おもしろい。芸能人の不倫報道などが気になってしまう人にはたまらないだろう。
ナボコフといえば「ロリータ」だが、本作もロリコン親父が未成年の美少女に翻弄されてしまう物語だ。
裕福な美術評論家クレッチマーが、美少女マグダに夢中になる。妻子を捨ててマグダと一緒に暮らし始めるが、そこにマグダの元カレであるホ
...続きを読むーンが戻ってくる。
マグダとホーンの関係を知らないクレッチマーは、マグダとの生活の中にホーンが出入りすることを許してしまう。マグダとホーンは、クレッチマーの目を盗んでいちゃいちゃし、しまいにはクレッチマーの財産を奪う計画まで立てはじめる。
偶然、マグダとホーンが自分を騙していたことを聞かされたクレッチマーは逆上し、事故が起こる。そのせいでクレッチマーは失明する。しかし、クレッチマーはマグダを疑った自分に罰がくだったのだと反省する。クレッチマーはマグダとふたりで療養のために田舎の家で暮らす。しかし、クレッチマーが失明しているのをいいことに、ホーンもその家にもぐりこみ、マグダといちゃいちゃする。
クレッチマーの義弟マックスが乗り込み、クレッチマーを連れ出す。
自宅に戻ったクレッチマーはマグダへの殺意を抱いていた。
やがてマグダの居場所を知ったクレッチマーは、マグダを殺しにいくが、逆に自分が殺されてしまう。
解説には、これは「見る」「見ない」についての小説だと書かれている。
カメラ・オブスクーラというタイトルからもそれは想像できる。
クレッチマーは、マグダの中になにを「見た」のだろう。
おそらく、彼がそれまでの人生において見ることのなかった「女」を見出したのだ。恋愛の対象となる「女」だ。それはもしかしたら「人生」と言ってもいいかもしれない。それこそ命をかけてのめり込む「人生」。熱意を向ける対象を見たのだ。そういう意味では、この作品は、宝を求めて冒険する男の物語といってもいいかもしれない。