中山秀紀のレビュー一覧
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■精神依存における「正の強化」と「負の強化」
依存症の根幹となる症状は「精神依存」と呼ばれるもので、これには「正の強化」と「負の強化」の二つの側面があり、ギャンブルやゲームなどの行為の依存症でも同様のことが起こる。
・「正の強化」とは、すなわち「快楽を得られるから依存物を使用する」こと。依存症の人が依存物を使用するのは「快楽」を得るためという前提条件があるが、「正の強化」だけでは依存症を説明しつくしたことにはならない。依存症ではない普通にゲームが好きな子供も「快楽」を求めてゲームをするし、依存症ではない普通に「酒好き」な人も「快楽」を求めて酒を飲む。つまり、多くの日常的な局面において「快楽」 -
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依存症治療に力を入れている久里浜医療センターの精神科医長-中山秀紀さんの著書。
タイトルは「スマホ依存から脳を守る」ですが、スマホに限らず依存症を解決するための示唆に富んだ見識深い内容でした。臨床的に個別を見つめることを超えて、幅広い知識から依存症に対する社会課題を指摘しています。
第1章・第2章については、依存のメカニズムが書かれています。これはスマホに限らず、アルコールなどの依存物全体に当てはまる知識です。
「快楽をもたらすはずの依存物を使えば使うほど、依存物を使っていないときの不快度が増していく(p.57)」つまり快を得ている(正の強化)一方で、実は不快になっている(負の強化)ことが -
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何かに依存すると怖い目にあう。タバコ、酒、ギャンブル、白い粉などが代表だが、今の時代、スマホ依存、ゲーム依存といった新たな手強い依存になるものがある。
一度、快感という泥沼にはまってしまうとなかなか抜け出せなくなる。生活のリズムが乱れる、食生活、学校生活、勤務態度も乱れていく。そして、親、学校の先生、会社の上司に注意されると「うっせえ、うっせえ、うっせえ
わ」と言い、「あなたが思っているより健康です」と開き直る。
さらにひどくなると学校や会社に行くのがいやになり、自分の部屋に引きこもるようになり、人と関わることがなくなり、最悪の場合、引きこもってこの道数十年の自宅警備員になる可 -
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スマホというものが子供にはとてつもなく魅力的な依存物であり、そこからの脱却がいかに辛いかを教えてくれる良書。
タバコと同じで、一旦依存をはじめると、使わないことによる不快感が半端ではないという見解には、自分のことを振り返ってみても大いに納得できるものがある。
小さい子を持つ親としては、いかにして子供をスマホから遠ざけるかが大切。
そのためには、自身がスマホに飲み込まれないこと、そしてスマホに代わる厳然な楽しみを、労を厭うことなく提供していくことが大切だと感じた。
最後に、著者はスマホ依存せざるを得ない社会にも疑問を呈しているように思えた。
この点、自身も同感。
法による規制も踏まえ、スマホ -
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ネタバレスマホ依存症の患者への治療を行う久里浜医療センターに勤める医師がスマホ依存の問題点や予防・回復の方法についてまとめた本。
依存症の元となる依存物とは、「快楽が容易に味わえ飽きにくく続けられてしまうもの」とされる。
しかし法令での規制が厳格に行われているアルコール・タバコなど従来の依存物と違い、スマホは精神面で未熟な小中学生から使用が容易で、依存物へ触れる時間が長くなるほど依存しやすい傾向が問題となる。
香川県にてゲームの時間を制限する条例が制定され、実効性のなさから批判が多く寄せられた。スマホゲームは大半の人間にとって楽しいもので人生を豊かにするツールであることは違いないが、スマホは常時持ち歩 -
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“スマホ依存”に限らず、依存症全般に対していえることが書かれている。
依存してしまうのは、
快楽を得ようとする「正の強化」だけではなく、
不快から逃れようとする「負の強化」こそが最もやっかいな要因である。
私たちが遊園地に依存しないのは、何度も行けば飽きるから。手間がかかるから。お金がかかるから。
依存しやすいものはその逆で、飽きないこと。手軽であること。高額ではないこと。
オンラインゲームとオフラインゲームの違い。
オンラインゲームは圧倒的に情報量が多く、定期的にアップデートもあることから、いつまでも飽きない。
また、そのようなゲームを、“手軽さ”という要素を備えた「スマホ」で行えるた -
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依存症とは、「楽しく」かつ「継続的」に摂取できるものを指す。スポーツ好きという人間も楽しくてやるのだろうが、朝から晩までずっと行うとさすがに疲れてしまう。一方で大麻やアルコールは摂取すると快楽を得られ、なおかつずっと続けることができる。スマホもそうだと筆者は指摘する。スマホでネットサーフィンしたりゲームに興じたりするのも、一つ間違えば依存症になりかねない。最近はe-スポーツが人気だが、私個人的には違和感があった。ゲームはスポーツなのか、と。本書を読んでその違和感がはっきりした。ゲームは依存症になりうる危険性があるのだと。その一点がある限り、e-ゲームを健全なものとして青少年に積極的にPRすべき