鳴海風のレビュー一覧
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『天地明察』に触発されてこの本を読んだのだが、思っていたよりもおもしろかった。
『塵劫記』で有名な吉田光由に始まり幕末から明治にかけて活躍した小野友五郎まで、八人の和算家について書かれている。
数学者というとなんとなく一部の頭のいい人達が何か難しいことを一生懸命やっているというようなイメージを勝手にいだいていたのだが、この本を読んで、数学というのは、土木、暦、操船術などにおいて我々の生活に無くてはならないものだったのだということを改めて気付かされた。
そして、鎖国という他国の優れた知識から隔絶された不利な状況においても、楽しんで数学の未知なる分野に挑んでいった先駆者たちが多数いたことに大変 -
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『円周率を計算した男』改題。
天才算術家の関孝和に師事し、葛藤する中で円理を究めた高弟建部賢弘、独学にして大酒飲みの奇才久留島義太、算額者であり大名だった有馬頼徸、百姓出身で孤高の算術家山口和など、江戸の天才数学者達を主人公に、数奇な人生模様が描かれる。
円周率の研究は、西洋では16世紀の終わりごろから始まっている。17世紀の最高記録はオランダのコーレンが計算した、小数点以下35桁。同時代のニュートンでも、1674年に14桁までしか計算していない。
日本では、寛永年間(1624〜1643)に鎖国政策が徹底されたため、西洋での円周率の研究成果は、その後長い間伝わらなかった。
寛文3年(16 -
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ネタバレ『和算の大家 関孝和(上毛カルタより)』
といえば我が郷土、群馬県を代表する偉人だ。
さて、我らが天才和算家の活躍でも読ませてもらおうか、と思って本書を開いたが、いきなり「関孝和の出生地は実はよくわかっていません」ときた。
ま、マジで!?
著者も書いているけど、もし江戸で生まれたなんてことになったら群馬県は大騒ぎになっちゃうよ。
群馬県人にしか理解できない想いはひとまず横に置いといて……
筆者も冒頭で書いているように本書に取り上げられている8人の和算家の選抜方式は、決して学術的な実績の優れている人物を上から8人選んだというわけじゃない。
江戸時代に数学が人々の間でどういう風に楽し