高杉一郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ時を超えて出会う少年少女。
ハティ少女の時代にトム少年が遊びに行く形だが、トムにとってハティの空間では何時間も遊んでいたつもりなのに、現代に戻れば数分しかたっていない。
深夜に大時計が13時の鐘を鳴らす時、裏庭に通じる扉から秘密の庭園へ行けるのだ。
思ったより意外性はなかったが、幽霊のように扉を通り抜けたり、行く度に庭園の時間が変わっていたりというファンタジー要素が面白かった。ハティが女性になっていることにトムが気付かないのも良かった。一緒に遊んだ仲であれば、成長なぞ関係ないというのが素敵。どの大人にも少年少女時代があり、トムのようにアクセスできたら面白いのに。
↓ネタバレ
弟が麻疹に罹り、隔離のため叔父叔母の家へやってきてハティと出会う裏庭への扉を見つけたのだが、その麻疹も治り、夏休みも終わろうとしていて帰らなければいけない時が来る。庭園でどれだけ遊ぼうと現代では大した時間にはならないのだから両立できるはずだと考え、時を永遠にしようと試みるトム。
弟には庭園の秘密を手紙で毎日伝えており、弟は庭園に行ってみたくてたまらず、遂に夢から少し参加するが、ハティは少女ではなく女性だと指摘する。トムが気付かぬうちに、回を重ねる毎にハティは成長していた。
トムは最終日、いつも通り扉を出たはずが現代のままだった。ショックで大声を出し、アパートの住民を起こしてしまう。翌日、謝罪に少年を寄越して欲しいという婆さんの元へ行くと、その婆さんこそが現代のハティだった。庭園はハティが毎晩みていた夢の中であり、最終日に庭園へ入れなかったのは、その日は婚約後の夢をみていて庭園で遊ぶ少女時代の夢ではなかったからだった。 -
Posted by ブクログ
きょうだいのピーターのはしかがうつらないよう、おじおばの住むアパートで休暇を過ごすことになってしまったトム、そこは一軒の邸宅を区切ってアパートにしたものだったが、一階には、時間は正確だが鳴らす音の数がでたらめという大時計があった。
特にすることもなく退屈しきりだったトムが、夜眠れずに時計の鳴る音を1時、2時……11時、12時と数えていたら、時計は13時を打った。おかしいと思ったトムは、一階のホールに降りて時計を確認しようとするが暗くて見えない、そこで月明かりを入れようと裏口のドアを開けると、そこには広い芝生、花壇、温室、1本のモミの木や何本かのイチイの木があった。そこを見たいと昼間にそのドアを開けてみると、そこは狭い空地で、ゴミ箱や自動車があるだけだった。これは一体どういうことかと不思議に思ったトムだったが、夜になってドアを開けると、そこにはやはり庭園があった。
毎晩のようにこっそりと庭園に行くトムは、そこで園丁や三人の兄弟らしい少年たち、そして一人の女の子の姿を見かけるが、あるとき少女と知り合いになる。ほかの人間にはトムの姿は見えないが、ハティというその少女にはトムが見えるらしい。こうして友達になったトムとハティは、いろいろな遊びをし、いろいろな話をする。
庭園に行くと、朝だったり昼だったり、季節も変わったりと、時間が順序良く進んでいるのではないことに気づいたトムは、「時」とは何だろうと考えるが、答えはなかなか分からない。そうしているうちにハティとの関係も少しずつ変わってくる。そしてトムが家に帰らなければならないときも近付いてきた、果たしてどうなるのか、というお話。
「時間」というそれこそ哲学的な問題を取り扱っているが、ストーリーの中で自然に考えさせられるようになっており、読み進める上で変に煩わされるものではない。そして何といっても、庭園を始め自然や風景の描写が美しく、あたかもその場に居て二人と同じものを見ているような気にさせてくれる作者の筆は素晴らしい。(祖父の代から住んでいた実際の家と庭園がモデルとのこと)
児童小説のジャンルに入るのでしょうが、大人が読んでも読み応えがありますし、ラストではジーンとしてしまいました。誰もが持っていた子どものときの心に、改めて思いを馳せました。