桜井智恵子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
自分とは相いれない思想の本をこれほどしっかり読めたことはない。私は教育はもっと個の能力の開発に焦点を絞るべきだと思っているし、成長を希求することが社会全体の活力につながると信じている。
でもこの数十年日本にはびこるおかしな「自己責任論」と「個人主義」には強い違和感を覚えている。
この本はまったく違うアプローチではあるが、同じ問題点をとらえ、個々の事例で具体的に説得してくる。
この本の主張に簡単には同意できないが、対立項として読むべき価値のある本だ。
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現在の社会的な価値観でもって「排除」され、力を奪われたまま、社会保障で「包摂」される。その包摂に「自立支援」という発想が -
Posted by ブクログ
川西市の子どもオンブズパーソンにいる著者による、受けた相談とその解決に至る道筋を元にした、社会に対する変革のススメ。
子どもの気持ちが大人に受け止められていないことが、相談に来る子どもたちの実感にある。子どもと大人の間にコミュニケーションを成立させることをオンブズパーソンが陰から日向から支える。
なぜ、子どもの気持ちに向き合う時間や心の余裕が持てないのか。相談から直接示された実態や社会理論から示す。
関係性の中で自らの力を発揮できるようになることで、「能力」を示すことができる。その関係性がなければ、その人の力を測ることはできないそうだ。 -
Posted by ブクログ
昨年「子どもアドボカシー」というものを知り、それにちなんだ本として読んでみた。兵庫県川西市の「子ども人権オンブズパーソン」制度にかかわる著者が活動の内容から社会のあり方までを綴る。
川西市の子どもオンブズは子どもの権利を守り寄り添う先進的な仕組みとして、その世界では知られているけど、一方でどうして「子どもオンブズ」がありながら「子どもアドボカシー」というよく似ているけど別の名前の仕組みがいま広がりかけているのかと、ちょっと不思議に思った。そのくらい(この本を読む限りでは)川西市の「子どもオンブズ」の仕組みってよくできているし、実際にも機能している感じがする。なのになぜ?
一方、子どものついてだ -
Posted by ブクログ
「子どもの声を聞き、対話を重ね、関係性に働きかけ、子どもの傍らに立つ」子どもオンブズパーソンについて紹介されている一冊です。
ソーシャルワーカーとしては、同意できる部分が多くあり、また、すぐにでも仕事に取り入れたい部分も多くありました。
唯一、学力保障に関する部分だけが同意しきれなかったです。
私の読み込み不足かもしれないのですが。。
私は学力保障の重要性をとても強く感じています。
学力がほとんど身についていない、、、日常の読み書きでさえ厳しく、おそらくそのことによって生きづらさが増している子どもと出会うことがあるので、、生きていくために最低限の学力保障は必要だと、私自身は考えています。