと思う。
終盤に、信長が、家臣団のライバル関係(特に秀吉vs光秀)を盛んに煽っていたという話が出てくる。そういう状況もあって、中国・四国戦略の両方で主 -
Posted by ブクログ
サブタイトルがすべてで、本能寺の変についてではなく、1580年ころの中国・四国地方の動向を検証するものだ。
勢力を拡大する織田権力に、毛利氏がどう対応したかが基本になっている(なんせ資料を毛利家の書状に求めているからね)。
資料が残っているのは毛利家が生き残りに成功したからだけど(確かに勝組なんだろうけど)、生き残っただけで、てんで覇気はないよね。なので毛利に頼って織田権力と対峙しようとしたものは、たいてい敗れ去ることになる。
結局、無理に天下を狙わない方が賢いってことなんだろうか。「足るを知る」といえば聞こえはいいけど、自分さえ助かれば「他の地域のことは知ったこっちゃない」ってことで、上に立 -
Posted by ブクログ
書名に「本能寺」とあるが、本能寺の変自体が中心主題ではなく、室町後期以降の西日本の政治情勢を毛利氏を軸に明らかにしている。畿内・中国・四国・九州の領主間紛争は常に連動しており、一見局地的な紛争であっても、背後により大きなフレームが存在することがわかる。「国人領主連合」色を脱却できず、常に恩賞で釣らなければ境目領主の動向に不安がある毛利氏の限界を重視している。本書は徹底して一次史料に依拠し、「信長公記」すらほとんど用いていない。「物語」的な叙述を否定することによって、前後関係や相関関係がわかりにくいが、俗説・巷説の多い中世近世移行期の場合、こうした措置はむしろ今後も望まれよう。なお本能寺の変に