鶴光太郎のレビュー一覧
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著者は、以前からジョブ型雇用の普及を推進してきた立場とのことだが、最近のジョブ型雇用ブームには誤解が多いと言う。
ジョブ型だから解雇自由というのは完全な誤解だし、ジョブ型=成果主義というのも誤解で、ジョブ型雇用は職務に賃金が結びついているので成果主義の要素が元来無い。Job Description(ジョブ定義書)があればジョブ型ということでもなく、メンバーシップ型雇用でもJDは有用であり得る。
そして、ジョブ型雇用はテレワークの要件でもない。テレワークが進まないのはジョブ型とは関係なく、環境・制度の準備ができていなかったただけ。テクノロジー遠最大活用すれば、対面と変わらぬレベルでのコミュニケーションが実現できるはずだと。
一方で、日本特有のメンバーシップ型無限定正社員システムは、年功昇進と後払い賃金の仕組みとの組み合わせで、かつては有用であったが、自己犠牲や長時間労働などの弊害を孕んだシステムであるだけでなく、経済・社会の不確実性の増大、少子高齢化などの環境変化により、イノベーション力や共働き・シニア雇用などの多様性が求められる状況下で限界を迎えている。
ここにどのようにしてジョブ型雇用を採り入れていくか?著者の提唱するジョブ型への現実的な移行戦略は「途中からジョブ型」の導入、無限定メンバーシップ型との複線化だと言う。
日本企業がマクロ環境の変化に対応して、ジョブ型雇用をうまく活用しながら、イノベーティブで多様性を生かした組織になっていくにはどうしたらよいのか?著者が挙げるポイントは、自己犠牲・減点主義に基づく評価を改め過去の成果ではなく将来に向けた変化を評価すること、多様な構成員に「職場にいないことを許容する仕組み」を提供しつつ求心力を生み出すために企業の理念・社会貢献目標などのパーパスを共有すること、構成員のウェルビーイングの向上を通じて人的資本が一定でもその稼動率を上げることでパフォーマンスを高めること。
自分の勤めている会社でも、ここにきてジョブ型雇用の導入や評価制度の改変など、動きが始まっているが、それらをどう捉えてどのように運用していくべきか、指針を与えてくれる良著であった。 -
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性格スキルBIG5
①開放性(好奇心)
②真面目さ(計画性 勤勉性 責任感)
③外向性(社交性)
④協調性
⑤精神的安定性
なるほど
意識してる項目ですが改めてまとめるとこういうことになるんですね。
著者は②真面目さをグリッド(やり抜く力)として重要視されてます。
コラムにも上がってましたが僕もスポ根アニメで根性を学びました。
今僕のヒーローアカデミアを見て涙が出てきたり息子のバスケの試合を見て大声で応援できるのもこの原体験があるからかもしれません。
やっぱり今の若い子には根性は伝わらないような気がします。
ただうちの子達は根性ありますよ(笑)
息子は急性胃腸炎で吐いて倒れるまでクラブ休まないですし
娘は吹部の部長として極限状況で成績を維持してました(笑)
本書は認知スキル(学習能力等)と性格スキルを比較して後者が高いと前者が伸びる可能性はあるけど逆は必ずしも言えないとしています。
感覚的にも同じように思います。
有名大卒と高卒が同じ土俵で勝負する我が社ならではの気づきかもしれませんがσ^_^;
ただ性格スキルは大人になってからも伸ばせるとのこと。
挽回可能という点でこの本は今からでも読みたいと言えると思います。 -
Posted by ブクログ
人間の性格を構成する要素「ビッグファイブ」の定義は何となく頭にあったけど、それぞれがどのように作用し、どの優先順位で重視されているか、みたいなことまで理解が深まった。
以下、ブックマーク。
①開放性…好奇心、新たな美的、文化的、知的な経験を受け入れるべく心が開かれている性向
②真面目さ…計画的である、責任感がある、勤勉である性向「野心を持ち目的に向かって自分を律しながら、どんな困難があっても粘り強く責任感を持って努力していく資質」⭐︎
③外向性…積極的、社交的、活動的な性向
④協調性…相手を信頼する寛大さ、利他主義、慎み深い性向「自分のことではなく相手のことを一番に考えたり、思いやる力」
⑤精神的安定性…不安やいらいらや衝動が少ない、鬱ではない、自尊心が高い性向
•真面目さ、次いで精神安定性は、仕事の種類に依存せず広範な職業に影響を与える。
•一方、外交性は(学者、医者などの)プロフェッショナルの場合はマイナス、管理職や営業職ではプラス。
•協調性は、日本では教育年数の高さ•男性の年間所得の高さに対し正の相関。アメリカでは教育年数の高さ•男女ともに年間所得の高さに対し負の相関。
※ただし、従業員1,000人以上の企業では「協調性」の年間所得との関係は日米ともに正である。
•真面目さは寿命との関係においてももっとも強い因子。
•真面目さ、精神的安定性、協調性は30代以降の伸びが大きい。開放性は10代で鍛えたい。
•やり抜く力=情熱(興味×目的)×粘り強さ
やり抜くことに影響する「目的」は、人のために役立ちたいということ。他者に関わること。
※『やり抜く力』の著者ダックワーズ氏いわく、「やり抜く力」とは何度転んでも起き上がることが全てであるが、それができるかどうかは「本人に希望があるか」、楽観的であるかが大事。
【真面目さを鍛えるには】
•就学期…毎朝必ず登校し、遅刻せず、宿題を期限までに提出することを徹底。部活動に所属し練習や準備を通して自己規律(真面目さ)、自尊心(精神安定性)、協調性を高める。
•企業…OJTは業務スキルとともに性格スキルを鍛えるシステム。転勤により、一層リーダーシップを発揮する役割に就くことで粘り強さ、柔軟性が養われる。長時間労働も性格スキル(やり抜く力)を養うという点ではメリットもあった。
今後はどのように従業員の性格スキルを伸ばすか。 -
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岸田政権時代の2023年の「経済財政運営と改革の基本方針2023(いわゆる「骨太の方針2023)」には、「三位一体の労働市場改革」という政策が提言されている。当時の岸田首相の政策のメインキャッチフレーズの一つが「新しい資本主義」であり、そのための「新しい資本主義実現会議」という組織までつくり、その場で議論・答申されたのが、「三位一体の労働市場改革の指針」という文書であった。
「骨太の方針2023」は、その「三位一体の労働市場改革」を政策として取り入れた。その内容は、「リスキリング推進」「職務給(ジョブ型雇用)導入促進」「円滑な労働移動促進」であり、「転職すれば賃金が上がる」という謎の論理(上がる場合もあれば上がらない場合もあると考えるのが普通だし、統計的にもそうなっている)を取り入れ、転職を促進しよう→そのためには仕事の定義がはっきりしており、どのようなスキルを持っていれば転職が可能になるのかを、はっきりさせよう(ジョブ型雇用)→そして、そのスキルを身に付けてもらうためにリスキリングに力を入れよう、というものであった。
これに対して、多くの学者や論者が異を唱えた。一つは上記の転職すれば賃金が上がるというのは嘘だろうという話。政府の主張は、マクロの労働市場で見ても、生産性の高い(賃金の高い)業界に、生産性の低い(賃金の低い)業界から転職することによって、平均的な賃金は上がるという、これも謎の論理をとっている。謎の論理という意味は、現在、人手不足で人を多く採用しているのは、介護やサービス(飲食店やホテルなど)であり、その業界の賃金は必ずしも高くない(というよりも、低い)。逆に、賃金が高いのは製造大企業等であり、こちらの雇用吸収力はマクロで見ると高くない。すなわち、生産性の低い業界から生産性の高い業界への大量の転職という現象は起きていないし、それは、労働需給バランス次第なので、政府がコントロールできる話ではないのである。その他の批判としては、「政府はジョブ型雇用ってどういうものか分かってるの?」というものである。仕事の内容を契約に書き込んで、それを変更するには、契約の再締結、すなわち、本人の同意が必要なものが、本来の意味での(例えばヨーロッパでの)ジョブ型雇用の定義であり、それは、生産性の低い産業から生産性の高い産業への転職とは、全く関係のない、インディペンデントなものであり、そういう意味では、ここでも、政府は謎理論を使っているのである。
これらは、私が自分の修士論文で取り上げようとしているテーマの背景の一部をなすことである。
本書、「人事の経済学」の前半は、その「ジョブ型雇用」の議論に多くを割いている。筆者は、「マイルドなジョブ型雇用推進派」とでも呼ぶべき人である。筆者はジョブ型雇用導入を提言しているが、その理論は政府の謎理論とは異なる。
日本のサラリーマンの雇用形態は、「メンバーシップ型雇用」と呼ばれることがあるが、そこでは、職務等が特定されず、サラリーマンは、その時々の会社の命に従い、職務も勤務場所も勤務時間も拘束されることになる。その替わりに、長期的・安定的な雇用を得ているというのが、「メンバーシップ型雇用」の理解である。
そこでは何が起こるかと言うと、会社の命によって、異動が行われ、経験のない職務に就いたり、あるいは、転勤を突然命じられたりする、また、行うべき仕事がはっきりと定義されている訳ではないので、長時間労働が発生しやすくなり、ワークライフバランスに悪影響を与えたり、ひどい場合には、ブラック労働、過労死等も発生する。「そういうことを防ぐ」という趣旨で、職務・勤務場所・勤務時間のうち、少なくともどれかを特定しましょう、というのが、筆者の主張であり、それはブラック労働の予防策であり、ワークライフバランスの改善策という意図を持っている。
こういう論理展開であれば、賛成するかどうかは別として、議論の俎上に乗せることが可能となる(政府の言う「ジョブ型雇用」は謎論理過ぎて、議論も出来ない)。
ということで、長々と書いたが、「ジョブ型雇用」とか「ワークライフバランス」とかに興味を持っている人にとっては一読に値する書籍だと思う。 -
Posted by ブクログ
昨今の働き方改革ブームもあり本書を手に取ってみました。読後の印象を一言でいえば、「優等生の書いた模範回答」的な印象でした。著者は国の委員も歴任されていて、労働経済や人材活用についてかなりの幅と深さの知見を持っていることは文章の隅々から伝わってきましたし、著者が提案する内容はいちいちその通りだろうな、とは感じたのですが、裏返すと面白さ、あるいは目から鱗、という瞬間はありませんでした。また基本的には労働政策や社会保障、税制の制度設計に必ず落ち着くので、企業人の立場からはやや退屈でした。望むらくはマネジメントの視点から人材覚醒の事例なり、リーダーシップ論なりを少しでも良いので紹介してくれたらありがたかったです。
また内輪の仲間を意識して書いているからなのか、それがアカデミック・ペーパーを書く上での基本マナーだからかはわかりませんが、いちいち論文紹介の際に大学名と先生名も本文中で紹介していて、そのパートはほとんど飛ばし読みしました。部外者からすると全く興味はなく、その情報は脚注に全部放り込んで欲しかったです。その意味で本書は一般読者、部外者をあまり大事にしていないという印象を持ちました。
誤解のないように書くと、内容自体は非常に網羅性が高く、著者の専門性の高さはとても素晴らしいと感じたのですが、繰り返しになりますが「優等生の書いた模範回答」という印象が強く、アハ!モーメントは訪れませんでした。 -
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性格スキルとは5つの項目
人前で発表する機会に「性格スキル」は多いに「成長」できる要素があると感じた。それは特に自分の中の「想像力+審美眼」「やり抜く力」「社交性+明るさ」を成長させるものだ。これからの日本は特に子供の頃から一方通行の教育だけではなく子供自身が大いに発表できる機会と教育が必要だと感じた。グローバル社会・ビジネスに不可欠な外交性+日本独特の開放性が必須だと思うからである。
子供への教訓は3つ(大人への教訓にも繋がる)
1、解らないないのに解ったふりをするな
2、解らないことは決して恥ずかしいことではない
3、解らないことを誤魔化すことが一番恥ずかしい -
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マクロ経済学と日本経済 日本評論社
入門マクロ経済学 中谷巌
60年代ケインズ経済学、
70年代マネタリストからの批判、
70年代後半から80年代初頭 合理的期待形成学派(新しい古典派)、
80年代実物的景気循環理論、ニューケインジアンとの対立、
90年代後半~新しい新古典派総合=DSGE
ニューケインジアンの価格硬直性=メニューコストの存在、総需要外部性を仮定すると、価格粘着性が発生する、価格設定時期のずれによるもの、協調の失敗=ゲーム理論の囚人のジレンマと同じで、価格を下げないナッシュ均衡が生じる。
DSGEとは、通時的な最適化、合理的期待形成、市場の不完全、価格調整コストを組み入れたモデル。2008年も大不況を予測できなかった。
労働投入指数=労働時間だけでなく労働の質も考慮したもの、経済の伸びは全生産性の伸びと労働投入指数の伸びと資本の伸びによる。
近年は、無形資産による影響が注目されている。ノウハウ、ソフトウエア、情報化資産など。
景気の累積的メカニズム(=外部性の存在のため)が弱まっている。
フィリップス曲線のフラット化=インフレ率が上がっても失業率は改善しない、または、失業率が下がってもインフレにならない。
景気拡大でも物価が上がらない=価格粘着性の要因=暗黙の契約、協調の失敗など。価格据え置きがデフォルトになっている。わずかな値上げでも消費者の抵抗が高い。
オンラインのインフレ率は、消費者物価指数より上昇率が1%程度低い。
家計調査によると若年層の貯蓄率が上昇=将来への不安、不確実性増大に対する予備的動機
高齢者は増税+社会保障増大を望んでいる。
若年層は、社会保障縮小+増税なしを望んでいる。
テイラールール=政策金利を契機と物価上昇率から日びく。
中央銀行がコントロールできるのは短期金利のみ。YCCは、長期金利もターゲットとする政策。フォワードガイダンスにより間接的に影響を与える。
マイナス金利の長期化は、金融機関の収益構造を圧迫する。家計や企業から債務者への所得移転、財政規律が脆弱化する恐れ、
低成長低温経済の自己実現には、何が必要か。
FTPL(物価水準に関する財政理論)とMMT(現代貨幣理論)
FTPL=消費者にフリーライドを奨励し、将来の増税をコミットしないことで、デフレから脱却できる。
債務残高比率の上昇に歯止めがかかるためには、PB黒字GDP比率は、金利成長率格差に債務残高GDP比率をかけたものに等しい以上が必要。
財務残高GDP比率が200%で、名目金利3%、名目成長率2%であれば、目標となるPB黒字GDP 比率は2%が必要。
事業統合は規模拡大によるTFPの上昇効果は、大企業の海外進出による退出効果と、中小企業でTFPが伸びない内部効果により、相殺されている。
低温経済からの脱却には、雇用システム労働市場の改革と企業の価格戦略が必要。
賃金の後払いシステムが労働移動を妨げている。 -
Posted by ブクログ
ネタバレデービットアトキンソンが新生産性立国論などで語っていた
①IT技術を使えていない生産性の低さ
②小、零細企業が多いことによる企業としての規模の小ささ(≒設備投資の余力のなさ)
③ ①+②によって、利益確保するために従業員への給与を削減することで対応
④ ①+②+③によって、日本のGDP低下
自分で日本の経済情報をここまで調べて、且つ、グラフ化するのは容易ではないですね。そういう意味でも、日本経済で何が起こっていたのかを理解できる1冊でした。
で、結局、ここまでなんですよね。
本書でも日本経済再生に向けた提案をいくつか出されてますが、どれも既視感ある内容で且つ、効果が乏しく感じました。この辺は、追われる国の経済学を読むとLTPなどで補完できそうに思います。
本書の中でもMMTと関連した積極的な財政出動の話が一部出ましたが、やはり『どこまで赤字財政を行って大丈夫なのか?』の、定量的な見解がないとありました。
低温経済の日本を立て直すのは、相当ハードル高そうです