松本利秋のレビュー一覧
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冷戦構造が終焉して30年がたった今、ポスト冷戦期のグローバル化した世界を支えたアメリカによる平和(パックス・アメリカーナ)と自由主義経済秩序が揺らぎ、中国の台頭を始めとする混乱。アジアで力の空白が懸念される中で、これから数十年後のアジアで日本の生き残りの可能性を探ることが本書の目的、と冒頭で著者は述べている。
現在の日本周辺の状況をかなり詳しく紹介しながら、日本の外交・防衛政策の今後の方向性を示しています。日本の政治のことでありながら、知らない情報も多く、地政学の基礎知識とともに、かなり詳細、具体的な内容であり、非常に本格的です。
地政学というものに最近興味が出てきたのですが、歴史や地理などを -
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2021年に出されたものであるも、まだまだ学ぶべきものがある本であった。
そもそも日本は勿論自由で法の下による民主主義国家であるのだか、どこか国家戦略的な話しとなると、何処かアメリカ追従で、独自路線が出せていないところが未だ感じられる。
変動のそう起こらない地理的要因から、政治外交を分析していくという地政学という研究は今日によく聴かれることになるが、果たして日本の政治家は日本の重要な位置を理解して、長期的視点に立ち、本来の国益を理解しているのであろうか。
本書にとっては安倍元首相が理解していたところが垣間見えるが、それよりこれからもランドパワーとして海洋進出してくる中国や、ウクライナ侵 -
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日本では終戦記念日を8月15日としており、同日を含め原子爆弾が投下された8月6日や9日に黙祷を捧げている。日本人の中にこの8月15日を終戦と位置付けた決定的な出来事は昭和天皇による玉音放送であり、誰もが一度は耳にしたことがあるであろう「耐え難きを耐え、忍び難きを忍び」がラジオから全国民に向けて放送された日である。アジア諸国から太平洋までを広く戦禍に陥れたこの戦争では、中国をはじめとして、現在のフィリピン、マレーシア、インドネシア、ミャンマーなど多くの国々・地域に日本軍が展開し既存の西洋諸国による植民支配を終了させると共に、日本が新たにこれら地域の支配者として君臨しようとした。結果的には東南アジ
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今人気の「サクッとわかる ビジネス教養 地政学」と同じような内容です。
この本は、タイトルのとおり『逆さ地図』がポイントです。
各国の位置関係に新たな発見がありました。
中国が下で日本が上にくるようにして中国から見ると、日本列島やフィリピンが覆いかぶさっていて、なんとも邪魔な存在だということが良く分かります。
ヨーロッパでは、ヨーロッパを制したナポレオンもヒトラーもロシアに攻め込んでいます。
ロシアを征服すれば肥沃な土地が得られ、陸路でアジアに通じることができる経済的メリットが見込めるからです。
これを防ぐために防波堤として、チェコ、ポーランド、ハンガリー、さらに東ドイツまでがソビエト連 -
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目からウロコとは、この本を読んで感じることでしょうか。私が外国と関係するニュースに接する場合、昔から見慣れている日本を中心とした世界地図を頭に思い浮かべて捉えてしまいます。
日本中心の地図を見ていると、なぜ、中国や韓国が尖閣諸島や魚釣島のことを話題にしているのかが見えてきません。せいぜい、海底油田の資源を欲しいからだろう、という誰かの解説が印象に残ってしまいます。
ところが、中国を中心とした地図(この本のタイトルである逆さ地図)で見てみると、沖縄や尖閣諸島の重要性が理解できるような気がします。同様の考え方で、現在、ロシアで起きている問題も、彼らの地域を中心にした「逆さ地図」で見ると、違って