サローヤンのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ人間讃歌、と言う言葉が自分としては一番、しっくり来る作品だった。人物が(少数の例外はあれど)皆、それぞれの形で人間と世界の善性を何処かしら信じている、何かトラブルや不幸があったとしても、きっと乗り越えて行けるという、宗教で刷り込まれたような頭での信念と言うよりも、魂の奥にある性向とも言うべき心が感じ取れる。
世界とは、本来そういうものなのだ、そうあるべきなのだという、サローヤンのメッセージと受け取れた。不幸があっても、周りが支えてくれる、自分を想ってくれる人が必ず居る、だから「それでもなお」と思うことが出来る。
最後には(予想通り)マーカスに不幸が起こるのだが、それでも暖かな感じが残るのは -
Posted by ブクログ
第二次世界大戦中のアメリカを舞台にした物語。戦時中の人との繋がりや人間性に訴えてくる心に響く良書である。
現代(2025)においても、残念ながら戦争は起きている。ニュースやネットでは戦争の様子が直ぐに状況が反映され、それらの情報の正否や偏りは正確にはわからならいが、現地で起きている凄惨なことが起きていることは想像に難く無い。
この作品においては、戦争中には人と人との繋がりを強調している。そして、多様な価値観だろうが、人種、宗教関係なく、困難な時代を生き残るために、皆で支え合う姿がとても心にくるものがある。
この作品で好きな言葉がある。「悲しいときほど、人に優しく」だ。この言葉は戦時中でも現代の -
Posted by ブクログ
表題ほど明るいわけでは無いけど、希望を感じることができるお話しだった。
日本が太平洋戦争で世相が暗くなる一方の中、太平洋の向こうの「敵国」で生きる、貧しき市井の人が、どういう生き方をしていたのかを感じることができた。
民主主義に対する絶大な信頼とか、健気に生きるホーマー少年に対する電報局長の優しさとか、兵士が敵兵を恨まない姿勢とか、アメリカ人のアメリカ人たる所以とも言えるような美点を感じることができたのは良かった。
P276
「名前は両親にではなく施設でつけられ、両親がどんな人物なのかも知らず、どこの国の人かも知らず、自分が何人の血を引くのかも知らないのだからね。(中略)」
「きみはアメ