高杉一郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ子どものときに読んでおけば良かった…と思った1冊。でも、大人でも十分楽しめる。
トムの現代イギリスと(それも今となってはだいぶ昔なんだけど)、ヴィクトリア朝時代のイギリスのゆったりとした時間の流れを堪能し、緑いっぱいの庭で楽しく遊ぶ子ども時代を追体験し、途中からは誰が幽霊?というスリルも出てきて、とても面白かった。児童書はハッピーエンドなのも安心して楽しめるポイント。
ただ、最近の子どもにとってはイマイチだったようで…展開が早い物語に慣れすぎてるからかな、昔の児童書のゆっくりテンポがいらいらするらしい。舞台が海外なのも馴染みがないんだろうな。ちょっと残念だけど、自分は楽しめて良かったわ。 -
Posted by ブクログ
きょうだいのピーターのはしかがうつらないよう、おじおばの住むアパートで休暇を過ごすことになってしまったトム、そこは一軒の邸宅を区切ってアパートにしたものだったが、一階には、時間は正確だが鳴らす音の数がでたらめという大時計があった。
特にすることもなく退屈しきりだったトムが、夜眠れずに時計の鳴る音を1時、2時……11時、12時と数えていたら、時計は13時を打った。おかしいと思ったトムは、一階のホールに降りて時計を確認しようとするが暗くて見えない、そこで月明かりを入れようと裏口のドアを開けると、そこには広い芝生、花壇、温室、1本のモミの木や何本かのイチイの木があった。そこを見たいと昼間にそのドアを開けてみると、そこは狭い空地で、ゴミ箱や自動車があるだけだった。これは一体どういうことかと不思議に思ったトムだったが、夜になってドアを開けると、そこにはやはり庭園があった。
毎晩のようにこっそりと庭園に行くトムは、そこで園丁や三人の兄弟らしい少年たち、そして一人の女の子の姿を見かけるが、あるとき少女と知り合いになる。ほかの人間にはトムの姿は見えないが、ハティというその少女にはトムが見えるらしい。こうして友達になったトムとハティは、いろいろな遊びをし、いろいろな話をする。
庭園に行くと、朝だったり昼だったり、季節も変わったりと、時間が順序良く進んでいるのではないことに気づいたトムは、「時」とは何だろうと考えるが、答えはなかなか分からない。そうしているうちにハティとの関係も少しずつ変わってくる。そしてトムが家に帰らなければならないときも近付いてきた、果たしてどうなるのか、というお話。
「時間」というそれこそ哲学的な問題を取り扱っているが、ストーリーの中で自然に考えさせられるようになっており、読み進める上で変に煩わされるものではない。そして何といっても、庭園を始め自然や風景の描写が美しく、あたかもその場に居て二人と同じものを見ているような気にさせてくれる作者の筆は素晴らしい。(祖父の代から住んでいた実際の家と庭園がモデルとのこと)
児童小説のジャンルに入るのでしょうが、大人が読んでも読み応えがありますし、ラストではジーンとしてしまいました。誰もが持っていた子どものときの心に、改めて思いを馳せました。