シュレーディンガーのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
他の方のレビューを拝見すると遺伝子構造が解明される前の講演というのに驚かされる。高度な知力があれば、分野は違えど本質を推測出来るということか。最初、「シュレディンガーって物理学じゃなくて生物学だった?」と思ってしまったが、専門外の分野を異なるアプローチからここまで洞察できることに再び驚かされる。シュレディンガー氏が考察したたんぱつ質を結合体とした螺旋の遺伝子構造は、数年後にワトソン&クリックにより確立した理論として提唱される。我々素人は生物と物質を断絶して考えがちだが、量子から生物的有機体として捉えるアプローチはまさに天才の頭脳。
・・・と書きながら、難しくてほとんど理解できなかったので、時 -
Posted by ブクログ
私の体は自然法則に従って、1つの純粋な機械じかけとして働きを営んでいる。にもかかわらず、私は私がその運動の支配者であり、その運動の結果を予見し、その結果が生命に関わる重大なものである場合には、その全責任を感ずると同時に全責任を負っている。つまり私であると感じた意識的な心は、原子の運動を自然法則に従って制御する人間である。
そして、思考のために起こる事象が少なくとも高い精度で厳密な物理的法則に従うべきことを意味する。思考器官と外界との間に起こる相互作用を成り立たせるための物理的秩序性を持っていなければならない。
小難しい文章だが、物理学者が生命、とりわけ意識を持つ生命を表現するとこうなる。つ -
Posted by ブクログ
生物学に物理学的な微視的観点(量子力学) から巨視的観点(統計力学) までを持ち出して議論していて、面白かった。生物物理学という分野も確立されて久しいが、学部時代の研究室配属希望先の第二志望に生物物理系を書いていた身としては興味深い内容だった。突然変異の発生確率が多過ぎるとどうなるかの議論とか、生きるとは負のエントロピーを食べてエントロピー増大に抗い続けることというのも面白かった。ただ、書かれたのと翻訳されたのが古いからなのか、生命を物理の切り口で議論する試みの最初期だからか、二重否定のようなまわりくどい言い回しや古臭い表現も多く、系統立ってもいないので、内容がスッとは入ってこなかった。
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Posted by ブクログ
まずはエピローグを読んでみましょう。すると、シュレーディンガーが「「私」とは何か」というある種の心身問題に興味を持っていることがわかります。その上で全体を眺めるのが良いと思います。
さて、シュレーディンガーといえば、量子力学でおなじみの名前ですが、本書はーー一般向けの講演形式で展開されていますがーー当時は生命科学におけるバイブルとして多くの人に読まれたそうです。そして、これで勉強した人々がまた、新しい成果を次々と生み出した礎となりました。
量子力学というバックグラウンドから生命を論じるところには難しさがあります。そもそも、こういった歴史的な科学の大著を読むときは今の私達なら高校生でも知っている -
Posted by ブクログ
猫好きで有名なシュレーディンガーの著書。量子論からの分子としてのDNAによる永続性の維持、あたりまでは面白かったが、エントロピーの増大を抑制するための負のエントロピーの摂取、のあたり以降はさっぱり意味がわからなかった。で、結局生命とは何なのかはわからないまま。まあ、当たり前だが。
古典なのだろうが、いま新しい刺激を受ける著作ではなかった。という印象。
どこまでいっても次から次へと新しい理論が提唱され、裏付けられる。それでいて、どこまでいっても解明されない謎は残り続け、さらに新しい謎が生まれる。物理学、生命科学、脳科学、天文学。。。
これはきっと人と神との終わりのないゲームなのだろうと思う。 -
Posted by ブクログ
生物学と物理学の見地から生命とは何かを読み解く。
我々の体は原子と比べて、なぜそんなに大きくなければならないのだろうか?
それは第一に一つの物質組織が思考と密接に対応するためには、それは非常にきちんとした秩序ある組織でなければならないからだ。物理的にきちんとした秩序ある体型に対して、他の物体により外界から加えられた物理的作用は、それに応ずる思考の対象となる知覚や経験に対応することは明らかである。
元々原子はすべて絶えず無秩序な熱運動をしている。莫大な数の原子が初めて互いに一緒に行動するようになって規則性が生まれ、集団の行動を支配するようになり、秩序の正しい法則の精度は原子の数で決まる。
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