村上豊のレビュー一覧
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絵本とばかにすることなかれ。
読んで良かったと思わせてくれた。
文は、数々の賞を受賞されている、あまんきみこさん。
よどむことのない流れるような文章は、絵とシンクロナイズし、ほんの十数分で読めるものだが、これ以上の説明はいらないどころか、余韻も残してくれる。
村上豊さんの絵も素敵。この方もいろんな賞を取られている。特に表紙の平敦盛を描く絵は、彼の結末を知るに、余計に心が騒ぐ。
「みやびな若武者の美しくも悲しい物語」と解説にあるように、源平の「一の谷の合戦」で敗れ敗走する平家にあって、舟に乗り遅れた僅か16歳の平敦盛(平清盛の腹違いの弟)が、同じ年頃の息子を持つ義経配下の武将熊谷直実に討た -
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佐藤さとる氏の新作が出版されたというのは聞いていたのだが、文庫本になったのを発見して購入。ジャンルは児童書、らしいが、40年位前の子供ならともかく、現代っ子は最後まで付き合えるか、要らぬ心配をしてしまった。
物語的には、与平が九郎丸を人に戻そうと大天狗に直訴するくだりをクライマックスにしてもよかったかなと思う。九郎丸の出生が明かされるまでは、佐藤さとるらしいファンタジーで、一気に読ませるが、そこからは、それまでのキーアイテムだったカラス蓑や笛、といった小道具が活躍せずに、現実世界の話が進む歴史小説風になって、盛り上がりに欠けた気もする。
ただ、人物(と、天狗)描写はぴか一で、それぞれの人物 -
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歴史が好きだ、古典の文章を読んでみたい、という嬉しいことを言ってくれた中学生の男の子からおすすめされた絵本。小さいときから、家に置いてあったそうで、何度も読んで大好きな絵本だそうだ。
内容は、源平合戦。源氏方の熊谷次郎直実が、海へ逃れようとした平敦盛の首を取る場面だ。『平家物語』の巻九「敦盛最期」のエピソードに寄ったものだそうだが、敦盛の首を取った後の直実のセリフなどを見ると、作者の解釈によって、原作以上に子を持つ親である直実像が浮き立っている。
ー戦いとは、なにか。
ー人をころすことが、てがらなのか。
ー一番のりは、てがらなのか。
ー武士とは、いったい なんなのか
当時の武士に、こうし -
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ネタバレ『だれも知らない小さな国』シリーズで知られた、佐藤さとるさんの日本の戦国時代を舞台にしたファンタジー。
与平じいさまのところに、大天狗がよこした子どもの天狗・九郎丸が住みつき、笛を教えることに。天狗の蓑がなければ、人間にもどれる九郎丸。与平は蓑を焼こうとして、失敗。大天狗に直訴して、自分の命と引き換えても、九郎丸を人間にして欲しいと言うが…。
わくわくする面白さでした。
のちに、九郎丸の生い立ちがわかり、武将の落としだねと知るが、第十一章から終章が駆け足に感じて、そこまでの、ワクワク感がスパッと切られて余韻に浸れなかったので、個人的に寂しい思いがしました。
しかし、物語は面白いです。