岩佐美代子のレビュー一覧

  • 永福門院 飛翔する南北朝女性歌人
    第1部で、京極派の中心歌人で伏見院を夫とする永福門院の生涯を詳しく追う。政治的に波乱に満ちた鎌倉末期から室町初期を生き抜いた永福門院は、持明院統と京極派和歌と西園寺家を毅然として守り抜いたのだ。
    第2部は、勅撰和歌集の玉葉集から永福門院の49首、風雅集から69首の和歌を選んで、詳細な解説を加えている...続きを読む
  • 永福門院 飛翔する南北朝女性歌人
    永福門院の和歌は、透徹しているように思う。厳しい。雑多がない。ひんやりとした印象をもつ。

    和歌の価値や真偽は、読み手の体感した「空間」の深みと、それを再現する言葉の凝集性にあるのではないかということを思った。

    例えば「夜の雨のなごりの風に雲絶えて花ふきみだす春のあけぼの」という歌。

    これは決し...続きを読む
  • 宮廷に生きる 天皇と女房と
    何て面白い本だろう!と専門書のくせにぐいぐいと引き込まれた。

    そして岩佐先生の言葉づかいや話し方のなんと美しいことだろう。

    略歴を見ると大正時代の生まれの方で、(その時点でだいぶびっくりしましたが)調べてみたらいわゆる上流階級の生まれの方だったんですね。宮仕えも経験してますし。読んでてなんとも恐...続きを読む
  • 讃岐典侍日記全注釈
    堀河帝のおそばにいた讃岐典侍の日記。帝と過ごした日々、帝のいない毎日、今の時代とはかけ離れた価値感の存在する宮中内ではありますが、同じ女性として、そっと心寄せたくなる作品であることを教えられました。
    岩佐さんの「補説」を読むと、更に愛おしくなるような作品であることを実感しました。