ブライアン・オールディスのレビュー一覧

  • 寄港地のない船

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    オールディス氏の処女長篇。およそ60年前の作品がなぜか今邦訳、刊行された。世代間宇宙船もので、船内はポニックと呼ばれる生命力の強い植物が蔓延り異形と化している。世代を重ね、船の記録ははるか昔に失われており、一部を除き、人間は外に世界があることさえ知らない。デッキとポニックで隔てられた人々は各地で小さなコミュニティを作り暮らしており、はみ出し者の主人公は司祭たちと共に旅に出るが・・・。この後に書かれた「地球の長い午後」に繋がるような設定に胸熱必至。ハインラインの「宇宙の孤児」とはまたひと味違った傑作。

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    2019年10月18日
  • 寄港地のない船

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    久しぶりに骨太なSFを読んだ気がする。面白かったなぁ。
    こう、新語を不親切にぶつけてくる感じが好きなんだよね。なんだろうこれは、となけなしの想像力をフル回転させながらページを繰っていって、段々とその言葉が自分の中に形作られていく感覚。
    あとがきによると世代宇宙船もの、という小説の古典、らしい。初めてこういうのを読んだなぁ。読んでいる途中からもたげたある種の疑念が、読み進めていかうちに明らかになっていくのはいつになってもワクワクする体験。

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    2018年01月28日
  • 寄港地のない船

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    世代宇宙船の中で繰り広げられる物語。原書は1958年の作品だ。著者の初期の作品である。ハードSFというわけではないので、設定に疑問を持つところもあるが、物語としては楽しめた。読むのが辛かったのは最初の部分。物語がふわふわとしていて、世界観を理解できなかった。我慢して読み進めると、冒険が始まり、いくつもの困難を乗り越えて話が進む。そこまで来るとどんどん面白くなる。最後の方は意外な展開があり、ハラハラドキドキさせられる。面白かった。訳者後書きでは翻訳に苦労した話が紹介されていた。最初に読みにくかったのは原書で使われている言葉が独特だったためなのかもしれない。

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    2016年03月05日
  • 寄港地のない船

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     光速は越えられない。
     その厳然たる物理学的事実に従うか従わないかでストーリーは大きく変わる。ワープのような超光速航法を導入すると、宇宙は地球上と大差なく移動可能な場所となる。ところが光速が越えられないならば、亜光速で飛んで目的地に到達するものの、戻ってきたときにはウラシマ効果で数世紀がたっているといった話になるか、そこまで加速できない宇宙船ならば船内で幾世代を経ながら子孫が目的地に到達するという話になる。後者が世代宇宙船である。

     ブライアン・W・オールディス。イギリスSF界のビッグ・ネームだ。『地球の長い午後』『グレイベアド』、そしてSF評論というかSF史の『十億年の宴』。現在、齢90

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    2016年02月28日
  • 寄港地のない船

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    面白いとか面白くないとか以前に、翻訳が酷すぎる。そこは「を」じゃなくて「が」だろ、といった細かいものから文章全体がおかしいもの、もはや意味がわからないものまで、気になって仕方ない。

    最後まで読めたので面白くないわけではないのだが、ここまで翻訳がひどいと感じた本は初めてかな。

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    2023年09月26日