ホーソーンのレビュー一覧

  • 緋文字

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    みなさんは海外の作品を読むときに翻訳家というものをどの程度意識されているでしょうか

    え?★5付けといてまた関係ない話し始めるの?と思ったみなさん
    安心してください
    この素晴らしい名作は光文社の他に多彩な出版社から刊行されていて
    それぞれに素晴らしいレビューが存在しています
    そっち読めばいーじゃん!(清々しい開き直り)

    というわけで話し進めますね
    翻訳家さんです
    翻訳家さんにもっと注目して読書生活を送ってみませんか?という新生活の提案です

    かくいうワタクシも、そこまで翻訳家さんを気にしていたわけではないんですが
    今回のように気が付くと小川高義さん祭りになっていたりしてあれこれはどういうこと

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    2023年05月27日
  • 緋文字

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    ネタバレ

    数年前にも違う訳者さんの本を読んだのですが再読。やはり良いです。
    清教徒の多い、宗教と法律がほぼ等しい土地で不義の子を産んだヘスター。ヘスターが名を明かさなかった、相手の牧師、ディムズデール。そしてヘスターの本来の夫であるチリングワース医師。三人を中心に描く、罪と贖罪の物語。
    罪を犯し、それを悔やみ、苦しみ、許し、自己を追い詰め、人を憎む、それぞれの心の動きが丁寧に書かれています。

    罪を犯し、恥辱の印を身にまといながらも、愛情深く高潔に生きるヘスターも、罪を犯した妻のヘスターではなく罪を隠し生きるディムズデールを追い詰めんとするチリングワースも良いですが、ディムズデール牧師と、彼の罪に押しつ

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    2022年06月18日
  • 緋文字

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    胸が締め付けられる。
    出てくる登場人物の誰もが、少しの悪と、沢山の苦しみと愛を持ち合わせていた。

    それにしても、悔恨が心身にもたらす影響力の強さよ。

    アメリカ(特に田舎)には、素朴さや真面目さが感じられるけれど、それはピューリタンの流れを汲む歴史が脈絡と受け継がれているのだろうと思った。

    ヨーロッパの小説と違い、ヘスターが強い女として描かれているのが印象的だった。
    時に牧師や医者に対し、強い意志やその壮絶で孤独、しかし思考が自由に解き放たれた女として、力強く、優しい言葉を発する。
    ヨーロッパの小説だと、彼女はもっと弱々しい存在として描かれたんじゃないかな。

    最後のラストは薄々感づくのに

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    2022年01月17日
  • 緋文字

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    最後まで読み、「辛い」と声が出た。結局、牧師と神との間で交わされる神聖な対話や関係の前では、子供を産んだヘスターは無力だ。森での美しいヘスターも歯が立たない。牧師は、「ヘスターの苦しみを痛いほど知っていた(だからこそ辛かった!)、他人に罪人であることを隠して苦しんだ!、死ぬ前に罪について告白するのだ!(その直前に壮大な説教をして大衆を心酔させている)、ヘスターに自分達は永遠に結ばれないと彼女を戒める!」という論理を展開していく。牧師は、神の采配で、迷いから救われたという。宗教的には勝利したのだろう。でも、ヘスターは。。。神との誓いを優先して、美しい信仰心を讃えて先に死ぬ牧師。残されたヘスターは

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    2021年02月16日
  • 緋文字

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    面白かった。
    話がシンプルな作りで、加えて細かい章に分けられていて読み進めやすかった。

    現代の日本の感覚なら不倫程度でこんなに罪になるか?と思ってしまうが、アメリカの当時の価値観なのだろうな。

    牧師とヘスターがどのように罪を犯したのかはほぼ描写がないが、それは敢えての事なのだろう。

    最後の最後で牧師により破滅の運命から逃れられた場面が印象的。罪を背負う辛さの描写が生々しい。

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    2025年03月29日
  • 緋文字

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    17世紀ボストン。姦淫により裁かれた女、教区で慕われる若き牧師、謎の老医師。三者の隠された関係を通し愛と罪を問う米国文学の代表作。小細工無しのストレートな展開が胸を打つ。序文の用い方がユニークで、そこから本文への入りを含めて全体の構成に演劇的要素有り。ヴェンダースの撮った映画版も何れ観てみたい

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    2024年11月02日
  • 緋文字

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    最初の税関はなかなか読み進められなかったが本編は講談のような語りで読みやすい。ただし税関の内容は、今の仕事がしっくりこないと思う現代人にも共感できるものがあり親しみを感じる。割と早い段階で事実が暗示され、何も語らず世間と対峙するヒロインに対し、世間体や周囲の期待に押しつぶされ罪を隠している男の良心の呵責が哀れで可笑しくすらある。

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    2021年09月06日
  • 緋文字

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    ネタバレ

    米文学史の授業で初めてその名を知った、ホーソーンの代表作。
    授業でのあらすじの説明から、なんて暗い話を19世紀に書いたのか、疑問でならなかった。
    その疑問は解けてはいないが、ヘスター・プリンの強さと、不倫相手の弱さと苦悩を描かずにいられなかったのだろうと推察した。
    それにしても、授業であらすじを紹介されていなければ、あの牧師が不倫相手だということになかなか気づけなかったんじゃないかと思う。
    授業では、牧師は苦しみ抜いて最後は死ぬが、その死にはまったく意味がないと先生が言っていた。その通りだとも思うし、そこまで言ってはかわいそうとも思ったが、結局は牧師という公職(?)についていながら、近くでへス

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    2018年03月20日
  • 緋文字

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    ネタバレ

    税関の部分は、だらだらと長く続き、読みにくい。しかし、『私』のセイラムの地への愛着は郷愁を喚起し、寂れた街で過ごす人々もまたセイラムの地に縛られているのかと考えると哀愁を帯びて感じられ、改めて読み直すと共感を覚えた。地縁的なものに敏感な人には、通ずるものがあるのではないか。
    本編は、ストイックな牧師の姿が印象的だった。三角関係とそれぞれの変化は解るが、パールの役割や緋文字のAについては消化不良に終わった。

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    2014年04月27日
  • 緋文字

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    罪の象徴の緋文字が、やがてはその元々の目的が薄まっていく。
    不倫の罪を裁かれ、緋文字を生涯付けることを余儀なくされたヘスター・プリン。彼女は誰が相手かを決して口外することなく、人々の冷たい視線も受け入れて、毅然と生きていく。不倫によって生まれた娘パールを育てながら。

    よほどの理由があったにせよ、自分が犯した罪は罪として受け入れる。でも、それに押しつぶされないで、黙々と、毅然と生きていく。それはいいのだが、もう少し、ヘスターと牧師のことを掘り下げて書いて欲しかったと思う。

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    2024年06月23日
  • 緋文字

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    CL 2021.12.10-2021.12.18
    新訳でとても読みやすくなっている。
    7年も自分だけ罪を隠して、隠しておけなくなったら死んでしまうディムズデール牧師は情けない男ではないか。
    ヘスター・プリンはその間もずっと幼い子どもを抱えて世間から拒絶され、差別され、たったひとりで敢然と生きてきたというのに。
    我が子パールへの責任もかけらも果たさず、ただただ己の都合、思いだけで、ひとり逝ってしまうとは。
    たとえこれが1600年頃のアメリカの話だとしても、男の情けなさに怒れてくる。
    現代的な基準では語れないのは承知の上で、それでも素直な感想は上記のとうり。

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    2021年12月21日
  • 緋文字

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    作品は1850年に発表されたものだが、舞台はさらに200年も遡ったアメリカのニューイングランド。
    そこはピューリタンの町で、当然ながら厳格な信仰が守られているコミュニティだ。
    タイトルの緋文字とは、そこで姦通の罪を犯した女性への罰として、その衣服の胸のところに常に着けるように定められた緋色のAの文字のこと。
    その女性は、町で尊敬を集めている牧師と関係を持ち子をなしてしまうが、彼女には夫がいたため、罪とされた。一方牧師の方はその関係がバレずにいた。
    後から町にやってきた夫は、医師に身をやつし町の中で一定の位置に居座るようになるが、二人に執拗に復讐をしようとしていく。

    キリスト教をベースにしてい

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    2019年12月29日
  • 緋文字

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    私に宗教の観点が欠けているので、
    牧師の苦しみがもどかしく感じる。
    そこまで罪の意識に苛まされるのだったら手を出すなと。

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    2015年11月05日
  • 緋文字

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    愛と苦悩
    (実際に読んだのは角川版)
    古典の名著といえば、そのうちの一冊にホーソンの『緋文字』があげられるだろう。
    なるほど、清教徒入植間もないアメリカで、姦通の罪で晒されたへスター、その夫、姦通した相手の若い牧師のそれぞれの心のうちを巧みに描いている。
    また、罪の子、パールの無邪気な姿が、その無邪気さのために光源となってそれぞれの姿に影を作っている。
    たしかに、たしかに文学作品としては素晴しいのであろう。

    ただ、私の感想はそうではない。
    まずは『緋文字』の序として『税関』という物語が併せて掲載されているのだが、これが淡々として、43頁まで読むのに、酷く苦労した。
    ここで少し面白くなってくる

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    2015年03月18日