山田寛のレビュー一覧
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購入済み
気になる方は読むべきです
この本の主題が気になる方は、読むべきです。
残念ながら、すべての真相は解明されずじまいですが、この事実を風化させないためにも、少しでも多くの人に読んでもらいたいです。
あれだけのことをしておきながら、自分達の家族には特別待遇をしていたり、元妻が今も豪勢な暮しをしていたり、本当にやるせない気持ちになります。
文章は明快で読みやすく、休日に一気読みできました。 -
Posted by ブクログ
いつかしっかり知りたいと思っていたクメールルージュによるカンボジア統治の歴史。
革命とは名ばかりの、虐殺に次ぐ虐殺の統治。
非常にディープな内容でしたが、いまだ本質的な真相は、既に当事者が亡き今となっては、完全に解明されていない様です。
なぜ、フランス留学までして、帰国後に教員経験のある集団が、政権を握ると同時に、都市の知識層を農村へ強制移動させると同時に、虐殺に追い込んだのか。また、内ゲバによる億級幹部クラスの粛清に次ぐ粛清。一体、何を残したかったのでしょうか。
この集団が共産主義を標榜していた以上、とても共産主義社会を容認する訳にはいきません。 -
Posted by ブクログ
ジャーナリストの書いたもので、臨場感はあっていい。あまり細かい裏付けや考察には欠ける印象があるが、「ポル・ポト革命」とは何だったのか、を知るには読みやすいしコンパクトにまとまっている。
共産主義がどうとかではなくて、単にシロウトが"俺の考えた最強の政策"を、議論にも諮らず、事後の検証もせず、異論のある人間を排除していった、そのやり方の行きつく先はこういうものだ、ということだろう。その意味では、まったく今の日本は「ポル・ポト化」しかけているのではないか?! 時間はかかっても広く意見を汲むこと、事後の結果・途中経過の検証をすること、異論を排除しない、ということ、これらはとても大 -
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ポル・ポト政権が行った事について学びたくてこちらの本を手に取る。
1970年代に時の権力者が独裁的な政治を行なった、という簡単な話ではなく、1930年代の抗仏民族運動・インドシナ共産党の興り・米国など資本主義国への反発・カンボジア内戦など当時の複雑な情勢のなか、いくつかの偶然が重なり起こったものだった。
カンボジアがたどった複雑な歴史、隣国との関係、仏教・イスラム教の存在が思想に影響を及ぼすことなど、当時の事を幅広く知ることができた。
そして今、中国共産党がカンボジアを大規模支援し一帯一路の推進と中国化を推し進めている。
首相フン・ソンはポル・ポト政権打倒後から現在もその座についているカ -
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読売新聞の東南アジア担当の記者による、カンボジアのポル・ポト政権による「革命」実践についての歴史書。1930年10月のコミンテルン支部インドシナ共産党結成から2004年3月のキュー・サムファン(ポル・ポト派のマルクス主義経済学者)の自伝刊行についてまで、隣国でのベトナム戦争の進展と中ソ対立に揺れる1960年代以降のカンボジアで、如何にポル・ポト派が革命に勝利し、そして失脚し、失脚後の革命家達がどのような余生を送ったのかを描き出している。学者ではなくジャーナリストによる作品だが、著者が保守反動の応援団でも進歩的知識人でもないという立場であることもあり、インドシナ半島の共産主義運動についてほとんど
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20世紀を振り返ったとき、最も多くの人間を殺したのは誰か?この問いに対するトップ3は、毛沢東(大躍進政策による失敗と文化大革命によって)、スターリン(強制収容所によって)、ヒトラー(アウシュビッツ等における民族浄化において)であるが、次点として名が上がるのが、カンボジアにおける大虐殺を引き起こしたポル・ポトである。
殺害されたとされる人数は推計で100-150万人とされ、トップ3に比べれば桁が1つ落ちるわけだが、重要なのは自国の人口における割合である。当時のカンボジアの人口は800万人足らずだということを考えれば、殺されたのは約2割弱という恐ろしい割合に達する。本書は読売新聞の東南アジア地域 -
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「だが、民主カンボジアこそ今もなお世界一完成された高潔な国家だ。」
中国やベトナムとは違い、自分たちだけでアメリカに勝利したと宣言し続けたポルポト。世界一の独立国家であるために、すべてを急ぎすぎた。また、無知こそ正しいとし、インテリ階級を虐殺した。無垢な子どもこそ民主カンボジアにふさわしいと考えた。農業こそ国の根幹で、教育は捨てられた。人も家畜も命の価値は同じだ。
権力を握るまでは後ろに隠れていたポルポト。その病的なまでの猜疑心が、裏切りに対して強固な姿勢を作ったのだろう。権力を握るために協力してきた仲間ですら容赦なく殺害した。中国、北朝鮮からの援助も断り、いつまでも独立を掲げた。鉄の水牛 -
Posted by ブクログ
この本は、国際社会と日本という授業の先生である山田寛さんが書いた本で、期末テストに出ることや、興味があったこともあり読むことにした。まず、ポルポトという政権があったことも授業で知ったくらい歴史にはあまり詳しくなかったので、読むのにとても苦労した。しかし、授業でよく出てくる内容が本に多く書いてあったこともあり、自分の中ではよく理解できた方であったと思う。ポルポト政権がどんな政権であったか?この政権がどんなことをやってきて、どういう結末を迎えたのか?これだけでも知ることができて、自分にとってまた新しいことを覚えることができて良かった。これからもたまには歴史に関する本を読んでいこうと思う。
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Posted by ブクログ
カンボジアの全人口800万人の内、約2割に当たる150万人を虐殺した上、反省も後悔もなくベッドの上で死んでいったポルポト。
彼と彼の率いたクメール•ルージュの幹部たちは、
フランスに留学したスーパー•エリートたちだ。
何故、そんな開明的なエリートたちが、同じ国民を平気で殺戮する化物になってしまったのか?
その謎に迫る。
それは、我々も身近で体験している。
オウム真理教事件だ。
本書世界中のどこにでもある内ゲバの論理、民族浄化の論理を如何に乗り越えるかという課題に取り組んだものだ。
内ゲバの論理は、ドストエフスキーが執拗に追い求め、日本でも共産党革命に参画した埴谷雄高、ドストエフスキーから甚大 -
Posted by ブクログ
カンボジアを訪れた時、とにかく若い人の国だという印象を受けた。他の国ならある程度歳のいった人が出てきそうな管理職的立場の人さえも若い。とにかく、老人と呼べるような人が少ない。それが一定以上の年齢層の大多数がクメール・ルージュに命を奪われたせいだと気づくまで、少し時間がかかった。
首謀者であるポル・ポトはびっくりするほど普通の男だ。誰よりも切れる頭脳とか、見た目の華やかさとか、一切ない。自分でもその自覚があったからあまり政権の顔として表に出ず、あくまで影から物事を動かしていたのだろう。
しかし、そういう普通の人間が歴史上に残るような大虐殺をやってのけたことこそ、カンボジアが特殊だったのではなく「