ロバート・B・ライシュのレビュー一覧

  • コモングッド―暴走する資本主義社会で倫理を語る

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    原著は2018年発行。ごくまっとうなことを述べていると思うが、世の中はますます悪いほうに。まさかトランプがもう一度大統領になるとは思わなかっただろう。

    「コモングッド(共益)」とは何世代にもわたって積み上げられた「信頼」の集合体である。
    世の中のゲームのルールは「コモングッド」を尊重するものから、「何が何でも手段を選ばず勝ってやろう」に代わってしまった。
    ・「手段を選ばず」勝つ政治
    ・「手段を選ばず」利益を最大化する人々
    ・経済を不正操作するためなら「手段を選ばない」人々

    【原題】THE COMMON GOOD
    【目次】
    第1部 「コモングッド」とは何か
     第1章 シュクレリ
     第2章 私

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    2025年02月10日
  • 最後の資本主義

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    政治献金や天下りをエサに自分たちに有利なように市場のルールを変更する各業界の強欲さに呆れ返る
    法律の成立を妨害し、法律を骨抜きにし、あるいは執行させないよう予算を削らせる
    身勝手の極地だろう
    歪んだ資本主義ではなく、資本主義を歪めたのだ
    こんな市場を誰が信じるというのか
    ビジネスマンとしても大統領としてもトランプがでてきたのは当然だと思えた
    市場万能という神話は誰がルールを決め、ルールを執行しているかを見過ごさせるというのはもっともな指摘だ
    富裕層は嫌がらせのためにこんなことをしているのではない。
    ただただ自分のことしか考えていないだけなのだ
    昔のように下位層で連帯し、歪められたルールを元に戻

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    2017年12月22日
  • コモングッド―暴走する資本主義社会で倫理を語る

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    本書はアメリカ社会について書かれているものではあるが、訳者の指摘する通り、日本にも当てはまるものだと思う。

    かつて、市民の間で信頼の元、共有されていた「コモングッド(共益、公共善、良識)」といった価値観が、
    「勝つためなら何でもあり」の政治と「大儲けするためなら手段を選ばない」経済により、蔑ろにされ衰退してきてしまった現代において、
    「コモングッド」を取り戻すためにはどうすればいいのか、というのが本書のテーマである。

    日々のニュースを見るだけでも、政治家や大企業にたいして、公益を重視する公正で良識ある存在だと思うのは、かなり難しい。
    「どうせ悪いことしてるんでしょ」と冷笑しながら見る方がは

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    2024年11月19日
  • 最後の資本主義

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    ライシュ氏の本はすでに日本語版で何冊か出ていますが、2017年時点では本書が最新になります。原題はSaving Capitalism、つまり資本主義を救え、ということです。ライシュ氏の主張を一言で言えば、今の資本主義は大多数の人間のための仕組みではなく、少数の富める人間のためのシステムになってしまっているから、そのルールを修正することで資本主義を健全な形に戻そう、ということです。その意味では、訳者解説の中にもありましたが、本人は共産主義者でもアナーキストでもなく、資本主義礼賛者であって、今の「ゆがんだ」資本主義を「健全な」資本主義に戻す必要がある、というのが主眼になっています。

    また彼の主張

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    2023年04月30日
  • 最後の資本主義

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    資本主義の根幹である自由主義は、所有権、独占、契約、破産、執行の5つで構成されているが、それらは富裕層、大手企業に利するようにルールが歪められており、中間層が没落しているというのが、本書の一貫した主張。
    市場の失敗を抑制する手段として、公共事業の実施、財政政策、などの政府による介入があるが、政府自体も富裕層や大手企業など、自由市場から利益を享受しているグループと結託している。それ故に、政府も過度な自由主義を推進することになり、中間層・貧困層と富裕層との格差は拡大してしまう。
    能力主義と自由主義が合わさることで、中間層・貧困層と富裕層の分断は一層進んでいる。多くの富を持つことが、価値であると考え

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    2022年08月21日
  • 最後の資本主義

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    拮抗勢力の衰退、労働組合、中小企業
    ※健全で信頼されるカウンターパワーが必要
    グローバル化と技術革新は遠心力を持つ、繁栄を分かち合うための抜本的手段が必要
    ステークホルダー資本主義対株主資本主義、ステークホルダー資本主義を勝利させなければならない。
    新たなルールの構築が必要

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    2017年12月06日
  • 最後の資本主義

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    「暴走する資本主義」から10年。その後も富の格差は広がり続けている。本書のテーマは一貫して自由経済と政府の対立軸がなくなっていること。資本主義は自由経済によって健全な競争が保たれる前提だが、資本主義の勝者がゲームに勝つことよりルール(法律)を変えることを優先した場合、富は適切に配分されずに一部に集中し続けてしまう。
    問題定義からその真因分析、そして目指すべき方針まで示された優良図書。

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    2017年05月13日
  • 最後の資本主義

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    この世のどこかに「自由市場」という概念が存在しており、そこに政府が「介入する」のだ、という考え方ほど人々の判断力を鈍らせるものはない。政府なくして自由市場は存在しない。文明とはルールによって成るもの。

    法律のどこを見ても、「株主が企業の唯一の所有者であり、したがって企業の唯一の目的は彼らの投資価値の最大化にある」とは書かれていない。
    これは、1980年代に企業の株主利益を最大化したい乗っ取り屋が経営者達に対し、採算性の悪い資産を売却し、工場を閉鎖し、借金をもっと引き受けて社員を解雇するよう要求し始めた頃に出てきたもの。

    1978年から2011年にかけて、新しい大企業が支配力を強めていくのに

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    2017年03月28日
  • 最後の資本主義

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    25年ほど前に著者の本「ワークオブネイション」を大学時代に読み21世紀はグローバル化が進み、国家の最大の役割は人材をつくることになる、そしてもっとも付加価値の高い人材はシンボリックアナリストと呼ばれるものをつくるのではなく概念的思考をする人になる、という内容に衝撃をうけて自分のその後の職業観、就職におおきく影響をされたとおもう。
    あれから26年、著者の予言どおり、世界はグローバル化し、そしてシンボリック穴リストの職業としてインターネット関連、グローバルな金融、バイオなどまさに予言どおりとなっている。
    しかしながらそれによって、あらたにシンボリックアナリストがあまりに力をもちすぎて、市場のルール

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    2017年03月05日
  • 最後の資本主義

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    米国で格差が広がっているのは、ウォール街などの富裕層が共和党だけではなくビル・クリントン大統領あたりから民主党にも膨大な献金を行い、富裕層に都合の悪い法律(グラススティーガル法など)は次々に骨抜きにして、特許権の延長などは富裕層に更に利益をもたらすように改訂して来た結果であり、神の見えざる手の所業ではないと糾弾し、下位層から上位層への「事前配分」に終止符を打つ新しいルールを提唱している。トランプ旋風の背景がわかる好著です。著者はクリントン政権では労働長官を務め、オバマ政権ではアドバイザーを務めていたようですが。。。

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    2017年01月29日