読書大全という著書名から、読書法やアウトプットの仕方などの本かと想像していましたが、全く違っていました。
冒頭、著者の読書に関する考え方も触れていますが、内容の大半がビジネスリーダー向けのブックガイドとなります。
ジャンルとしては、経済・哲学・歴史・科学が中心です。
ただ、単なるブックガイドというだ
...続きを読むけでなく、まずは歴史的に「宗教と神話」「哲学と思想」「経済と資本主義」の流れを振り返ったのちに、歴史的名著と呼ばれる書を紹介していますので、全体像が掴みやすくなっているのは特徴だと思います。
とはいえ、歴史的名著と呼ばれるだけに、要約された内容ですら難解なものも多いのも事実です。本書で自分の興味のある分野を読み込み、原書を手に取るという形で活用したいと思います。
▼ビジネスリーダーにとって、良書が必要。それは危機的な状況に立たされたときに付け焼き刃で読む、お手軽なノウハウ本ということではなく、常日頃から人間としての練度を高めておく、つまり人間としての基礎体力や体幹を鍛えておく
▼自然科学は我々に「意味」の世界についての手がかりを提供してはくれません。結局、我々は自分が何者なのかを知るために、終わりのない旅を続ける旅人のようなものです。その答えは誰かが与えてくれるものではなく、我々一人ひとりが自分の力で探し求めるしかありません。そして、その旅を続けるための良き道しるべになってくれるのが、良書との出会いなのです。
▼本を読むというのは、ただやみくもに頭の中に知識のバベルの塔を構築することではなく、思想・知識・洞察・確信を融合し。ひとつにまとまった良識や正しい判断や行動に結びつけていくためのものです。まず自説を立てて、それを強化し補強するために読書をして、自分の頭で考えるということが肝要で、これが単なる博覧強記の愛書家と、偉大な思想家や人類の進歩に貢献する人との決定的な違いなのです。
▼現代の大きな特徴は、資本主義の拡大とともに経済と科学の領域が肥大化し、その反面、宗教は大きな物語を提示する力を失い、哲学もその領域をどんどん狭められてしまったことです。フリードリヒ・ニーチェの「神は死んだ」(「悦ばしき知識」)という言葉は、この弱体化した宗教への批判であり、西洋文明を支え続けた思想の死を告げるものでした。
▼学問分化の流れ
宗教=神話+自然(世界)+人間(自分)
↓
宗教=神話 哲学=自然(世界)+人間(自分)
↓
宗教=神話 哲学=人間(自分) 科学=自然(世界)
↓
宗教=神話 哲学=人間(自分) 科学=自然(世界)
経済学=経済(社会)
<目次>
学問の構造と本書の構成
第1部 人類の知の進化
第1章 宗教と神話
第2章 哲学と思想
第3章 経済と資本主義
第2部 人類の歴史に残る200冊
第1章 資本主義/経済/経営
第2章 宗教/哲学/思想
第3章 国家/政治/社会
第4章 歴史/文明/人類
第5章 自然/科学
第6章 人生/教育/芸術
第7章 日本論