ショーが(後日談での弁明を含めて)この話で言いたかったことをざっくりまとめてみると・・・
①女性(イライザ)にとっての創造主(ピグマリオン=ヒギンズ)は絶対的であり、強い関係性を持つ対象としては続くが、恋愛対象とはなりえない。
②ピグマリオン効果(期待による学習・努力は実る)は存在するが、女性(
...続きを読むイライザ)を思うがままにしようとする男性(ヒギンズ)はそれをまるで自分の所有物のように永久に自分の手元に置いておけると勘違いすると最終的に破滅する。
ということなんじゃないかと思う。
なので、舞台版、映画「マイ・フェア・レディ」のようなヒギンズ・イライザのハッピーエンドはショーにとっては「あり得ない結末」。後日談で「あんな暴君のマザコンと誰が結婚したいと思うんだ?」と言っているのはやや後付け説明の感があるが、まあ確かにその通りだと思う。
後日談は丁寧な口調で書かれているが、「馬鹿どもが、なんでもハッピーエンドにしようとしやがって!文章ちゃんと読んでりゃわかんだろ」と心の中で読者に悪態をついていたであろうことが容易に想像できる。それを思うとショー自身の性格がヒギンズにもろに投影されているように思えてきて、個人的にはこの本のオモシロさが倍増した。
ちなみに、ショーがもし生きていたら、「アンドリュー・ロイド=ウェバーのミュージカル版オペラ座の怪人こそピグマリオンだ」というかもしれないとふと思った。